「子猫の便に多数の回虫」増える犬猫購入トラブル ~紹介サイトに潜む悪徳ブリーダーの見極め方
このコーナーでは、注目ニュースに対する編集部や識者のコメントを紹介します。
動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)は、2019年に法改正が公布され、2020年6月1日に一部を除いて施行されました。
この動物愛護管理法は、施行後5年を目途として状況について検討を加え、必要があると認められれば所要の措置が講じられます。そして2026年の通常国会において法改正を行うことになります。
法改正に伴う省令の「数値規制」については段階的に強化され、来年の2024年に完全施行されます。それも視野に入れてか、このところ動物愛護管理法の改正についての議論が出始めてきました。7月には、立憲民主党が「動物愛護議員サミット~保護犬猫のために~」を国会内で開催しました。
動物愛護の議論が活発化するのはよい傾向だと思いますが、単なる票集めのアピールや感情論ではなく、実態に即した議論がなされることを期待したいところです。
さて、法改正ではブリーダーの健全性がかなりクローズアップされることになりましたが、現実にはあまり変化がないように感じます。コロナ禍以後、健全とは思えない業者が雨後の筍のように乱立しています。
最近とくに気になるのはネットの仲介サイトで、どのサイトを見ても「優良ブリーダー」を紹介していると謳っています。しかし、彼らのいう「優良」とは、私たちの認識とは異なるようです。「優良」を辞書で調べると、「他のものより、すぐれていること」とされています。しかし、紹介サイトを見る限り、そうとは思えないブリーダーも多々見受けられます。
この記事にあるように、本来ブリーダーとは、国際的に認知された団体による犬種・猫種のスタンダードを満たす優れた血統を守り、それを後世に伝える役割を担っています。そのために、ドッグショーやキャットショーに定期的に参加してスタンダードを学ぶのです。
法律を遵守するのは当然として、遺伝的疾患のリスクを最大限に取り除き、母体への負担を考えた計画的な繁殖をし、子犬や子猫を健やかに育てるための環境づくりを徹底します。また、犬舎や猫舎での飼育環境や親犬・親猫の確認が可能なのは「優良」の条件です。
しかしながら、仲介サイトに登録されているブリーダーを見ると、どうみてもスタンダードから外れた子犬や子猫を掲載している、感染症対策を言い訳に見学を不可としている、さらには、知識や経験不足でカラーの判別ができず、遺伝的に産まれるはずのないカラーが記載されているなど、「優良」には程遠いブリーダーもいるのです。
実は、多くの仲介サイトのブリーダーの登録は簡単です。法令遵守、動物取扱業登録証の有無、生体保証や血統書発行についての確認、質問事項への返答などがなされるだけです。犬舎や猫舎を訪問することもあるとされていますが、実際に訪問を受けたことのあるブリーダーはほとんどいないようです。
例えば、子犬・子猫の掲載頭数が多い場合は、親犬・親猫の飼育頭数や繁殖回数が多いことが想定できます。そういった犬舎や猫舎には登録時に訪れるのはもちろん、その後も定期的に、また抜き打ちで確認に訪れるのが「優良」を謳う事業者の責任ではないでしょうか。
これは、国民生活センターの報道発表にある、ブリーダーからの購入トラブルの増加の1つの要因になっているとも言えるでしょう。
消費者庁は「景品表示法」において、商品・サービスの品質を、実際よりも優れていると偽って宣伝したり、競争業者が販売する商品・サービスよりも特に優れているわけではないのに、あたかも優れているかのように偽って宣伝する行為を「優良誤認」として禁止しています。
ペットの仲介サイトが、この「優良誤認」と指摘される可能性もあり、事業者には優良認定や維持管理についての改善を期待したいと思います。
しかし、現状では私たち消費者が自ら確認して判断するしかありません。ペトハピでは以下のような確認を推奨しています。
・犬舎や猫舎の飼育環境を見学できるか
・親犬や親猫を確認できるか
・1~2種程度を繁殖する専門ブリーダーであるか
・ショーに参加しているか
・世界基準の血統書を発行できるか
・犬や猫が生活している環境を確認
・犬や猫の健康状態を確認
・親犬や親猫を確認し、遺伝子検査や健康診断の結果も確認
・犬種や猫種のスタンダードを重視しているか質問
・飼育方法や気になることを質問
・契約書の内容を確認
・信頼できる人かどうかを確認
前述したように、健全なブリーダーは繁殖する種を心から愛し、スタンダードを重視して血統を繋いでいます。飼育環境を衛生的に保ち、愛情を注いで犬や猫を育てているので、健康や性格はこのうえなく良好です。
犬舎や猫舎だけでなく、親犬や親猫を見せることが可能なのは健全だからです。経験や知識も豊富なので、あらゆる質問や疑問に応えられます。これらは飼い主が困ったときなど的確にアドバイスしてもらえるということに繋がり、安心してペットと暮らすことができるということです。
ペトハピでは、こうした健全なブリーダーこそが「持続可能なペット社会」をつくる礎だと考えています。子犬や子猫を迎えるときには、しっかりと見極めることが大切です。
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