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ペット高度医療の知識と技術を持つ頼れるホームドクター

[2016/03/24 6:00 am | 編集部]

近年の飼育環境の変化でペットの高齢化が進行し、飼い主が望む獣医療が変化しつつある。従来は大学病院で行われていた二次医療は、民間の獣医師の専門化により、ホームドクター的な一次医療を超えて可能になってきている。さらに大学病院やほかの専門病院との連携により、より高度な獣医療を提供している獣医師も増えてきた。

多様化・細分化する獣医療。飼い主は「どんな病院を」「どんな獣医師を」選ぶべきか。知識・技術は当然だが、ペットとともに飼い主も思いやる心も望まれる。多くの飼い主たちが信頼を寄せて全国から集まる病院、ペット業界のプロたちが推薦する病院、そして獣医師が信頼して紹介する病院にこそ、その答えがあるのだ。ここでは、そんな「選ばれし獣医師」を紹介していく。

地域密着型の頼れるホームドクター

2012年に東京都日野市に開院した「ねもと犬猫病院」。この地域に密着した一次診療の病院で、頼れるホームドクターとして活躍をしているのが根本洋明院長である。「自分がしたい診療より、患者が望む診療をしたい」と患者に寄り添うことを第一の治療方針としている。

高度医療である二次診療の現場での勤務経験を活かしながら、質の高い診療を行い、飼い主から絶大な信頼を得ているのだ。開業以来、頼れる獣医師を目指し、夜間救急にも取り組んでいる。病院には、トリミングやペットホテルを完備し、その付加価値を高めるトータルな診療を行う。

地域密着型のホームドクターのあるべき姿を追求する、ねもと犬猫病院の根本院長に話をうかがった。

根本 洋明 院長
2005年:日本大学生物資源科学部獣医学科 卒業
     ウィズ動物病院勤務
2007年:アツキ動物医療センター勤務
2012年:ねもと犬猫病院 開院

・獣医師を目指したきっかけ

「子どものころから動物に興味があった」

幼いころから動物が好きだったのですが、妹が喘息だったこともあり、自宅では動物を飼うことができませんでした。田舎に行けば犬や猫がいたので、そのときだけ遊ぶことができました。そうした反動もあったからでしょうか、より動物に対する興味が深まり、将来は動物関係の仕事に就きたいと考えるようになりました。

当初は、誰もが抱くような「動物園で働きたい」という思いから始まりました。中学時代になると「獣医っておもしろそうだな。楽しそうだな」と考えるようになり、その夢を叶えるために獣医になるための大学へ進学しました。

そこで学んでいるうちに、小動物や動物病院に興味を持ち、徐々に自分が進むべき方向性が定まっていきました。卒業するころには、いずれは動物病院を開業しようと考えていました。

・二次医療もある高度医療センターでの診療を選んだ理由

「獣医師としての技術と知識を高めるため」

まずは、大学卒業後に地元の動物病院に勤務医として就職をしました。一次診療の現場では多くの症例や珍しい症例を診ることが少ないので、ワクチン接種や健康診断などをはじめ、一般的な診療を行う日々が続きました。

卒業後すぐに勤務医となりましたから、獣医師として未熟な点も多く、知識と技術をレベルアップさせる必要性を感じ、その後、二次診療の現場で経験を積むことを選択しました。もともと、開業することを視野に入れていましたので、知識と技術のレベルアップは必須だと感じていたことも理由のひとつです。

私が勤めた二次診療の病院は一次診療もある民間病院でしたので、本当にありとあらゆる患者を診療しました。関西には大学病院が少なく、二次診療をする大学病院が県内にありませんでしたので、「来られた患者はできるだけここで治す」という思いで診療にあたっていました。

それは開業するにおいて、本当に有意義で不可欠な経験であったと思っています。毎日のようにたくさんの患者を診ることはもちろん、重症の患者を診て、難しい治療をする日々でもありましたから、その経験がなければ開業には至らなかったでしょう。

常に冷静に状況を見極めて、適切な治療を選択し、対処する、獣医師としての自信は、二次診療での経験があるからこそ持てたものだと思っています。ホームドクターとしての私の大きな強みとなっています。

