無理しない愛犬・愛猫介護のススメ 第7回「排泄の介護」

排泄の問題は愛犬・愛猫だけでなく、飼い主さんにも深い悩みです。排泄がうまくできない場合には、手助けしてあげることが大切です。体内におしっこやうんちを長く溜めたままだと、腎不全など体にさまざまな障害を起こす原因になります。介助するだけでなく、毎日の排泄の量や回数をチェックして、小さな変化も見逃さないようにしましょう。

立ち上がれる場合の排泄の介助

トイレのしつけができている愛犬・愛猫ほど、それ以外の場所ではトイレを我慢してしまいがちです。飼い主の介助があれば少しでも歩ける・立ち上がれるという場合には、トイレのサインを見逃さないようにして、トイレまで連れて行ってあげるとよいでしょう。介助する場合は、愛犬・愛猫の太ももと腰の部分を後ろからしっかり持って支えてあげるようにします。

立ち上がることはできるけど便秘がちという愛犬・愛猫の場合は、マッサージをしてあげると効果があります。仰向けにお腹を上にして膝の上で抱きかかえ、お腹を「の」の字を書くように優しく撫でます。便を肛門に向かって押し出すようなイメージです。力を入れ過ぎないように注意して、腸に適度な刺激を与えましょう。そのほか、濡れたタオルで肛門を刺激することもオススメです。

もし、自力で排泄できない場合には、飼い主が時間を決めて「圧迫排尿」や「圧迫排便」などの介助をしてあげる必要があります。その場合には、必ずかかりつけの獣医師と相談して、正しいやり方を指導してもらいましょう。特に排尿が12~24時間以上出ていない場合は、獣医師の診察が必要です。

寝たきりやお漏らしがある場合の排泄の介助

病気や身体的障害等で立ち上がることができない場合、高齢になったことでおねしょやお漏らしをする場合には、ベッドに防水シーツやペットシーツを敷いたり、オムツを利用することをオススメします。粗相が続くと介護をする飼い主の負担も大きくなります。できるだけ、介護グッズなどを利用して、無理せず、穏やかな気持ちで過ごすようにしましょう。

今はペット用のオムツが市販されていますが、これを利用する場合にはサイズを確認して、できるだけ愛犬・愛猫にフィットするものを選びましょう。大きいものを選んでしまうと足の付け根に隙間ができてしまい、そこから漏れる可能性があります。排尿の量が多い場合には、別売りのパットを重ねるとよいでしょう。オムツだけでは心配な場合は、ベッドの床前面に防水シーツやペットシーツを敷いておくと安心です。寝ながら動いてしまう愛犬、愛猫もいますので、そういう場合には、寝ているベッドをサークルで囲っておくことをオススメします。

オムツ代を抑えたい場合には、人間の赤ちゃん用オムツの利用をお勧めします。ペット用よりもかなり安く入手できます。尻尾の位置に印を付け、ちょうど良い大きさに切り取ります。オムツのなかの防水シートが飛び出さないように、穴の周りをガムテープでとめます。尻尾を穴に通してみて、穴の大きさや位置などを確認ながら調整します。問題なければ脇のテープを留めて使用します。大型犬のように排尿の量が多い場合は、吸水量の多い大人用のオムツを利用することもオススメです。

慣れないうちはオムツに排泄するのを嫌がるかもしれません。特に猫の場合は嫌がることが多いようです。男の子の場合はマナーベルトから始めるのもひとつの方法です。マナーベルトは体に接する部分が少ないため、嫌がらないようです。まずは短時間から始めて、徐々に慣らしていきます。寝たきりであってもトイレが規則正しくできている場合は、オムツを外す時間もつくってあげます。少しの時間でも気分転換の時間をつくってあげましょう。

大切な排泄後のケア

オムツの場合、排泄後に長時間取り替えないでいると、かぶれや炎症を起こしてしまうことがあります。頻繁にチェックをして、排泄後はすぐに取り替えてあげましょう。その際、陰部周りの汚れを濡らしたタオルやウエットティッシュ等で拭いてあげます。汚れが酷いときには、洗ってしっかりとドライヤーで乾かします。皮膚などに炎症がないかどうかも確認します。特に長毛種などは、普段から肛門や太もも周りの毛を短くカットしておくとケアがしやすいです。つねに清潔に保つように心がけましょう。

まとめ

排泄の介助は寝たきりになるほど、それが大型犬種・猫種になるほど大変です。また、飼い主の負担は肉体的にも精神的にも大きくなります。無理をせず、市販の介護グッズなどを大いに利用して、飼い主も愛犬・愛猫も心身ともに快適に過ごせるように工夫をしていきましょう。

次回は「床ずれの介護」についてお伝えする予定です。