【みんなで防災:第11回】ペットが迷子になった、保護したときにはどうする?

過去の災害においては、室内飼育の犬や猫でも災害時にパニックになり、開いている扉や倒壊した建物の隙間などから逃げ出して行方不明になったという事例が多数報告されています。災害はいつ起こるか予測ができず、備えていてもさまざまな状況からペットと離れ離れになってしまうことがあるのです。

今回は、愛犬や愛猫が迷子になってしまったとき、また迷子の犬や猫を保護したときにはどう対応すればよいのかというお話です。今回が「ペットの命を守る災害対策」の最終回となります。

愛犬や愛猫が迷子になってしまったら

まずは、ペットの特徴がよくわかる写真やチラシを用意しましょう。これらは災害時には用意できない場合もあるので、日ごろから避難用品のなかに入れておくことが大切です。

迷子になったペットはあちらこちらをさまよい、さまざまな危険にさらされることになります。迷子になってからの時間が経過するほど見つかる可能性は低くなるので、近隣の人にペットを見なかったか聞いて回ったり、写真等を貼らせてもらうなど速やかに対応する必要があります。

また、自宅付近にペットが戻っている場合もあるので、逃げ出した方向だけでなく付近も捜索してみましょう。

次に、ペットが迷子になった場所を管轄する市町村の保健所や動物管理センター等に連絡をしましょう。迷子になった場所がほかの市町村に近い場合には、念のため隣接する地域を管轄する保健所等にも連絡をします。

一度問い合わせて見つからなくても、あきらめずに何度も問い合わせをしてみましょう。そして、保護した人が警察へ届けている場合もあるので、管轄の警察署、最寄りの警察署へ連絡してみましょう。

環境省のホームページには「収容動物検索情報サイト」があります。そこには、収容動物の情報を掲載している自治体リンク先一覧がありますので、リンクしている自治体であればそこから保護されている犬や猫を見ることができます。

迷子情報をサイトから登録できる自治体もあるので、事前にその利用方法を確認しておくことをオススメします。また、迷子の犬の探し方、迷子の猫の探し方も下記のように掲載されています。犬と猫とでは迷子になったときの行動が大きく違いますので、しっかりと覚えておきましょう。

【迷子の犬の探し方】
 迷子になった犬は無目的に歩き続け、どんどん離れていってしまいます。運動能力の高い大型犬などでは、一日に何十キロも移動することもあります。
 個々の犬の移動能力を考えて、いなくなった場所を中心に、同心円を描くように捜していくと効果的です。


【迷子の猫の探し方】
 猫は体調が悪かったり、慣れない場所に迷い込んだ場合、暗くて狭いところでじっとしている習性があります。いなくなった場所の付近で、縁の下やビルの隙間など、身を隠せるような場所を重点的に探すと効果的です。
 室内飼いの猫がいなくなったときには、まず室内を徹底的に捜してください。臆病な猫では、何かに驚き、普段なら考えもしないところに隠れていることもあります。室内にいないとなったら、物置の中、エアコンの室外機の下、植え込みの中など、家の周囲の狭くて暗いところを捜してください。室内飼いの猫は、外に出ても遠くに行かないことがほとんどです。
 猫は放し飼いがまだ普通に行われているので、道などを歩いていても不自然ではありません。写真入りポスターなどで捜していることを付近住民にアピールすることも重要です。


迷子の動物を見かけたら

環境省では、「もし、迷子の動物を見かけたらできる限り保護をお願いします」としています。放置しておくとペットはどんどん移動してしまい、飼い主との再会が困難になっていきます。また、交通事故などのアクシデントに遭う可能性も高くなります。そのため、できる限りの保護を呼び掛けているのです。

ペットを保護した時には、病気等の感染を防ぐため、愛犬や愛猫とは離れた場所に保護しましょう。

まずは、フードや水を与えて落ち着かせます。落ち着いてから、身元を示すものはないか、ネームプレートや鑑札、首輪の裏などをチェックするようにします。マイクロチップを装着している可能性もあるので、動物病院に連れて行き読み取り機で確かめるのもひとつの方法です。

自宅内で保護している場合には、玄関などの目に付きやすい場所に「保護している犬がいます」と書いた紙を画像とともに掲示します。自宅内で保護できない場合には、外から目に付く安全な場所を選んで一時保護しましょう。

ペットを保護したら、飼い主からの連絡が入っていないかどうか管轄の市町村や動物管理センターに連絡をして確認してみましょう。一時保護したものの、そのまま保護飼育することが難しい場合にはその旨を動物管理センターなどに相談しましょう。

まとめ

災害発生時には、日ごろからどんなに備えていても、気を付けていても飼い主と離れ離れになってしまうことがあります。犬や猫などのペットは言葉を発することができないので、住所も電話番号も伝えることができません。

迷子になったときのために、飼い主の連絡先を記した首輪や迷子札、鑑札などを装着しておくことはとても大切なことです。しかし、それらが外れてしまった場合には、飼い主を特定することができません。

動物愛護法の改正によりマイクロチップ装着が飼い主の努力義務となりました。マイクロチップを装着していれば脱落することはなく、高い確率で迷子になったペットが飼い主のもとへ戻れます。

迷子になって辛い思いをするのはペットです。「うちの子は大丈夫」と思わずに、飼い主としてしっかりと考えて対策をしておきましょう。

ペットの命を守れるのは、飼い主であるあなたしかいないのですから。