【みんなで防災:第9回】災害が発生した際にどう行動する?

災害が発生した際には、「ペットと一緒に避難」が原則です。一緒に避難をしないと、大切なペットと離れ離れになってしまうかもしれません。ペットと一緒に安全に避難するためには、日ごろから災害が起こった場合のことを想定してシミュレーションを繰り返し、万が一の場合も落ち着いて行動できるようにしておくことが大切です。今回は、災害発生時の行動のお話です。

まずは飼い主の身の安全を確保する

災害時にペットを守るためには、飼い主が無事でなければなりません。災害が発生したら、まずは自分の命を守ること。怪我をしないことがもっとも重要なことになります。地震の場合は、大きな揺れは短時間です。ガラス面や家具から離れ、丈夫なテーブルや机の下に身を隠し、クッションや雑誌などで頭を保護するようにします。

飼い主の安全が確保できたら、次はペットの安全を確保します。突然の災害時はペットもパニックになり、いつもとは違う行動をすることがあります。飼い主がパニックになってしまうと、その気持ちはペットにも伝わります。まずは飼い主が落ち着いて、普段どおりに振る舞い、優しく声をかけてペットを落ち着かせるようにします。

犬の場合は、すぐにリードと首輪を装着します。猫の場合は、慣れたケージなどに入れます。しかし、ペットが興奮している場合には、不用意に手を出すと噛まれる、引っ掻かれるなど飼い主が怪我をしてしまう可能性があります。ペットの様子を確認しながら、装着するタイミングやケージ等に入れるタイミングを見計らいましょう。

落ち着いて状況を判断し避難の用意をする

地震の場合は、地震発生後の5分くらいが避難開始のタイミングといわれています。しかし、次に予想される大きな余震、家の倒壊、火災、津波などの事態を考え、屋内にいたほうが安全なのか、屋外に避難したほうが安全なのかを冷静に判断する必要があります。また、クルマなどで移動するのか、徒歩で移動するのかも冷静に判断しましょう。

屋外が安全と判断した場合、また避難指示があった場合には、避難の用意を始めます。まずは、室内のガラスの飛散や倒壊家具などに注意しながら、ドアを開けるなどして避難経路を確保します。事前に用意していた非常持ち出し袋(人間用とペット用)を用意し、電気のブレーカーを落とす(通電火災防止のため)、ガスの元栓を閉める(ガスの復旧を阻害しないため)、必要な施錠を行うなどの処置をします。

犬の場合にはリードや首輪が緩んでいないか確認します。小型犬の場合はさらにキャリーバックに入れると安全です。猫の場合にはキャリーバック等に破損がないか確認し、扉が開かないようにガムテープなどで固定すると安心安全です。ペットがマイクロチップを装着していない場合には、ペットの名前と飼い主の氏名、連絡先を記入した名札や鑑札が付いているか、外れそうになっていないかを確認することも大切です。

【ペットを保護できなかった場合】
倒れた家具などで視界が遮られ、ペットがどこにいるかわからない場合、またどこかに隠れてしまい、名前を呼んでも出てこない場合には、無理はせずに、ペットが外に逃げ出さないように家の戸締りをして避難します。
夏場など暑い場合にはいくつかの窓を少し開けておけるように、事前にその状態での施錠方法を考えておくとよいでしょう。避難の際には、「ペットが家のなかに残っています」などの張り紙をしたり、ペット残留情報カードなどを目立つところに貼って避難しましょう。


ペットと一緒に避難所へ

事前に計画をしていた安全な経路(自治体のハザードマップなどを事前に確認する)を使用して、安全を確認しながら避難所に避難します。しかし、倒壊した建物や切れた電線、亀裂がある道路など、避難場所までの経路には危険箇所が多々あります。特に徒歩で避難する場合には、足元や頭上などに注意を払いながら、落ち着いて行動する必要があります。

災害時は普段と違う状況にペットも興奮しています。飼い主だけでなく、避難をしているほかの人に危害を加えてしまう可能性もあります。犬のリードはしっかりと持ち、危害を防止しましょう。また、危険箇所でペットが怪我をしないように、ペットの安全にも気を配りましょう。

スムーズに避難所に入るには

避難所にスムーズに入れるかどうかは、日ごろからどれだけ準備ができているかにかかっています。避難所で受け入れ不可となる理由には、アレルギーを持った人がいる、ペットがケージに慣れていない、必要な予防接種を受けていない、人や動物に吠えてしまう(無駄吠えがある)などさまざまですが、普段からのしつけや準備でクリアできるものも多いのです。

しかし、ペットの受け入れ条件や体制は地域によって異なるのが現状です。事前に自治体に確認して、災害発生に備えることが大切です。

まとめ

災害発生時には、まずは自分の身の安全を確保し、できるだけ普段どおりの行動をするようにします。飼い主が慌てることなくいつもどおりに話しかけてあげることでペットも落ち着き、速やかに避難の準備に取り掛かることができます。

ペットにリードを付けたりキャリーバックやケージに入れて落ち着かせることが大切です。迷子札を確認することも忘れずに行いましょう。避難の準備・確認が済んだら、非常用持ち出し袋を持って、ペットとともに安全な経路で避難所等を目指しましょう。

第10回は「避難場所でのペット飼育の心がけ」をテーマに話を進めます。