【猫飼いTIPS】あなたは愛猫と一緒に寝る派? それとも寝ない派?

あるアンケート調査によると、約7割の飼い主が猫と一緒に寝て(添い寝して)いるそうです。この結果から、飼い主が愛猫と一緒に寝る習慣があることがわかりました。しかし、猫と一緒に寝ることで人がどんな影響を受けるのかを調べた研究はほとんどありません。今回は、猫と一緒に寝ることのメリットについてのお話です。

法政大学の猫に関するユニークな研究

法政大学の研究チームが、「猫と共に探求する新たな睡眠価値の創出」という論文を発表しました。内容は、寝床がいつも変わる猫の横で寝る睡眠手法を検証したもので、猫の横に寝袋を敷き、24日間一緒に寝た際に、身体的・心理的にどう影響するのかを従来の睡眠スタイル(ベッドや布団で寝る)と比較し考察するというものです。

猫はお気に入りの場所があるものの、毎日同じ場所で寝るとは限りません。寝床の触感や温度、明るさ、賑わい、広さ、ニオイ、気分などでさまざまな場所をその都度選択します。この予測ができない猫の多様性を利用して、猫が選んだ場所のすぐ隣に寝袋を敷いて一緒に寝る実験をしたのです。被験者は5匹の猫を飼っていて、毎晩そのなかの1匹を任意に選択しました。

被験者は睡眠中に「Fitbit(フィットビット)」を装着します。Fitbitとはスマートウォッチで、その機能にはさまざまなものがあります。この実験では、睡眠記録を自動的に記録したり、睡眠ステージ(浅い睡眠、深い睡眠、レム睡眠)などその質を分析する機能を使用します。睡眠時間、目覚めた時間や回数、浅い/深い睡眠などからなる睡眠記録を収集し、そのデータをもとに身体的分析を行い、猫の隣で寝る睡眠と普通の睡眠とを比較し、評価します。また、心理的影響を分析するために、被験者の睡眠体験や感想を日記として記録するとともに、猫の様子や変化も記録します。

猫の横で一緒に寝る心理的影響は大きい

実際に実験を始めてみると、猫の寝床はテレビの前、テーブルの下、ソファの脇や上、階段、踊り場、ベッドの上、ベッドとベッドの間などさまざまだったそうです。24日間の実験では、睡眠スコアの平均を比べると、猫の隣で寝る睡眠と普通の睡眠では、有意な差は認められないという結果でした。

しかし、心理的影響は大きく違ったそうです。被験者が記録した日記には、猫の先の読めない行動から感じたワクワク感や新たな発見などが多く書かれていました。通常は寝ころぶことのない場所から見る部屋の景色が新鮮であったり、猫が好む狭くて静かな場所は、人にとっても心地よく感じたことなどです。また、就寝前は猫との自然発生的な触れ合いが生じ、リラックス効果に繋がりました。

そして、就寝中はちょっかいや毛繕いなどで起こされることが何度もあったものの、睡眠の邪魔と感じることはなく幸福感が高まる体験だったそうです。さらに、この実験により猫の様子も変化しました。被験者に対し、昼夜問わずに毛繕いのような愛着行動の頻度が増したこと、また実験時に被験者が使用していた寝袋に対しても昼間に猫が使いたがる傾向が見られたそうです。

まとめ

この実験は、猫が被験者に慣れている前提で行われましたが、通常の睡眠と比較して身体的な睡眠の質に数値的な変化はほとんど見られないというのは驚きでした。猫と一緒の睡眠では何度も起こされているので、睡眠の質は低下すると考えていましたが、そうではないことは嬉しい結果です。

また、猫と一緒に寝ることは、被験者の心理的な幸福感の向上が見られるとともに、猫にも被験者や寝袋に対しての愛着行動が増えるという結果でした。このような心理的影響は、愛猫と一緒に寝ている飼い主にとっては常に体感していることで、納得できる結果だといえます。

通常の睡眠と比較して身体的な睡眠の質に数値的な変化がないのであれば、猫と一緒に寝ることは心理的に大きなメリットです。猫と一緒に寝る飼い主がますます増えそうです。