【猫飼いTIPS】なぜ猫はスプレーするの? その理由とやめさせる方法

猫を飼っていると、不適切なおしっこやスプレーに悩まされることがあります。室内で飼っている猫の場合、これらは悩ましい問題です。

猫の泌尿器系の問題は複雑で、健康や行動の根本的な問題が原因であることもあります。トイレの外でおしっこをすることとスプレーでは、原因もニオイも、そしてやり方も異なります。今回は、スプレーの理由と対処についてのお話です。

猫のスプレーとは

スプレーとは猫のマーキング行動のひとつです。壁などの垂直な面に後ずさりして、少量の尿を放出するものです。あまり一般的ではありませんが、猫は水平面にもスプレーをすることがあります。スプレーされた尿は、フェロモンによって通常の尿よりも強い刺激臭があります。

猫のスプレーは根本的なストレスや不安が原因である可能性が高く、トイレ外でのおしっこは下部尿路疾患や猫砂の感触が気に入らないことが多いようです。また、トイレ外でのおしっこは尿の量が多くなり、多くの場合はラグやベッドなど水平な場所になされます。

なぜ猫はスプレーをするの?

猫がスプレーをするのには、さまざまな理由があります。ここでは代表的なものをご紹介します。

【ほかの猫とコミュニケーションをとるため】
猫同士は、スプレーでコミュニケーションを取ることがあります。一般的に猫は単独行動で生活するので、多頭飼いであっても自分の居場所を確保しようとします。ほかの猫が自分のスペースに進入してきたり、自分のリソース(フード、おもちゃ、キャットタワー、トイレなど)を奪おうとしていると感じると、スプレーをすることがあるようです。

【野良猫とコミュニケーションをとるため】
近所に野良猫が多く住んでいてるところで生活している室内猫もスプレーをすることがあります。窓の外にいる野良猫は、室内猫にとっては縄張りの脅威となります。野良猫に縄張りがあることを伝えるために、窓周辺にスプレーをするのです。それは、野良猫が寄り付かなくなるようにするためです。

【ストレスを感じている】
猫の日常生活や環境の変化がストレスになることがあります。ストレスがたまると、トイレ外でおしっこをしたり、壁などにスプレーしたりする猫もいます。新しいペットや人の訪問、リフォームや外の工事などがストレスの原因になることがあります。

【仲間を呼び寄せるため】
スプレーは去勢していないオス猫によく見られますが、メス猫や去勢したオス猫もすることがあります。去勢していないオス猫は、仲間を集めるため、あるいはメス猫とのコミュニケーションをとるためにスプレーをします。

スプレーは、オス猫、メス猫ともに性成熟期である生後6カ月ごろに発生しやすくなります。また、去勢・避妊をした猫もスプレーをすることがありますが、猫がストレスのない環境にいて、社会的・精神的欲求が満たされていると感じている場合は、スプレーをする可能性は低くなります。

猫のスプレーを止める方法

もっとも重要なことは、猫がスプレーをしたときに決して罰(怒鳴る、叩く、水をかけるなど)を与えないことです。罰ではスプレー行動を減らすことはできませんし、あなたを怖がり、よりストレスを与えることになります。愛猫がスプレーをする場合、その行動を止められるかもしれないテクニックをいくつか紹介します。

【基礎疾患の可能性を除外する】
愛猫がスプレーをする場合、最初のステップは動物病院で診察を受け、医学的問題の可能性を診察や検査で除外することです。
獣医師は、全血球計算や化学検査、尿検査を含む検査を勧めるでしょう。検査の目的は、尿路感染症、結晶尿症、膀胱結石、腎臓病、または泌尿器系に炎症を起こす疾患などの可能性があるかどうかを調べることです。これらの病気が診断された場合、その病気を治療することによって、スプレーを減らすことができるはずです。

【避妊・去勢する】
もし、愛猫が避妊・去勢していない場合は、ただちに避妊・去勢手術をすることでスプレーを減らすことができます。

【ストレスを軽減する】
ストレスがきっかけとなる可能性があります。ストレスのたまった猫を助けるために、猫の環境にあるストレッサーを特定して排除することから始めます。給餌時間の変更やトイレの移動など、小さな変更は猫にストレスを与える可能性があります。
ジルケーンなどの不安を軽減するサプリメントも、猫のストレスを管理するのに役立ちます。しかし、愛猫の不安感がひどく効果が感じられない場合は、獣医師に相談しましょう。

【猫同士の対立に対処する】
猫同士の緊張関係が、スプレーの一因になることがあります。多頭飼いの家庭でスプレーが気になる場合は、それぞれの猫が安心して過ごせるよう、必要なものが揃っているかどうかを確認しましょう。
トイレの数やフードボウルの数、高さのある場所など、それぞれの猫が必要とするものが揃っていると感じられるように配慮しましょう。トイレの数は猫の数+1個にしましょう。2匹飼いの場合は3個用意し、離れた場所に設置します。それぞれの猫に専用の食事場所と食器、そして専用のキャットステップやキャットタワーを用意しましょう。
新しい猫を迎えた場合は、しばらくケージ越しに対面させ、環境に適応する機会を与えます。猫間の緊張が物理的な喧嘩に発展した場合は、生活空間を分けたり、ケージを使って外で過ごす時間を分けることで対処することが可能です。

【野良猫を近づけない】
愛猫が外にいる野良猫に対して、警戒するためにスプレーをしている場合は、以下の方法を試してみてください。

・窓をブラインドやカーテンで覆い、猫から外の景色が見えないようにする
・愛猫がスプレーした場所に、フェロモンスディフューザーを置く
・庭にペパーミントやローズマリーなどの猫が嫌がる香りのハーブを植える
・野良猫にマーキングされた庭に木酢液や柑橘系のスプレーを散布する
・センサー付きの超音波発生機を設置し、猫が近づかないようにする


【スプレー状況を記録する】
猫がスプレーをした場所と回数、その行動を抑えるためにとった方法を記録します。そうすることで、対策がうまくいっているかどうかを知ることができます。

猫のスプレー臭を消す方法

猫がスプレーした場所を掃除するときは、有機物やニオイを中和するクリーナーを使用します。これまでは塩素系薬剤を使うケースが多く見られましたが、最近ではペットや環境にやさしく、安心して使える天然由来成分の製品が選ばれているようです。また、アンモニア系の洗剤は、猫がその場所にマーキングし続ける可能性があるので使用しないでください。