大幸薬品に措置命令 「クレベリン」広告根拠なし―消費者庁
このコーナーでは、注目ニュースに対する編集部や識者のコメントを紹介します。
「クレベリン」は二酸化塩素を利用した薬剤で、ご存じの方も多いと思います。今回の消費者庁の措置命令は、スプレー型や携帯型(ペン型)など4商品を、「空間のウイルスを除去」するとしたメーカーの表示に根拠がないとしています。
二酸化塩素を利用した除菌消臭剤は、新型コロナウイルス感染症が大流行する前から徐々にペット業界でも増えてきていました。検索すると多くの製品が見つかりますが、なかには 「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」に抵触しそうなものも散見され、今後はそのあたりも順次指導がなされることでしょう。
二酸化塩素は、次亜塩素酸よりも強力な除菌作用を示すことは事実で、わが国でも食品添加物として認可されている物質です。しかし、それをそのまま“安全”として示している製品もありますが、消毒薬としては分類されていない未認可物質です。医薬品や医薬部外品でもなく雑品(雑貨)に分類されているので、成分表示の義務はありません。
また、「空間除菌」にも問題はあります。 厚生労働省は新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について、空間噴霧を推奨しないという立場です。薬剤の噴霧による空間内のウイルスを取り除く方法は確立されておらず、さらに噴霧する薬剤や濃度によっては人体に有害にもなりかねないとしています。これは、世界保健機関(WHO)も米国疾病予防管理センター(CDC)も同様の見解を示しています。
WHOのほか、アメリカ食品医薬品局(FDA)、米国環境保護庁(EPA)などでは、二酸化塩素液剤の「無毒性量(NOAEL)」を35ppm(35㎎/㎏/日)としています。無毒性量とは、有害な影響が出ない最大量ということです。
日本でも、業界団体である一般社団法人日本二酸化塩素工業会も、自主基準として無毒性量(NOAEL)」を35ppmに設定しています。また、広告表示に関する自主基準においても、二酸化塩素を成分とする液剤を用い除菌・消臭を目的として使用される製品を対象とし、人や動物に対しては適用しないとしています。さらに「抗ウイルス」・「抗真菌」・「感染防止」など消費者に誤認を与える可能性のある効能・効果及び性能を標榜するような表現はしてはならないとしています。
安心して使える二酸化塩素製品かどうかは、日本二酸化塩素工業会の自主基準に準拠している製品なのかを確認することが最低限必要なことです。愛犬・愛猫を守れるのは飼い主である私たちです。広告などに惑わされず、正しい情報を得て安全安心な除菌で衛生的な生活空間をつくりましょう。
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