【編集興記】韓国で猫の死亡数が急増、原因はキャットフードの可能性
ちょっと気になったペット関連のトピックスを、編集スタッフが持ち回りで紹介する“不定期”コーナーです。
報道によると、韓国では最近、神経・筋疾患を発症して死亡する猫が相次いでいます。この憂慮すべき自体に、政府、獣医、飼い主らが原因究明に乗り出していますが、多くは特定のブランドのキャットフードが原因ではないかと疑われています。
韓国の動物保護団体「ライフ」などの報告によると、2024年5月12日の時点で、下旬までに513匹の猫に急性神経筋疾患、高熱、腎不全なの症状が見られ、そのうち180匹がすでに死亡したといいます。
被害にあった猫たちは、特定の猫種ではなく様々な猫種に及び、猫の生活環境や健康状態も異なるようです。唯一の共通点は、韓国の大手ペットフードメーカーが製造したキャットフードを食べていたということです。
韓国農林畜産食品部と韓国獣医師会(KVMA)は、猫たちの死因を特定するための調査を継続しています。
同省によれば、死亡した猫が食べた可能性のあるフードを含め、入手可能なペットフードのサンプル50種以上を検査しました。
その結果、78種の有毒物質、7種のウイルス、2種の寄生虫と細菌が検出されましたが、死亡した猫の検査では決定的な因果関係は得られなかったといいます。
韓国のSNS「カカオトーク」では、先の大手ペットフードメーカーのキャットフードが原因ではないかとの憶測が飛び交っており、さらに飼い主を心配にしています。
2015年には、同メーカーのある製品が猫の膀胱炎を引き起こし、死に至らしめたという申し立てがありました。しかし、政府は製造・販売を取り消すことはせず、メーカーは自社製品の品質に疑問を呈する人々を訴えるという暴挙に出ました。
法的な影響を避けるため、韓国の飼い主たちは『ハリー・ポッター』に登場する悪役・ヴォルデモート卿(名前を言ってはいけないあの人)にちなんで、この製品を「ヴォルデモート キャットフード」と呼びました。
2015年に発生した猫の死因が、最近の猫の死因と関連があるのではないかという懸念から、飼い主のなかには、同メーカーの疑惑のキャットフードを販売停止するよう要求する人もいます。
しかし、政府はそのフードに実際に欠陥があることがあることが立証された場合に限り、販売と生産を停止することができるという立場です。
同社も韓国獣医師会の調査報告を待っているところだとしていますが、現時点でも、OEM(相手先ブランド製造)やODM(相手先ブランド設計・製造)によって30種類ほどのキャットフードを製造し、それらの製品を輸出しているそうです。
2023年には、韓国の動物保護施設で38匹の保護猫が死亡した事件があり、その原因が韓国産キャットフードと特定され、回収命令が下されました。なんと、フードから病原性の高い鳥インフルエンザ(H5N1)抗原が確認されたということです。
日本では、韓国メーカーのペットフードをほとんど見ることはできませんが、農林水産省が注意喚起しています。
さらに、過去には世界大手ペットフードメーカーの一部製品が韓国産に切り替わったことで、安全性を危惧する声が上がりました。
今回の事件により、韓国産ペットフードへの懸念が再燃しかねません。推移を見守りたいと思います。