・得意としている診療分野

「ニーズに応え、皮膚疾患の治療に力を入れている」

大学時代に所属していた研究室は外科でしたから、腫瘍などの研究を多くしていました。二次診療の病院時代も多くの外科の患者を診てきましたが、現在はニーズに応え、皮膚疾患の治療に力を入れています。併設されたトリミング施設では、薬浴治療なども行っています。

ただ、ホームドクターの場合はどんな疾患でも診療ができないといけませんので、得意なものは得意なままで維持し、不得意なものをつくらないようにしていますね。

すべての分野に対して、知識と技術は一定のレベルは保たなければならないと考えていますので、日々それに対する努力は続けています。スペシャリストではなく、レベルの高いゼネラリストを追求するということですね。

・なぜ夜間診療に対応しているのか?

「困ったときに力になれる獣医師でありたい」

開業以来、夜間診療は可能な限り対応しています。地域密着型のホームドクターであるからには、困ったときに力になれる獣医師でなければならないという考えからです。一次診療の病院ですから設備やスタッフは限られていますが、その中でできる限りの対応をさせていただいています。

・治療時に大切にしていること

「飼い主と二人三脚で治療を進めていくこと」

ここで治療を受けてよかったと思ってもらえるように、飼い主が望むことを第一に考えながら取り組むことが大切だと思っています。その望むことに沿って、どのような治療をすることが最良であるか、経験の中からいくつかの選択肢を提示し、その決められた方針に柔軟に対応しています。

高度な手術を望む飼い主もいれば、手術はせずに緩和ケアを望む飼い主もいます。どちらを選択したとしても、飼い主が悔やむことのないよう、治療前にしっかりと説明をして、二人三脚で治療に取り組むことを大事にしています。

二次医療の経験から、重篤な患者が手術を選択した場合と、緩和ケアを選択した場合の最悪のケースが頭に浮かびます。そのときには、私はその最悪のケースもきちんと飼い主にお伝えするようにしています。もし患者が亡くなれば、いずれを選択しても後悔はされるでしょう。

でも、事前に納得してもらうことで、どちらの後悔がより少なく済むか考えることができるからです。どんなときも飼い主に寄り添い、一緒に考えます。それがホームドクターとしての役割であり、責務だと思っています。

・今後の展望

「治療と予防と日常ケアをトータルに考え提供していく」

治療、予防、日常のケアを別々に考えるのではなく、トータルに考えて、レベルの高いサービスを提供したいと考えています。トリミングやペットホテルを併設しているのも、患者と飼い主のための施設ととらえています。

トリミングで全身を触ることで、いつもと違う状態に気づくことができます。耳や口の中、肛門腺、しこりなど、全身の健康をチェックできますので、早期に病気を見つけることに役立ちます。この病院ではトリマーも医療的な知識を持っていますので、皮膚疾患の薬浴治療が出来たり、心臓や関節に持病があり、ほかのトリミング施設では受け入れてもらえない患者がトリミングを受けられたりします。

また、ホテルを併設していることで、飼い主が出かける際に持病を抱えている患者を安心して預けることができるなど、その付加価値はとても大きなものです。この地域の患者と飼い主が利用しやすい病院を目指しているので、治療と予防と日常のケアを一緒できることが大切だと考えます。

今後はさらに発展させて、セラピー的な要素も取り入れていきたいですね。当院がこの地域に大きく貢献できる施設として成長していけるよう、日々、努力していきます。

・先生にとって「動物」とは?

「好きなもの、興味のあるもの」

私にとっては子どものころから好きなもの、興味のあるものですね。ただ、仕事にしてしまうと好きだけではなく、そこに大きな責任が存在するので、それでは済まされない部分がありますね。プライベートでは「好きなもの、興味があるもの」ですが、仕事では「責任があるもの」です。

【ねもと犬猫病院】
住所:〒191-0032 東京都日野市三沢3-2-13
TEL:042-506-9199
最寄り駅:京王線・多摩都市モノレール高幡不動駅徒歩10分/京王百草園駅徒歩10分
URL:http://www.ne.jp/asahi/nemoto/animalhospital/

[編集部]