【猫飼いTIPS】猫は「狩り」に恋してる。でも部屋に入り込んだ虫を食べてもいいの?

猫がペットとして暮らすようになったのは、犬よりもずっと最近です。猫にはまだ野生の本能が色濃く残っています。そのひとつが「狩り」です。ターゲットを追いかけたり、捕まえたり、猫は狩りが大好きです。

しかし、これは決して捕食のためではありません。目の前にフードが満たされていても、その欲求は少しも衰えることはないのです。野生のように、獲物が少ない室内で暮らす猫の場合、次善の策として部屋に入り込んだ虫を狙うことが多いようです。今回は猫と虫のお話です。

猫はなぜ虫を追いかけるの?

虫を追いかけるのは、人間が考えた猫のおもちゃ(棒にくくりつけた羽や、鈴のついたボールなど)よりもずっと楽しいものです。そのような猫のおもちゃは、猫の内なる野生の本能を満足させるものではなく、虫こそがその代用なるのでしょう。ですので、猫が虫を狩るのが好きなのも無理はないでしょう。

猫は「偏性肉食動物(真の肉食動物)」です。偏性肉食動物とは、動物性のタンパク源を食べなければ生きていけない動物と定義されています。偏性肉食動物は陸にも海にも存在しています。哺乳類以外でも、タカ、ワシ、ワニ、両生類が含まれます。

猫は生きていくために大量のタンパク質を必要とし、必要な糖分は炭水化物ではなく、タンパク質を利用してグルコースをつくる「糖新生」という方法で得ています。野生の猫は、ネズミ、鳥、ウサギ、ときには爬虫類など動物を狩ることでタンパク質を得ています。

また、家庭の猫は低炭水化物・高タンパクのキャットフードを適量与えていれば、必要なタンパク質はすべて摂取できていることになります。

ということで、この虫取り現象は、生物学ではなく行動学に根拠があるようです。猫の脳は獲物を追いかけるようにプログラムされています。虫は素早く動く小さな獲物となるので、追いかけて捕食するのは楽しくて本能的なものだといえます。犬ほどにはペット化(家畜化)されていないので、この生来の狩りの欲求や遊びを通しての捕食行動は、家で暮らす猫であっても、まだかなり活発なのです。

猫は虫を食べてもいいの?

虫は主要なタンパク源にはなりません。でも、もし虫を食べてしまっても問題ないのでしょうか。その際に懸念されるのが、虫の摂取による「内部寄生虫」です。

昆虫によっては、フィサロプテラ(胃虫、線虫)など、猫に感染する寄生虫を運ぶことができますが、摂取することによる危険性は非常に小さいとされています。

また、虫は猫の胃腸を刺激することがあります。その結果、嘔吐や下痢をすることがよくあります。ひどい場合や、1〜2日経っても症状が治らない場合は、獣医師の診察を受ける必要があります。

しかし、ある種の虫が猫の被毛に寄生したり、生息したりすると、確かに問題になることがあるそうです。ノミはサナダムシを媒介したり、猫を貧血にしたりしますし、マダニは、動物や人間にいくつかの病気を媒介することがあります。つまり、虫に刺されるほうが心配なのです。ハチやアブ、クモに刺さたことで、アレルギー反応を起こしたり、アナフィラキシーショックを引き起こすこともあります。

殺虫剤は猫に毒になるの?

家のなかに虫を入れないようにするために、殺虫剤を使っている人は多いと思います。殺虫剤を浴びた虫を食べたら、ペットに影響があるのではと心配になる人もいらっしゃるでしょう。

しかし、ほとんどの場合は心配する必要はありません。死にかけの虫は毒素の量が少ないので、ペットに副作用が出ることはまずありません。

ただし、猫が殺虫剤に直接触れた場合、状況は大きく変わります。ペットを飼う人が家庭で化学薬品を使うときは、殺虫剤であれ何であれ調べてみるのが一番です。つまり、裏ラベルの成分表を確認することです。

例えば、「ピレスロイド」は、猫によっては激しい震えや体温の上昇、発作を引き起こすことがあります。

もし、愛猫が殺虫剤を摂取したと思ったら、直ちに獣医師の診察を受ける必要があります。その際、殺虫剤を持参したり、成分表をスマホで撮影などして、製品に関する情報をできるだけ多く伝えられるようにしておきましょう。

まとめ

猫は日々狩りをするのが恋しくて、たまたま虫がその本能の手軽な代用品になっているのです。虫を獲物に見立て、「狩りのゲーム」をしているのです。特に子猫は遊び好きなので、狩りをしているように見えますが、じつは遊びなのです。

観察していると、ほとんどの場合、虫を食べてしまうことはありません。捕獲したり、叩いたり、噛んだりはしますが、飲み込んでしまうことは稀です。

結局のところ、猫は野生的な心を満足させるために、楽しみながらやっているのでしょう。虫にとっては災難ですが……。