消毒用エタノールはペットには危険!では何を使うべき?

CNNの4月29日のニュースによると、米ノースカロライナ州で新型コロナウイルスに感染した家族の飼い犬が、検査で陽性反応を示したということです。米国内で犬が新型ウイルス陽性となった例は初めてとみられますが、検出されたウイルスはごく少量で、犬から人、犬からほかの動物に感染する可能性はないだろうという見解です。そのほか、ニューヨーク・ブロンクス動物園のトラが感染したなど、いくつかの国において犬や猫の感染が報告されています。しかし、その報告は検査の正確性が問題視されたり、研究段階であったりするために、医学的には明確にはわかっていません。

愛犬や愛猫に風邪のような症状が見られた場合、「わが家の子は新型コロナウイルスにかかったのでは?」と不安に感じている飼い主も多いことでしょう。それ以前に、飼い主が感染しないようにと、「エタノール(エチルアルコール)」が入っている消毒液をさまざまな場面で使用していることと思います。人間の予防によいとされているので、もしかしたら、愛犬や愛猫にもよいと考え、散歩後の足拭き、体拭きなどに使用されている人も多いのではないでしょうか。

犬や猫には危険な「エタノール」

新型コロナウイルスの予防のひとつといわれているアルコール消毒薬の成分には、「エタノール」が入っています。一般的にお酒に含まれているのがエタノールです。人間はこれを分解する酵素を持っていますが、この酵素の量が少ない人は、顔が赤くなったり、いわゆるお酒に弱いということになります。場合によっては急性アルコール中毒になることもあります。

犬や猫はアルコールを体内で分解できないので、摂取量によっては中毒を引き起こします。どの程度の量かは個体差があり、ニオイを嗅いだだけでも中毒になることもあります。体内に入ったエタノールは循環しながら、悪影響を及ぼします。分解されないので体内に残り続け、蓄積された結果、命を落とすこともあります。体重1kgあたり5.6mlで重篤な症状が表れるとされているので、使用には十分に注意をする必要があります。

犬や猫のいる環境では使用方法に注意

愛犬や愛猫に、消毒用エタノールを手足や体等に吹きかけることは絶対にしてはいけません。乾いたと思っても毛の間に消毒薬が残り、知らず知らずのうちに舐めている場合があります。最近では、除菌シートにもエタノールが成分として入っているものがあります。拭いたあとに愛犬や愛猫が少し舐めるぶんには問題はないようですが、使用しないに越したことはありません。できるだけ、ノンアルコールの商品を使用するようにしましょう。

また、飼い主が自分の手を消毒した際にも注意が必要です。消毒用エタノールはエタノールを体積比80%程度含んでいて、適用後20秒くらいは蒸発しないようにするのが有効な使用方法とされています。ですので、飼い主が自分の手を消毒した際には、その間に愛犬や愛猫が舐めないように、手が完全に乾いてから触れるようにしましょう。ちなみに、無水エタノールは適用後すぐに蒸発するので、消毒効果は低いでしょう。

犬や猫の消毒はどうしたらよいの?

汚れなどは濡れたタオルで拭くだけでよいです。ただ、どうしても消毒したい場合は、次亜塩素酸水の利用をおすすめします。次亜塩素酸水は、手指・食品・物品に関しての使用が可能な水溶液で、抗ウイルス効果が論文でも広く支持されています。また、厚生労働省により食品添加物にも指定されています。これまでも、動物病院、ペットサロン、ペットホテル、犬や猫のいる家庭などで使われてきました。

4月15日には、経済産業省より「新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価を行う」との発表がありました。これまでの調査結果を踏まえて有識者による検討委員会を開催し、新型コロナウイルスに有効な可能性がある消毒方法として、次亜塩素酸水(電気分解法で生成したもの)が追加されています。今後、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が国立感染症研究所、北里研究所と共同で検証試験を行い、有効性の評価をするとしています。

ただし、次亜塩素酸水のなかでも例外があります。一般財団法人機能水研究振興財団によると、次亜塩素酸ナトリウム(4%以上)に酸を混和・希釈して酸性化した溶液が次亜塩素酸水として販売されていますが、これは食品添加物に指定されておらず疑似次亜塩素酸水であるとしています。

使用する際には、成分や生成方法を確認するようにしましょう。医学的にまだ新型コロナウイルスの詳細がわかっていませんので確実とはいえませんが、日々最新の情報を入手しながら、愛犬や愛猫が健康に過ごせるようにしたいですね。