【猫飼いTIPS】なぜ猫はいつも、いろいろなものを見つめるの?
猫は、あなたを、窓の外の世界を、壁や天井を、そしてときには何もないところをじっと見つめることで有名です。猫はもともと好奇心旺盛な監視員なのです。今回は、なぜ猫が見つめるのかについてのお話です。
猫の目の機能
猫のもっとも印象的な特徴のひとつは、その目です。眼球の特性により、猫はネット上でもっともフォトジェニックな動物であるといわれるくらいです。
猫の目は、体のほかの部分に比べて大きい。そして、1分間に約2回ほどまばたきをします。私たち人間のまばたきは1分間に約15〜20回なので、かなり回数が少ないことがわかります。
猫は近視で、私たちよりもずっと視力が悪いといわれています。人間の平均視力は1.0です。つまり、視力検査するときに5mの距離から1.0の「ランドルト環(Cマーク)」が見えなければならないのです。
猫の視力は0.2~0.1で、私たちの10分の1程度とされています。つまり、平均的な人間が約5m先にあるものを、ハッキリと見ることができるのに対して、猫にはぼんやりとしか見えないのです。
しかし、視力の低さを補うために、猫には別の長所があります。網膜の「桿体細胞」の数が多いため、人間が見るのに必要な光の量の6分の1で見ることができるのです。
また、視野角も人間の180度に対して、猫は200度と広い範囲を見ることができます。小さな虫やホコリの動きも間近で見ることができるのです。優れた周辺視野とあいまって、猫は私たちが気づかないようなものに目を留めやすいのです。
猫は人間の習性に順応し、人間の動作を使って情報を得ることもできます。猫は人の視線に気づくだけでなく、視線を追うことができるのです。
すべて聞こえている
猫はなぜ、壁や何もないような場所をじっと見ているのでしょうか。じつは、壁のなかではいろいろなことが起こっているのです。もし壁が話せるとしたら、壁のなかにある無数の配管や電線管、昆虫やそのほかの生き物の存在を教えてくれることでしょう。
玄関に人が来たとき、猫が先に気づくのはなぜでしょう? 猫の聴覚は人間よりずっと鋭いのです。耳の筋肉と形が優れているため、音をピンポイントで増幅することができるのです。草木のざわめく音、動物の歩く音や鳴き声、人の話し声など、壁のなかや外のわずかな音も聞き分けているのです。
狩りをするには忍耐が必要
猫は好奇心が旺盛で、自分のいる世界を観察して学びます。『Journal of Applied Animal Welfare Science』に掲載された「Caregiver Perceptions of What Indoor Cats Do “For Fun”」という論文には、室内飼いの猫は毎日平均5時間窓の外を見ていると結論付けられています。
屋外で生活する猫も、狩りをするときには同様に驚くべき忍耐力を発揮します。もし、あなたが野良猫の狩りを見たことがあるなら、絶好のチャンスが訪れるまで静かにじっと何かを見つめる彼らの天性の能力に驚くことでしょう。
彼らはあなたを愛しています
動物園で動物と目を合わせようとすると、多くの野生動物がそれに応じないことにお気づきでしょうか。動物によっては、アイコンタクトを脅威や挑戦ととらえるものもいます。多くの動物は、誰かが自分を見つめていると、攻撃のサインと解釈します。
人間の目を見つめることは、飼いならされたペット(コンパニオンアニマル)だけの行為です。ですから、このような人と動物の絆の特性が、研究者の興味を引いたのも不思議ではありません。
麻布大学の介在動物学研究室の研究によると、猫は単独で狩りをする動物で、犬は群れをなす動物であるが、この2種は現在の人間との絆において類似しているとしています。犬も猫も人間の習慣に適応し、情報を得るために人間の動作を利用しているのです。さらに、猫は人の視線に気づき、実際にそれを追いかけます。
「The Gaze Communications Between Dogs/Cats and Humans: Recent Research Review and Future Directions」という論文において、将来的に、猫は人間の動作を通じて、より一貫性のある表現力豊かな視線など、より犬のような能力を獲得する可能性があるとしています。
まとめ
以前のコラムでも紹介したとおり、犬と人間には相互作用を通じてお互いに進化しあう「共進化」が存在することがわかっています。しかし、それは猫にも当てはまる可能性もあるのです。彼らは「ニャー」と鳴くことが、共存のために有益なコミュニケーションと理解しているからです。
猫は、怖い人や嫌いな人をじっと見つめたりしません。だから、猫があなたを見つめるときは、信頼と愛情の証と受け止めましょう。
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