【犬飼いTIPS】犬の耳ダニ症について知ろう ~症状と治療・予防方法とは

愛犬がしきりに頭を振ったり、耳を掻いたりするのは、耳ダニに感染している徴候かもしれません。今回は、耳ダニが引き起こす感染症についてのお話です。

犬の耳ダニ症とは

耳ダニ症とは、耳疥癬症(みみかいせんしょう)とも呼ばれる耳の病気のひとつです。耳ダニ(ミミヒゼンダニ)とういう0.5㎜程度の微細なダニの寄生によって引き起こされます。

耳ダニは、耳の穴のなかや周辺に生息する感染力の強い寄生虫です。ある一部のダニのように皮膚内に潜り込むのではなく、皮膚の表面に生息するダニです。

犬だけでなく猫、ウサギ、フェレット、ときには家畜などさまざまな動物に寄生します。愛犬が耳ダニに感染している場合、同居するほかのペットも感染していることがよくあります。耳ダニは動物の間では感染力が強く伝染しますが、人間には感染することはありません。

耳ダニ症の症状

犬の耳に生息する耳ダニを見つけることは困難ですが、拡大鏡などで見ると白い小さな斑点が動いているのがわかるかもしれません。また、愛犬の行動や痕跡からも判断することができます。

 ・しきりに頭を振る
 ・しきりに耳を掻く(気にする)
 ・コーヒーかすのような粉状の分泌物
 ・耳周辺の掻き傷や腫れ


耳ダニ症はどの犬種でも、どの年齢でも発症する可能性があります。しかし、耳ダニ症になりやすい犬もいます。子犬や多頭で生活をしている犬たちは、感染が多い傾向があります。また、主に屋外で生活している犬は、地面に横になったときにミミヒゼンダニに感染する可能性が高くなります。

耳ダニ症の原因

耳ダニに感染するのは、耳ダニに寄生されているほかの犬や動物との接触が主な原因です。愛犬が耳ダニに感染する経緯を把握するためには、ダニの生態を理解することが重要です。

耳ダニは耳のなかに卵を産み付け、3週間ほどで成虫になり約2カ月間生存します。ダニは繁殖して炎症や炎症を拡大させます。このダニは、物理的な接触によって動物から動物へ感染します。

耳ダニは非常に感染力が強いため、もし愛犬に感染が確認された場合は、一緒に暮らすほかのペットすべてが感染している可能性があります。ですので、家庭内のすべての動物を同時に治療して駆除する必要があります。

耳ダニ症の診断と治療

ミミヒゼンダニは微細で見つけにくく、耳の炎症の原因とは限らないため、愛犬が耳ダニ症の徴候を示したら、すみやかに獣医師の診察を受けるのがよいでしょう。

獣医師はオトスコープ(耳用内視鏡)を使い、耳のなかを観察し、耳ダニや残留物を確認します。診断がついたら、まず耳のなかを徹底的に掃除することから始めます。耳垢や分泌物、そのほかの汚れが取り除きます。

次に耳ダニ症を治療するために処方薬を使用します。毎日点耳する薬もあれば、経口錠剤、月に1回使用する外用薬もあります。

耳ダニ症は、長期的な治療が必要となります。それは耳ダニの生態によるものです。成虫は2カ月ほど生き、その間にメスは1日に5個程度の卵を産むとされています。そのため、成虫が死滅しても卵は残り、新しいダニが孵化するためです。

根治させるためには、一度の治療や1~2週間の耳掃除では効果がありません。数カ月の治療が必要であることを理解しましょう。

また、細菌や真菌による潜在的な感染の可能性や、感染による傷を調べます。もし感染症にかかっていたら、抗菌薬(抗生物質)または抗真菌薬を処方して治療します。

家庭でのケア

本来、犬の耳には自浄作用がありますが、これからの梅雨時など湿気が多い時期などは普段以上にべたつきやすくなります。

汚れの付着にも個体差がありますが、犬種によってもケアの頻度は変わってきます。垂れ耳、耳道に毛が生える犬種、短頭種、脂漏体質の犬などは定期的に掃除してあげましょう。

▸STEP 1
まず頭から背中にかけて優しくなでてリラックスさせます。次に背後から耳の付け根を軽く押さえて指で揉みます。揉むことで犬が警戒心を解くので、ケアがしやすくなります。

▸STEP 2
市販の洗浄液をカット面に染み込ませて、指に巻いて内側を優しく拭きます。指が入るところまで拭き取れればOKです。

犬の耳は内部でL字に曲がっているので、奥のほうはケアができません。汚れが奥まである場合には無理に取ろうとせず、獣医師に相談しましょう。無理なケアは、犬の繊細な耳を傷つけてしまうことになりかねません。また、綿棒でも同じようにケアできますが、慣れないうちは犬が動いたりするので避けたほうがよいでしょう。


また、市販されているノミ・ダニ駆除薬にも、耳ダニにも機能するものがあります。獣医師に相談するとよいでしょう。

まとめ

犬は猫と違い、散歩や外出でほかの動物に接する機会も多くなります。ですので、耳ダニ症にかかるケースも多いといえます。また、多頭が生活するペットショップや保護施設から迎える際には注意が必要です。

耳ダニは繁殖力が高く、非常に伝染力が強い寄生虫です。もし多頭が生活する環境で1匹が発症した場合は、一緒に生活するほかの犬や動物も診察を受けるほうがよいでしょう。

これからの季節は定期的に耳掃除をしてあげるなど、家庭でのケアも忘れずに。