【犬飼いTIPS】犬と使い捨てカイロの危険な関係~食べてしまったときの対処法とは

寒さが身に染みるこの時期は、使い捨てカイロを使う人も多いと思います。手軽に使えて、すぐに温かさを提供してくれる使い捨てカイロは、寒さから身を守る頼もしい相棒です。

便利な使い捨てカイロですが、犬にとっては危険な存在となります。今回は、使い捨てカイロが犬とって有害な理由と、誤って口にしてしまった場合の対処法についてご紹介します。

カイロは犬にとって有毒

使い捨てカイロは、鉄粉、水、塩、活性炭、保水材を主成分とし、不織布の袋にはいっています。外袋を開けると、空気中の酸素が鉄分と結びつき酸化反応を引き起こします。この反応が起こることで熱を放出しカイロが温かくなります。

使い捨てカイロの成分である鉄粉や食塩、活性炭などの成分、さらには不織布などすべてが犬にとって危険で、誤って食べてしまうと消化器官に悪影響を与える可能性があります。

犬がカイロを食べてしまったら

犬が使い捨てカイロを食べた場合、胃腸の消化不良や腸閉塞を起こす可能性が高くなります。その原因は酸化鉄と不織布です。

鉄は通常、腸で吸収されます。大量の鉄を犬が過剰摂取すると、腸の粘膜が損傷し、大量の鉄が体内に入ってきます。過剰な鉄分が体全体に広がると、肝臓や心臓を含む複数の臓器にダメージを与えるます。

胃腸管(消化管)の損傷により、嘔吐、下痢、腹痛などの胃腸障害の初期症状が見られるようになります。さらに、衰弱、嗜眠(しみん)、異常呼吸などの徴候も現れます。

カイロ中毒が進行すると、心臓と肝臓の損傷により、虚脱、低血圧、心拍数の異常、肝不全、そして死に至る危険があります。

カイロを食べてしまった時の対処法

犬がカイロを破いて中身をや不織布を食べてしまったことに気付いた場合は、すぐにその場から犬と遠ざけ、残りのカイロを処分してください。その際、どれくらい摂取したのかを把握するために、残っているカイロの中身(酸化鉄などの顆粒)と不織布の量を確認しましょう。

使い捨てカイロは、中身だけでなく不織布の袋だけ食べた場合でも問題になる可能性があります。食べた量や、深刻な徴候(立てなくなる、呼吸困難、激しい嘔吐、衰弱など)が見られなくても動物病院に連れて行くのが賢明です。

カイロ中毒の治療

犬が使い捨てカイロを食べてしまってから2時間以内であれば、獣医師は除染の手段として嘔吐させる場合があります。

犬に無理やり吐かせることは獣医療処置であり、間違った方法で行うと誤嚥や消化性潰瘍など、生命を脅かす危険性があるので、自宅で行ってはいけません。

消化管に残っている鉄分の量によっては、胃腸の不調や障害を最小限に抑えるために、マロピタントやオンダンセトロンなどの吐き気止め薬、ファモチジンやオメプラゾールなどの胃酸分泌抑制薬、スクラルファートなどの胃腸の炎症を治すための薬剤が処方されることもあります。

大量の酸化鉄や不織布を飲み込んでしまった場合など、カイロ中毒が重度の場合、点滴や追加治療のため入院する必要があることもあります。

酸化鉄や不織布などを大量に摂取してしまった場合、カイロ中毒が深刻な状態になることがあります。その場合には点滴や追加の治療が必要となり、入院することもあります。

カイロ中毒の回復

摂取した酸化鉄などが少量であれば、獣医師による適切な処置により、24時間以内に正常な状態に戻ることが期待できます。ただし、回復期には軽度の胃腸の不調、食欲不振、元気がないように見える場合があります。

摂取が大量の場合は、数日間の入院が必要になることもあります。退院したあとも、消化管サポート薬(ファモチジン、オメプラゾール、スクラルファートなどの)や、S-アデノシルメチオニン (SAMe)を含む医薬品やサプリメントで肝臓のサポート、さらに食事療法が必要になる可能性があります。

一般的に、活動量や胃腸管の機能が正常に戻るには1〜5日かかります。また、愛犬が完全に健康な状態に戻っていることを確認するために、血液検査を勧められることもあります。

まとめ

なぜ犬が使い捨てカイロに惹かれるのか、その理由は明らかではありません。単なる好奇心なのか、ニオイが大好きなおやつに似ているのかもしれません。

いすれにしても、使い捨てカイロは犬にとっては危険なおもちゃになってしまいますので、犬がいたずらできない場所に保管することが大切です。

また、使い終わった使い捨てカイロはポケットなどに忘れがちですが、帰宅後は蓋付きのゴミ箱や犬の手の届かない場所に捨てましょう。