ドッグトレーニングの現場から Vol.20

お散歩に行きたがらない犬を、お散歩好きにさせるには?

お散歩トラブル ワンポイントアドバイス(その1)

[2016/8/23 06:00 | 辻村多佳志]

藤田先生に聞く、しつけについてのワンポイントアドバイス。今回から数回にわたって「お散歩トラブル」の解決テクニックを考えていきましょう。まずは「お散歩に行きたがらない犬を、お散歩好きにさせるには?」です。

監修/訓練士 藤田真志
麻布大学獣医学部卒/動物人間関係学専攻 (社)ジャパンケネルクラブ公認家庭犬訓練士 (社)ジャパンケネルクラブ愛犬飼育管理士 2004年に「HAPPY WAN」を開業

お散歩に行きたがらない理由を見極めましょう

たいていの犬はお散歩が大好きです。お散歩は、犬の健康維持とストレス解消にとって重要な役割を果たしますから、できれば毎日数回はお散歩させたいところです。しかしなかには、お散歩に行こうとしても足を踏ん張って抵抗する子や、わずか数メートル歩いただけで一目散に家に帰ろうとする子がいます。なぜ、お散歩が嫌いになってしまったのでしょうか?

「まず、お散歩が嫌いな理由を見極めることから始めましょう。以前はお散歩に行っていたのに、シニア犬になって行きたがらなくなった場合は、関節などに痛みが出ている、体力がなくなって歩くのが辛い、など加齢による影響が大きいかもしれません。また、シニア犬ではないのに突然お散歩を嫌がるようになった場合は、ケガや病気など重大なトラブルを抱えているかもしれません。こうした場合は、すぐに獣医さんに診てもらうべきでしょう」

自宅にいるときには元気いっぱいに跳ね回り、とくに体調不良などがなくても、お散歩に行きたがらなくなる場合もあります。

「お散歩中に大きな恐怖を味わうと、お散歩が怖くなってしまうこともあります。たとえば、私が以前にトレーニングに携わった犬は、お散歩中にいきなり花火大会の轟音が鳴り響いたことで、家の外に出るのが怖くなってしまいました。また、気性の荒い大型犬に吠えかかられて、その恐怖からお散歩嫌いになってしまったり、飛んできたセミが鼻に止まって驚いたことがきっかけで、散歩に行きたがらなくなった子もいますね」

こうした犬の場合は、以前はお散歩を楽しんでいたのですから、恐怖を忘れさせるほど楽しい散歩を行うことで、すぐ直ることも多いのだそうです。まずは恐怖を感じるきっかけは何なのかを見極めましょう。

いちばん厄介なのは、子犬のころからずっとお散歩嫌いの犬です。お散歩は嫌なものという意識が刷り込まれてしまっているからです。この連載ではたびたび登場するキーワードですが、社会化がうまくできておらず、家族以外の人や犬が苦手な犬は、散歩に行きたがらない子になってしまいやすいそうです。また、お散歩に欠かせないあるアイテムも、お散歩嫌いの原因になっていることがあります。

「首輪の刺激が嫌でお散歩に行きたがらない子は、小型犬、とくにパピヨンやチワワに多いようです。猫用の首輪のように細くて軽い首輪や、リボンのように、どこかに引っかけても危険が少ない首輪を選び、自宅内でも身に付ける習慣をつけたほうがいいですね」

首輪の刺激に慣れてもらっても、なお外に出たがらない子はどうしたらいいのでしょうか。

「まずは、外に慣れてもらうことから始めましょう。クルマに乗せて公園などに連れていき、飼い主さんは本でも読みながらノンビリ過ごすことで、外は怖くないんだ、と気付いてもらいましょう。また、外出する機会を増やし、外出は日常的なものなのだと理解してもらうことも効果があります。自宅近所のポストまでハガキを出しに行く、など短い時間で構いませんから、ことある毎に家の外に連れ出しましょう」

お散歩嫌いの犬に歩いてもらうコツは?

とはいえ、そもそも歩いてくれない犬の場合はどうしたらいいのでしょうか。足を踏ん張って思いきり抵抗されると、リードを引っ張ってもなかなか前に進めないと思うのですが。

「じつは、歩かないのではなく“歩かせていない”飼い主さんが多いのです。踏ん張って抵抗されても、リードをより強く引けば、たいていの犬は歩き始めます。なかでも柴犬は、大げさな抵抗ポーズをとる子が多いので、こんなに嫌そうなのに可哀想だ、と情けをかけすぎないようにしましょう。リードを引くときは、ボウリングのボールを投げるようなイメージで、強く速くグイーッと引くのがコツです。ただし、足を運んでくれない状態でズルズル引きずってしまうと、肉球などをケガすることがありますから要注意です」

ネット上では、飼い主さんに抵抗する柴犬の動画を見かけることがありますが、どうやら柴犬は演技派だったようです。

「多くの犬は、お散歩の間ずっと歩き続けるのではなく、興味を持った場所で立ち止まる“止まり癖”があります。おやつを効果的に与えるなどの方法で、飼い主さんに注目してもらえるように誘導しましょう。雨の日の散歩を嫌がる場合は、レインコートが身体に合っているかを確かめましょう。窮屈なレインオートだと歩きたくなくなることが多いようです。レインコートを買うときには必ず試着すべきですね」

歩きたがらない理由を見極め、飼い主さんが散歩をリードすれば、多くの犬がスイスイ歩いてくれるようになるはずです。次回は「お散歩中のマーキングと引っ張り癖」を直すコツについて考えていきます。

[辻村多佳志]