【犬飼いTIPS】ノミやマダニを予防して春を迎えましょう
新型コロナウイルスの影響で、外出自粛の要請がなされています。この春はいつもとは違って、さまざまなことに気を付けながら過ごしていることでしょう。しかし、春を迎えることは、愛犬にとってノミやマダニの予防が必要な時期になっています。近所の散歩といっても外出することには変わりないので、しっかりと予防して、愛犬に寄生しないように気を付ける必要があります。
ノミとマダニの違い
ノミは昆虫の仲間で、1.5㎜から3㎜という大きさです。極小にも関わらず約30㎝程度の高さまで飛び回り、動物の体に寄生して吸血します。犬に寄生するのは、犬ノミよりも猫ノミのほうが多いと考えられています。春から秋にかけて発生しやすく、気温や室温が13℃以上になると繁殖を始め、約20~30℃でさらに活発化します。
このため、冬場の暖かい室内でも発生することがあります。夏場には卵から孵化して卵を産むまでに2週間という周期を繰り返し、爆発的な繁殖が見られることもあります。卵や幼虫、サナギは、家のなかの絨毯、ソファ、ベッド、床、畳、湿気のある場所、埃の溜まっている場所などにもいる可能性があります。吸血されると激しい痒みと発赤が長い期間に続きます。
特に子犬などは大量のノミに吸血されることで、貧血を起こすこともあります。また、犬が体を舐める際にサナダムシの幼虫が寄生しているノミを飲み込んでしまうと、サナダムシが体内で50㎝にも成長してしまいます。下痢や嘔吐を繰り返し、辛い思いをすることになります。毎日、掃除を欠かさずに清潔を保つようにして、ノミが愛犬に寄生したり、卵を産まないようにしっかりと予防や駆除をする必要があります。ときには飼い主も刺されることがありますので、注意が必要です。
また、犬に寄生するマダニはクモの仲間で、約1㎜から5㎜程度の大きさです。あらゆる環境に適応し生息できるために、世界中で問題視されています。日本に生息するマダニは10種類以上といわれています。森や森林だけでなく、都会の公園や河川敷、あぜ道なども生息地となっていて、緑が多い草むらや茂みには特に注意が必要です。
二酸化炭素のニオイや体温、体臭などに反応して、犬の体に飛び移り吸血します。主に木の上から落ちてくることが多いようで、吸血するとマダニは約1㎝の大豆ほどの大きさに膨らみます。マダニが媒介する犬の病気は数多く、紅班熱やライム病は人畜共通感染症です。
なかには命を落とす危険性があるバベシア病や、エールリヒア症などになる場合もあります。犬の場合は感染症以外にマダニの唾液がアレルゲンとなって痒みを引き起こすアレルギー性皮膚炎、マダニの唾液の中の毒性物質による神経障害、大量寄生・吸血による貧血などを引き起こす可能性があります。
ノミやマダニが寄生する原因とは?
室内で飼育しているにも関わらず、なぜノミやマダニが寄生してしまうの? と思う飼い主も多いことでしょう。ノミやマダニが寄生する原因は下記のようにさまざまで、気を付けていても防ぐのがなかなか難しいことがわかります。しかし、原因を知っておくことでできる限りの対応が可能となるでしょう。
【ノミ・ダニ予防をしていない】
予防薬を使用していない場合には寄生の確率が高くなる
【散歩中に寄生した】
散歩中に草むらや藪に入ったり、時には他の犬との接触で寄生することも
【家の中に潜んでいた】
絨毯、ソファ、ベッドなどに卵があり、孵化して寄生することも
【人やほかのペットが持ち込んだ】
飼い主や外にでる猫などが持ち込み寄生することも
【犬のシャンプーなどしていない】
定期的にシャンプーをしていないと大量発生することも
【飼育環境を綺麗にしていない】
ノミやマダニの好きな環境が整っていると大量発生することも。湿気がある場所も発生しやすいので注意が必要
ノミやマダニが寄生しているかも
ノミやマダニが寄生してしまったときには、愛犬にも何かしらの変化が見られます。下記のような様子が見られたら、寄生している可能性があります。早急にチェックして、獣医師の診断を受けるようにしましょう。
■ノミの場合
・顔や体を執拗に痒がっている
・体を床や地面に擦りつけている
・前歯で体を噛んでいる
・毛に黒いフケのような固まりがある(ノミの糞)
・抜け毛が酷く、脱毛している部分がある
・肌に赤い斑点がある
・肌の炎症がある
■マダニの場合
・黒い大豆のようなものが肌に張り付いている(吸血したマダニ)
ノミやマダニの駆除
