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東京の「猫カフェ」でパルボウィルス感染、5匹死亡「動物病院でも対応に苦慮する病気」

[2018/08/17 6:00 am | 編集部]

東京の「猫カフェ」でパルボウィルス感染、5匹死亡「動物病院でも対応に苦慮する病気」

弁護士ドットコムニュース | 2018/06/28

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このコーナーでは、注目ニュースに対する編集部や識者のコメントを紹介します。

この記事を読んでショックを受けた人も多いと思います。ケイアイコーポレーションが運営する猫カフェ「MOCHA」はメディアでも紹介され、東京を中心に名古屋や京都、大阪にも店舗を拡大しています。「人も猫も過ごしやすいよう、内装にこだわりました。カフェのように居心地がよく、リビングのように優しい空間」を謳い文句に、ほかの猫カフェとは差別化されています。

しかし、この記事や「MOCHA」サイトのコメント「お詫びと関東全店舗臨時休業のお知らせ 」を見て違和感をおぼえました。

「当社全スタッフは、誰にも負けない愛情をもって全ての猫に接してまいりました」

「2匹の感染が発覚した時点で営業を即時停止しなかった」

と書かれています。

まず、愛情を勘違いしているのではないかと思わざるを得ません。本当に猫を愛するのであれば、「知識」を得ることも愛情ではないでしょうか。スタッフにはパートやアルバイトもいるかと思いますが、どれだけの知識を得るような取り組みがなされていたのでしょうか。ただ単に可愛がるだけが愛情ではありません。飼育や病気に関する知識を身に付け、スタッフ全員がもしもの時に責任を持って対応できるよう学んでおく必要があるのです。

次に洗浄だけで営業を続けたこと。パルボウイルスは非常に安定したウイルスであるため、適切な消毒薬を使用しなければ環境中に長期に渡り生き続けるものです。洗浄だけで蔓延を防げるものではありません。これも知識がなかったために起こったことです。また、多頭飼いの場合は、必然的にトイレ自体の数が多くなります。そしてトイレ掃除(猫砂の取り替えなど)や周辺の除菌・消臭の回数も増えます。直ちに営業を停止して、それらすべてにおいて適切な対応をしなければいけない状況であったのです。

※写真はイメージです

また、今回の場合は子猫が多かったことから、猫の入手先にも問題があったのではと考えられます。純血種であるとするなら、ペットショップやブリーダーから入手したと考えられます。感染源は特定されていませんが、入手した時にしっかりと健康診断をして、ある程度の期間、隔離して健康状態を観察していれば蔓延することはなかったでしょう。

健全な繁殖をしているブリーダーであれば、猫やその猫種に対する知識が深く、疾患に対してもしっかり対応しています。ワクチン接種は当然で、新たに猫を迎える場合には、血液検査や検便などで問題がないかをしっかり確認します。そして健康が確認できてから他の猫たちと接するようにします。そこで手を抜いてしまったら、キャッテリー全体に蔓延したり、保菌した子猫をオーナーに譲ることになるからです。もちろん、このような健全なブリーダーは、ペットショップやこうした施設に猫を譲ることはありませんが・・・。

店側にも、こういった知識があればペットショップやブリーダーに対して確認し、もし健康診断をしていないのであれば入店させる前にすることもできたはずです。

猫カフェには、不特定多数のお客さんが来店します。個体差はありますが、猫たちは少なからずストレスを感じ抵抗力を下げてしまいます。当然、抵抗力が下がると病気になりやすくなります。多頭飼育であることもストレスの要因になりますから、その点を考慮した飼育環境を作ることが大切です。また、不特定多数のお客さんが来店するということは、菌やウイルスなどを運んでくる、また、持ち帰ってしまう可能性があります。入店時の除菌・消臭、また帰宅時の除菌・消臭は積極的に取り入れていかなければならないでしょう。

運営者はじめ携わる全てのスタッフは、それらをしっかり理解して、猫たちの「命」を守ってほしいと思います。

[編集部]