なぜ、うんちは茶色なのか?

うんちの色は毎日変わるけど、基本的には茶色です。じつは、うんちの色は腸内細菌の状態を視覚的にチェックできる強烈なツールのひとつです。興味のない男子からのLINEは未読&削除でいいけど、トイレでうんちをしたら「何色?」「浮いてる? 沈んでる?」は必ずチェックしたほうがよいのです。女子は大丈夫じゃなくても「全然大丈夫~」と本心を隠しますが、うんちは嘘をつきません。

さて、先日に診察室で小学生の男子に「先生、なんでうんちって茶色なの?」とズバッと聞かれて一瞬ビビりました。この疑問を医学的に真面目に説明すると、うんちの色は胆汁から出る「ビリルビン」という黄色い物質が腸内細菌の作用で少し色が変わり、うんちの茶色になるということ。

中学校で理科の先生から教わったように、血液のなかには酸素や二酸化炭素を運搬する赤血球という細胞がいて、そのなかには赤いラムネ(ヘモグロビン)が入ってるから血液は赤い。この赤血球は約120日でヘトヘトになって勇敢に戦死する。赤血球が戦死すると、以下のようなことが起こります。

①赤血球内の赤いラムネ(ヘモグロビン)がベチャっと出てくる
②血管内でヘモグロビンが「ビリルビン(黄色)」に変身する
③ビリルビンは肝臓工場で処理されて、新たに出荷されて胆のうで胆汁として「脂肪の消化」という出番まで待機する
④食べ物が腸に流れてくると胆汁は、脂肪を消化するために待機していた胆のうから胆管トンネルを通過して現場の腸管へ直行する
⑤消化物が小腸→大腸と進んでいくなかで、腸内で待ち構えていた腸内細菌が胆汁中の「ビリルビン」をモグモグ食べて「ウロビリノーゲン」に変え、さらに酸化されて「ステルコビリン(茶色)」に変える


つまり、戦死した赤血球の赤い色素が腸内細菌によってステルコビリン(茶色い色素)になるからうんちが茶色という壮大なストーリー。このビリルビンは腸内のpH(酸性/アルカリ性)によって色が変化するためうんちの色も変化する。

例えば、腸内が酸性(㏗が下がる)であれば“黄色っぽい色”、アルカリ性(pHが上がる)であれば“黒ずんだ茶褐色”になるし、うんちが空気に触れて酸化すると“緑色”になります。だから、腸内にビフィズス菌や乳酸菌などの有用菌が多いと乳酸を出すので、腸内は弱酸性に保たれるためうんちの色は“黄色っぽい色”になるのです。

例えば、サラダバーなどの食べ放題で野菜をガッツリ食べていると、大腸(結腸)内で発酵が進み、腸内は酸性に傾くためうんちの色は薄くなる(黄色)。そんなときはトイレでこう叫ぼう「ナイス、イエロー!」

逆に肉や脂肪ばっかり食べたりして悪玉菌が増えると、アルカリ性に傾きうんちの色が黒っぽくなります。さらに、便秘だとうんちがグズグズ腸に長くとどまっているためうんちの色は黒っぽくなります。そんなときはトイレでこう叫ぼう「バッド、ブラック!」なお、ピーピー下痢の時は消化物の水分が多いことに加えて、腸内細菌の影響を受ける暇もなくサッと腸内を通過するから色が薄い。

もし、あなたのうんちの色が黄色(黄褐色)なら、あなたの肝臓と腸がちゃんと仕事していることを意味します。女子の「全然大丈夫〜」と赤や黒のうんちにはくれぐれも気をつけましょう!