【猫飼いTIPS】猫は考えているよりも“飼い主思い”ということが研究で実証された!

飼い主が見えない場所にいるときでも、猫は「飼い主はここにいるだろう」と思い描いていることが研究で明らかになりました。猫は飼い主の声を頼りにイメージをつくりあげながら、行動を追いかけているそうです。今回は学術誌「PLOS ONE」で2021年11月に発表された研究「Socio-spatial cognition in cats: Mentally mapping owner’s location from voice」のお話です。

どんな実験をしたの?

麻布大学特別研究員の高木 佐保さんを中心とする研究チームは、飼い主と見知らぬ他人の声を使って猫に関する実験を行いました。猫は一般的に犬よりも飼い主に対する態度がよそよそしいと考えられてきましたが、今回の実験で「猫は考えているよりも飼い主思い」ということがわかってきたようです。

実験では、猫が環境的な手がかり(この場合は飼い主の声)をもとに、飼い主の居場所を自発的に追いかけているかどうかを検証しました。1度目の実験では、まず録音した猫の名前を呼ぶ飼い主の声を5回猫に聞かせます。その後、設置されたスピーカー2台のうちの1台で、見知らぬ人が名前を呼ぶ音声か、飼い主が名前を呼ぶ音声のいずれかを再生しました。スピーカーは2台で、1台は室外(ドアの外)に、もう1台は室内(部屋の奥の窓際)に設置。録音された声は、さまざまな組み合わせで再生されました。

猫が際立って驚いた様子を見せたのは、室外のスピーカーから飼い主が猫の名前を呼ぶ音声が流され、2.5秒後に室内のスピーカーから飼い主が猫の名前を呼ぶ音声が流されたときだったそうです。猫は、飼い主が “瞬間移動” したように感じたのかもしれません。そのほかの実験では、別の猫たちの鳴き声や声以外の音声を用いて行われました。その刺激に対する驚きに関しては、相関関係が確認できなかったとしています。

猫は飼い主の声をもとにその居場所を思い描いている

研究チームはこの結果について、猫は部屋にいないと思っていた飼い主の声が室内で聞こえたことに驚いたのではないかと述べています。

これらの結果は、猫が目に見えない飼い主のイメージを持ち、飼い主の声から居場所を特定しているとことを示唆している。これは、これは猫が社会空間を認識している証拠と言える。


猫が飼い主の存在に驚いたのは、予想外の場所に飼い主が現れたからなのか、それとも予想していた場所に飼い主がいなかったからなのかは不明で、その点についてさらなる研究が必要だということです。ただ、猫は飼い主が考えているよりも飼い主のことを認識しているし、飼い主を思っているということは確かなようです。

ペットの見守りカメラで実証済みでは?

最近は、ぺットのいる部屋などに「見守りカメラ」を付ける飼い主が増えています。外出先から愛猫の様子を見ることができたり、声をかけることができたりと、メーカーや機種によりさまざまな機能が付いています。この見守りカメラがあれば、今回の実験と同じようなことができるのです。

例えば、いたずらをしているところを見た際に飼い主が「コラッ!」と声をかけたり、「〇〇ちゃん」と名前を呼んだりすると、驚いたり、不思議そうにカメラのほうを見たり、カメラに近づいてきたりしていませんか? 飼い主以外の人に声をかけてもらって、その反応を見るとより明白になるかもしれません。そのような反応をした場合、前述の実験結果から考えると、「飼い主がいないと思っていたのに、室内から飼い主の声が聞こえたから驚いた」「飼い主が予想外の場所から現れた」ということになります。そう考えると、見守りカメラから飼い主が声をかけた際の愛猫の反応を見るのがより楽しみになります。

まとめ

犬についてのさまざまな研究は進んでいますが、猫についての研究はまだまだこれからです。今後も世界中で多くの研究がなされ、より猫のことがわかるようになるとよいですね。