コアラの赤ちゃんがお母さんのうんちを食べるワケ

コアラはユーカリの葉を食べて生きていますが、コアラ以外の動物はユーカリの葉は消化できません。ユーカリは大量(10~20%)のタンニンを含んでいるので普通は消化できないからです。

では、何でコアラはユーカリの葉を消化できるのでしょうか。じつは、コアラは「タンナーゼ」という酵素を持っているのでユーカリの葉を食べることができるのです。

また、コアラだけユーカリの葉を消化できる酵素を持っているのでしょうか。それはコアラの盲腸のなかにタンニンを分解できる酵素(タンナーゼ)をつくる「ロンピネラ菌(ロンピネラ・コアララム)」という腸内細菌がいるからです。

しかし、コアラの赤ちゃんはその腸内細菌を持っていません。そこで、お母さんコアラは自分のうんちを赤ちゃんコアラに離乳食として与え、ユーカリの葉を消化できるロンピネラ菌を赤ちゃんコアラの腸内に入れて大人になる準備をしているのです。

じつは、双子が誕生して話題のジャイアントパンダにも同じことが見られます。双子の赤ちゃんが成長して離乳の時期になると、お母さんパンダは赤ちゃんパンダにうんちを与えて、笹を消化できる酵素を移動させるのです。

犬や猫は、赤ちゃんが産道を通過するときに母犬・母猫から菌を受け継ぎ、生まれて数時間のうちには腸内に細菌が定着を始めます。犬の場合は主役が「乳酸桿菌」で、離乳前の子犬ではそのなかでも「ラクトバチルス・ジョンソニー」という乳酸桿菌が多く見られます。猫の場合は「腸球菌」が主役です。

今回は、腸内フローラの重要性をコアラが教えてくれたお話しでした。まさに生命の神秘ですね。