愛犬が孤立?…高齢者がペットを飼うことの功罪
このコーナーでは、注目ニュースに対する編集部や識者のコメントを紹介します。
ペットと高齢者の関係は、高齢化の進展とともに話題になっています。ただ、法整備もセーフティネットもないのが現状です。この記事にあるように、介護保険では、飼っているペットについての設計はできません。“もしものとき”には、ソーシャルワーカーさんたちが、それぞれの判断で出来る限りのことをします。しかし、限界もあり、しわ寄せが近隣住民や自治体、さらには保護団体にいくことになります。
もちろん、高齢者がペットを飼うことで、穏やかに暮らせたり、健康寿命が延びたりとメリットも多いのも事実です。東京農業大学の太田光明教授(動物介在療法学)も、ペットがもたらす高齢者の健康への効果を解説しています。それは、今後ますます危機的になる国民医療費の改善にもつながると期待されています。
業界も健康寿命の伸長を旗印にして、高齢者がペットを飼うことを推奨する立場です。しかし、“もしものとき”まで考えて販売をしているペットショップなどはどれくらいあるのでしょうか。動物病院、サロンやホテルなどトータルサービスを提供している大手チェーンでさえ、まだ手つかずです。多くは販売して終わりです。
しかし、実際には、そういった現状に向き合い、対応している人たちもいるのです。それが、「健全」なブリーダーたちです。彼らは犬・猫を販売する際、もし飼えなくなってしまった場合は、必ずブリーダーに連絡してもらうようにしています。面倒を見てくれる人がいない場合など緊急性があれば自ら引き取ります。そのうえで、飼い主がいなくなってしまった犬や猫の里親さがしをしたり、生家で一生を送るなどを判断します。その行動は、彼らの動物に対する愛情と責任からうまれるもので、けっしてビジネスだけで繁殖・販売をしているのではないことが分かります。
ペットの販売に携わる者は、“もしものとき”に責任をとるような仕組みを考えるべきではないでしょうか。健全なブリーダーたちのように、帰れる場所をつくる、もしくは保護団体を積極的に支援するなど、利益の一部を社会貢献に回すべきではないでしょうか。それが不幸なペットを減らすことや、高齢者が安心してペットの生活を送れる社会をつくるのだと思います。
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