愛犬にノミやマダニを見つけたときには、正しい方法で駆除する必要があります。知らずに駆除すると、その方法によっては、さらに増やす原因になってしまうこともあるからです。駆除には注意が必要です。■ノミの場合
毛をかき分けてノミを1匹ずつ駆除する場合、指でつぶすことはやめましょう。なぜなら、お腹のなかにある卵を飛び散らせてしまうことになり、さらにノミを増やすことになるからです。必ず粘着テープや中性洗剤を数滴たらした水に浸けて駆除(溺死させる)するようにしましょう。そのほか、駆除には下記の方法がありますが、効力はさまざまです。
【駆除薬】
動物病院でノミ駆除薬を処方してもらう(副作用が少ない)
スポット(首に垂らす)、スプレー、ムース、飲ませる薬など用法・効果はさまざま
【ノミ取り櫛】
目の細かいノミ取り専用の櫛が市販されている。毛をとかすとノミが引っ掛かって取れるので、取れたノミは粘着テープや中性洗剤を数滴たらした水に浸けて駆除する
【ノミ取りシャンプー】
薬用のノミ取りシャンプー。一時的なものなので、1週間に1回など定期的に必要がある。シャンプーとともにノミと卵が流れ落ちるが、シャンプー後に再度ノミ取り櫛などで残ったノミを取る必要がある。取れたノミは粘着テープや中性洗剤を数滴たらした水に浸けて駆除する
【ノミ取り首輪】
市販されているものは効果が薄いので、動物病院で処方されたものがよい。首に密着するように装着させる。効果は約3カ月。犬が首輪をかじったり、食べたりしないように注意が必要
【ノミ取り粉】
毛をかき分けて、首から尻尾にかけて数か所に振りかける。犬が舐めないように注意が必要
■マダニの場合
マダニは犬に寄生してから1週間近くも血を吸い続け、大きくなり限界がくると、犬の体から離れて卵を産みます。マダニの大きさにより、駆除の仕方が変わります。寄生したばかりのマダニは簡単に取れますので、粘着テープなどに付けて捨てましょう。大きくなったマダニは、取ろうとしてもマダニの口が食い込んでいて簡単には取れません。無理に取ることは犬が痛がるばかりでなく、マダニの口だけが皮膚の中に残ることになり、それがもとで皮膚炎などになってしまうこともあります。慎重に下記の方法で駆除する必要があります。
【ダニ取りスプーン】
マダニが食いついているところに切れ目を引っ掛ける。すくい上げるようにすると簡単に取れる
【駆除薬】
動物病院でダニ駆除薬を処方してもらう。スプレー、ムースなどマダニに直接散布すると、しばらくすると簡単に取れる。駆除薬の匂いを嫌がる犬もいるので、散布には注意が必要
ノミやマダニの予防
愛犬に嫌な思いをさせないようにするには、ノミやマダニの予防を飼い主がしっかりとしてあげることが大切です。下記のような方法がありますので、愛犬にあった方法で予防をしてあげましょう。
【駆除剤で予防する】
1カ月に1度飲ませるプログラム錠で駆除する。またスポットタイプ(首に垂らす)では、1~3カ月に1回の投薬で駆除する。製品により使用方法や効果の持続期間は異なる
【電子ノミ・ダニ取り】
薬剤を使わずに電子の光でノミ・ダニを誘引して捕獲する。周囲10M程度の効果が望める。コードレスのものが多い
【燻煙剤を使用する】
燻煙剤のバルサンはノミの成虫や幼虫には効果があるが、卵とサナギには効果がない。部屋の隅々まで薬はいきわたるが、犬のいる場所では使えないのが難点。最近は煙が出ないタイプもある
【ノミ・ダニシートを置く】
部屋に置くだけで誘引して駆除できる
【コロコロで掃除をする】
粘着シートのコロコロで、絨毯、ソファ、埃がたまる場所などを徹底的に清掃する。髪の毛やペットの毛と一緒にノミやマダニを除去できる(ガムテープなど粘着力のあるものでもOK)
【徹底した掃除をする】
生活する場所の絨毯、ソファなど埃がたまる場所を徹底的に掃除機などで清掃する。紙パック式掃除機の場合は殺ノミ・ダニ用を使用し、サイクロン掃除機の場合は、ダストカップなどを洗う。吸い取り口には殺虫剤をかけ、フィルターがある場合は洗剤液につける。掃除した後にはスプレータイプのノミ・ダニ駆除薬を部屋に散布
まとめ
近年はノミやマダニの駆除薬にもさまざまな製品があります。市販されているものよりも、動物病院で処方される駆除薬のほうが効果は高いといわれています。かかりつけの獣医師と相談しながら、愛犬に合うものを処方してもらうことをオススメします。愛犬が辛い思いをしないように、飼い主がしっかりと予防してあげましょう。
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