【犬飼いTIPS】マダニは冬でも発生する! 季節問わず1年中マダニ対策をしましょう

2021年11月、岐阜県岐阜市に住む80代の男性が、マダニが媒介する日本紅斑熱に感染して死亡しました。日本紅斑熱は病原体を保有するマダニに咬まれることで感染する病気で、主な症状は発熱や発疹等です。岐阜市によると、この男性は11月1日に発疹や倦怠感などの症状が出たため、3日後に医療機関を受診して入院しましたが、その日のうちに死亡したそうです。

その症状から日本紅斑熱の疑いがあり、国立感染症研究所などが検査したところ、陽性であることが判明しました。この男性は日ごろから山歩きを趣味にしており、その際に感染したのではないかとみられています。以前にもマダニのことは何度かお伝えしていますが、今回は「マダニは冬でも発生する」というお話です。

マダニは冬も繁殖している

これまで、マダニは梅雨のジメジメした蒸し暑い時期に活動するといわれていましたが、現在では季節に関係なく年中活動していることがわかっています。マダニは比較的大型のダニで、動物の血液をうまく利用して成長や産卵を促す節足動物です。

越冬した成ダニ・若ダニは春先から初夏にかけて動物に寄生し、お腹いっぱいに吸血した雌のダニが2000~3000個という大量の卵を産みます。雌ダニは産卵後にその生涯を終えますが、秋になると卵から孵化したダニが大量発生するわけです。この幼ダニが、動物に寄生して吸血・脱皮をしたのちに若ダニとして越冬し、春先になると活動を始めるというサイクルを繰り返しています。

このように、マダニは季節に関係なく活動をしているので、春先から初夏は成ダニと若ダニ、秋から冬には幼ダニに注意が必要なのです。

マダニが繁殖しやすい温度は13℃以上といわれていますが、生息している場所の条件等により1年中活動しているマダニもいます。また、最近は冬でも暖かい日が多いため、マダニの繁殖に適した条件がそろっているのです。そのため、冬でもマダニの対策が欠かせません。

冬のマダニ対策とは?

前述したように、秋から冬にかけては幼ダニや少し成長した若ダニが多く発生するシーズンです。この幼ダニや若ダニも犬に寄生し、吸血する危険性があります。この時期のマダニはまだ成長過程ですので、成ダニに比べてサイズが小さいのが特徴的です。そのため、寄生されても気付きにくいので厄介なのです。

近年マダニは全国の野外に発生しています。山林や河原などの草むらだけでなく、近所の公園や河川敷にも生息しています。できるだけそのような草むらに入らないことが一番の対策です。人の場合、冬場は長袖・長ズボンを履いているので、肌の露出は減らすことができますが、服などについて家のなかに持ち込んでしまうことがあります。そのマダニが愛犬に寄生してしまうこともあります。洋服の上からダニ避けスプレーなどを使ったり、帰宅時にマダニが付いていないかどうか確認することが効果的です。

また、冬場は愛犬にも長袖・長ズボンの服を着せることも効果的です。散歩などの帰宅時には服や被毛、皮膚などにマダニが付いていないか確認しましょう。また、ブラッシングをしたり、ノミ・ダニ・マダニの予防及び駆除薬などを定期的に使用するなど、しっかり対策を行って寄生されないようにすることが大切です。


マダニ対策を怠るとどうなるか

マダニは血を吸うと100倍以上の大きさになります。一度噛みつくとマダニはお腹がいっぱいになるまで吸血を続けるため、もし大量のマダニが犬に寄生した場合には、40℃以上の高熱や重度の貧血症状を引き起こす可能性があります。

血圧が急激に低下すると、全身の臓器や組織に十分な血液が送られなくなってしまい、肝臓や腎臓の機能障害など、命に関わる危険性もでてきます。そのほか、リンパの腫れや関節痛など犬にとって辛い症状が見られることもあるので、日ごろからしっかりと対策をする必要があります。

まとめ

愛犬にマダニを寄せ付けないためには、季節に関係なくしっかりとマダニ対策をする必要があります。冬にはマダニ対策はいらないと思っている人が多いのですが、地球温暖化等の影響で冬でも暖かい日があり、マダニの活動活発化の条件が揃うことがあるのです。

マダニは人にも犬にも寄生します。特に愛犬のマダニ対策は飼い主しかできませんので、辛い思いをしないように対策をしてあげましょう。