「犬に顔を噛まれて33針縫った女性」の嘆き……愛犬家の過信が招く最悪の結末

「犬に顔を噛まれて33針縫った女性」の嘆き……愛犬家の過信が招く最悪の結末

文春オンライン | 2021/07/16

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このコーナーでは、注目ニュースに対する編集部や識者のコメントを紹介します。

この記事を読まれた人も多いと思います。私も犬の飼い主としてハッとさせられました。ペットは生き物で意思を持っています。私たちの意図のとおり行動するとは限りません。だからこそ「うちの子は大丈夫」ではなく、「万が一のこともある」という意識でいることが大切なのです。

「うちの子はおとなしい性格だから」「うちの子は普段から吠えたり噛んだりしないから」という先入観があると、例えば前から人やほかの犬が来たときに、リードを短くしたり、あえて距離をとったりするといった行動をすることがありません。

また、身体的準備ができていなければ、何かの拍子に急に犬が引っ張ったときに、リードを離してしまったり、自身が転んだり怪我をすることもあります。

人は予期しないことが起こると、頭も体もフリーズしてしまいます。もし、愛犬が予想もしない行動をした際に、この記事の加害者のように静止することもできず、ただ呆然と立ち尽くしてしまうことになります。しかし、「もしかしたら」という意識があれば、すぐに対処するなど行動に移すことができます。

運転免許を持っている人は、「だろう運転」「かもしれない運転」という言葉を聞いたことがあるでしょう。教習所で教官が繰り返し話し、教則ビデオでも何度も言及されていました。

「だろう運転」とは、楽観的に都合よく予測して運転することです。「かもしれない運転」はだろう運転の反対の意味で、つねに高い安全意識を持ち、危険を想定して運転することをいいます。ペットを飼うということは、運転と同じで「かもしれない」を心がけることが必要なのです。

さらに、万が一に備えて、ペット保険に「ペット賠償責任特約」を追加することも考えるべきでしょう。この特約は、ペットが他人やほかの犬にケガをさせたり、他人のモノに損害を与えたりした際に損害賠償費用などを補償してもらえるものです。

ちなみに、自動車保険や火災保険などでも同様の保証が受けられる「個人賠償責任保険の特約」をつけられるものもあります。そういった保険に加入している場合は、保険内容を見直して、検討してもよいかもしれません。

自分と愛犬が加害者にならないためにも、普段からの心構えとともに、万が一に備えておくことも大切です。