【編集興記】4月26日「よい風呂の日」に知っておきたいペットの入浴 健康と清潔を保つためには

ちょっと気になったペット関連のトピックスを、編集スタッフが持ち回りで紹介する“不定期”コーナーです。

本日4月26日は「よい風呂の日」です。入浴(シャワーを含む)は健康を維持するために大いに役立ちます。体の汚れを洗い落とすだけでなく、疲れを癒したり免疫力を高める効果があります。それはペットも同様です。

日本の高温多湿な気候では、皮膚疾患はもっとも多い疾患のひとつとされています。定期的な入浴によって汚れや皮脂を洗い流し、皮膚のバリア機能を保つことが重要です。このように、ペットの入浴は健康維持に欠かせません。

ペットの入浴といえばペットサロンにお願いするケースが多いですが、コロナ禍以降、自宅で入浴させる飼い主も増えています。そうしたときに、もっとも気を遣うのがシャンプー選びではないでしょうか。

ネットで検索すると薬用やら、無添加等やら、天然由来やら多種多様なシャンプーが販売されていて、どれを選んでよいのか迷うほどです。

シャンプー選びで注意したいのは、人間の肌とペットの肌は性質が異なることです。人間は弱酸性に対してペットは弱アルカリ性といわれています。人間用の製品を使用しないように注意しましょう。

シャンプーは健康的な皮膚を保つために欠かせませんが、その際には十分な洗い流しが重要です。なぜなら、シャンプー剤や汚れが残ったままだと、皮膚トラブルの原因となり得るからです。

そこで注目したいのが、日本発の技術「ウルトラファインバブル(UFB)」という洗浄効果の高い技術です。ウルトラファインバブルは微細な気泡のことで、通常の気泡よりも非常に小さく、浸透力が高い特性があります。

どれくらい小さいかというと、通常の気泡が約0.1㎜(100㎛/マイクロメートル)以上に対して、ウルトラファインバブルは約0.001㎜(1㎛)以下です。

この微細な泡が、皮膚の毛穴の奥まで浸透し、汚れや皮脂をしっかりと浮き上がらせます。そのため、シャンプー剤を使わなくても効果的に汚れを除去できるのが特徴です。

また、ウルトラファインバブルは抗菌効果も期待できます。微細な泡が微生物に接触すると、ブラウン運動で微生物の細胞膜を破壊します。これにより皮膚表面の細菌やカビの繁殖を抑え、皮膚トラブルのリスクを低減します。

それを実証したのが、日経ビジネスイノベーションフォーラムで発表された「犬の皮膚にも”スキンケア発想”を」です。

セミナーでは、アジア獣医皮膚科専門医の伊從慶太先生が、「犬アトピー性皮膚炎(CAD)に対するファインバブル洗浄の有用性」に関するエビデンスを発表しました。

実証試験では、アトピー性皮膚炎の症状を認めた犬17例に対して、低刺激シャンプーによる洗浄群とファインバブルシャワーによる洗浄群に分けて実施し、症状改善の程度を比較検証しました。

その結果、ファインバブル発生機能を搭載したシャワーを用いた洗浄では痒みや肌荒れを抑えながら、皮膚のバリア機能を壊すことなくアトピー性皮膚炎の症状を改善したことが明らかになりました。

この実証試験の結果は、第26回日本獣医皮膚科学会学術大会にて「犬アトピー性皮膚炎に対するウルトラファインバブルの効果検証」として発表され、獣医皮膚科学の国際学術誌『Veterinary Dermatology』での論文掲載が決定しています。

伊從先生は現状の課題として、アトピー症状と診断される犬が増加傾向にあることに加えて、肌の衛生状況を保つとされる抗菌薬入りシャンプーが肌のバリア機能を損傷し、耐性菌を生じさせる可能性があると危惧しています。

犬アトピー性皮膚炎は、原因が完全に解明されていない悩ましい病気です。一般的にはステロイドなどを使う対症療法が取られていますが、根治療法を目指し、シンバイオティクス療法、糞便移植療法(FMT)などで腸内細菌のバランスを正常に戻す研究も進められています。

このように体の中と外の両面からアプローチすることで犬の皮膚疾患を改善し、QOL(Quality of Life:生活の質)の向上に期待が持てそうですね。