はたして日本は“ペット後進国”なのか? 欧米との考え方の違いを理解しよう
みなさんは、日本が“ペット後進国”だということを耳にしたことはないですか? その場合の先進国とは、ドイツやイギリス、アメリカなどの欧米諸国とされています。理由としては、日本での殺処分の多さや、ペットショップなどの流通方法、ペットに対する考え方や意識にあるようです。
とはいえ、すべてが欧米と比較してペット後進国とだと考えるのは無理があると考えます。まず殺処分の問題。動物愛護団体が問題視しているのは、殺処分そのもの=頭数です。しかし、この頭数、じつは公的に統計データを持っているのは日本だけなのです。毎年、環境省が「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」という統計データを公表しています。
その一方で、先進国と言われるイギリスやドイツ、アメリカでは、主に民間の動物保護団体が調査しているにすぎません。そして、その数字は「約」や「推定」がつく数字となります。国土が広い、もしくは判断が州に委ねられているという法制度の違いによるところも大きいと言えますが、日本ほどしっかりとした数字ではなく、「把握できている数」となります。
また、動物福祉についての思想も日本とは異なります。例えば、キリスト教は人間と動物を明確に分けています。旧約聖書の創世記には、
第9章
9:2
地のすべての獣、空のすべての鳥、地に這うすべてのもの、海のすべての魚は恐れおののいて、あなたがたの支配に服し、
9:3
すべて生きて動くものはあなたがたの食物となるであろう。さきに青草をあなたがたに与えたように、わたしはこれらのものを皆あなたがたに与える。
創世記(口語訳)
Wikisourceより引用
という記述があり、人間は動物より優位にあると読めます。しかし、日本には八百万の神=自然のものすべてに神が宿っているという考えがあります。このように、日本の動物福祉の現状を卑下したり悲観する前に、実際の数字や概念は思想によっても大きく異なっている、ということを知ることで、冷静に考えることが大切なのではないでしょうか。
次に流通の問題。これは以前から繰り返し問題が指摘されていますし、動物愛護管理法でも改正の度に動物愛護の観点から徐々にではありますが改善されていると思います。札幌市では、さらに踏み込んで、条例で動物取扱業者の責務を明確化しています。
では、私たちがペットと幸せな生活をスタートするとき、どのようなことに注意する必要があるのでしょうか。そのヒントが「英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)」のWebサイトで公開されています。
RSPCAは1824年に設立された世界最大の動物福祉団体です。1824年といえば、日本では江戸時代後期の文政期で、第11代将軍の徳川家斉の時代です。いまから200年近く前ということになります。「Advice and Welfare」というコンテンツ内に、「Buying a puppy(子犬を賢く迎える方法)」というコーナーがあります。健康で満足できる子犬を買うのはブリーダーからとなっています。ペットショップという流通がないので当然ですが、参考になることが多く書かれています。ペットショップでも、こうした確認をすることで、健全で愛らしい子犬、子猫を迎えることができるのではないでしょうか。
【事前に確認しておくこと】
・Did they breed the puppy?
ブリーダーは子犬を産出しているか
・Are the puppies kept where they were bred?
子犬は産まれたところで飼育されているか
・How many puppies are/were in the litter?
飼育場には何頭の子犬がいるか
・Have the puppies or their parents had any health problems?
子犬や親犬に健康上の問題があるか
・Have the puppies been treated for worms or other parasites?
子犬は寄生虫の治療を受けているか
・Have, or will, the puppies be given their first vaccinations before going to their new homes?
子犬が新しい家に行く前に最初の予防接種を受けたのか、もしくは予定しているか
・Have the parents been screened for any inherited problems known to be a problem in that breed?
親犬は遺伝子疾患などがないことを確認できているか
・Do the puppies have any form of identification, such as microchips?
子犬はマイクロチップのような識別証を持っているか
【犬舎に見学にいったら/子犬に会いにいったら】
・Make sure you see the puppies’ mum healthy.
子犬の母犬が健康であることを確認する
・Look for clues that the puppy was actually born there.
子犬が実際にそこで生まれたという証拠を探す
・Ask to see certificates of screening for problem diseases, vaccination and microchipping records.
病気、予防接種、およびマイクロチップの記録など検診証明書を確認する
・Check for any signs of illness.
病気の兆候がないか確認する
ペトハピは、創刊より「ペットと幸せな生活を送る」ための情報を発信しています。そして、もっとも重要なものが、「どのように迎えるのがよいのか」ということだと考えています。その回答が優良ブリーダーから迎えるということです。「太鼓判ブリーダー」はRSPCAよりもさらに踏み込んでいます。
掲載基準は以下のとおりです。かなり高いハードルではありますが、実際に取材し、その後もコミュニケーションを取り続けています。
「太鼓判ブリーダー」の掲載基準
・愛情をかけて親犬・親猫を育て、健康管理を徹底しているか
・見学時に親犬・親猫を見せることができるか
・飼育環境を整え清潔であるか
・親犬・親猫の健康を考えた健全な繁殖をしているか
・血統を考えた繁殖をしているか
・スタンダードを理解し、それに沿った繁殖を目指しているか
・親犬・親猫・兄弟姉妹から離す時期は法律を遵守しているか
・繁殖する犬種・猫種について高い知識があるか
・繁殖する犬種・猫種についての最新情報を収集しているか
・遺伝的疾患に対する予防や定期的な検査をしているか
・自ら飼い主を厳選し、譲渡時には契約書等を交わしているか
・世界基準の血統書を発行しているか
・譲渡後も飼い主からの相談にアドバイスし、犬・猫の生涯にわたり交流しているか
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