【猫飼いTIPS】猫ひっかき病とは? あなたと愛猫にとって知っておくべきこと

猫ひっかき病(CSD)は、バルトネラ菌(Bartonella henselae)によって引き起こされる伝染性の細菌性疾患です。動物と人間の間で伝染する可能性がある人獣共通感染症で、猫ひっかき熱とも呼ばれています。厚生労働省の「動物由来感染症ハンドブック」でも紹介されています。

私たちは、感染した猫に掻かれたり咬まれたりして発症します。子どもや免疫不全の患者が感染しやすいとされていますが、すべての人が感染する可能性があります。今回は、猫ひっかき病についてのお話です。

猫ひっかき病の原因は?

猫の場合、一般的にノミの糞が原因となり感染します。ノミの糞には細菌が繁殖しており、その細菌が猫の被毛に付着します。猫は毛づくろいによってその細菌を摂取し感染します。人間がノミから感染することはありませんが、マダニを媒介して人間や猫に感染することがあります。

人間の場合、感染した猫に引っ掻かれたり咬まれたりして感染する可能性があります。また、皮膚の傷を舐められた場合など、唾液が媒介となって感染することもあります。

猫ひっかき熱の症状は?

猫は感染しても無症状ですが、ストレス時に発熱、腺の腫れ、筋肉痛などの症状が出ることがあります。いずれにしても病気で苦しむことはありません。しかし、一部の猫では、無気力症や食欲不振、生殖障害などが見られることもあります。

人間の場合、受傷部位の発疹など軽度な症状で短期間で自然に治ります。ただし、リンパ節の腫れや発熱、頭痛に倦怠感、食欲減退などの症状が出ることがあります。

幸いにも、猫ひっかき病は人間にとって致命的な病気ではありませんが、免疫力が低下している患者にとっては大きなリスクとなるので注意が必要となります。

治療法は?

猫ひっかき病は、ほとんどの場合は数週間以内に自然に治りますが、場合によっては軽度の症状が数カ月続くこともあります。症状の悪化を防ぐために安静を心がけ、重症の場合は抗菌薬(抗生物質、抗生剤)をもちいて治療します。

ほとんどの猫はバルトネラ菌を保有していても症状を示さないため、一般的に治療は必要ありません。仮に治療する場合でも、2週間から1カ月程度の抗生物質の投与のみです。もっとも効果的なのはノミの駆除と予防です。

まとめ

猫ひっかき病は、猫と人間の両方にとって生命を脅かすものではありません。しかし、子どもや免疫力が低下している人は注意が必要です。

まず、家や猫にノミやダニがつかないようにすること、猫の爪を切っておくこと、猫との激しい遊びを避けることです。

もし、引っ掻かれたり咬まれたりしたら、石鹸と水で傷をよく洗い流してください。そして、猫が直接傷に触れないように絆創膏や滅菌ガーゼなどで保護しましょう。気になるようなら、市販の化膿止め(抗生物質)軟膏などを塗布するのもよいでしょう。