【猫飼いTIPS】「コピ・ルアク」というコーヒーをご存じですか?

「コピ・ルアク」は、インドネシアの島々(スマトラ島・ジャワ島・スラウェシ島・バリ島)でつくられているコーヒーです。このほか、フィリピンでつくられている類似のコーヒーは「アミラド・コーヒー(現地ではカぺ・アミラド)」と呼ばれています。じつは、これらのコーヒーは「猫」とは切っても切れない意外な関係性があるのです。今回は「猫」と「コーヒー」のお話です。

ジャコウ猫がコーヒーをつくる?

「コピ・ルアク」「カぺ・アラミド」などのコーヒーは、ジャコウネコの糞から取り出されたコーヒー豆からできています。それだけ聞くと「そんなコーヒーを飲むなんてありえない!」と聞こえてきそうですが、独特の香味とコクが加わった世界でもっとも高価なコーヒーなのだとか。500gが300~500ドルで販売されているそうです。

インドネシアのコーヒー農園では、しばしば野生のマレ―ジャコウネコがコーヒーの木の熟した果実を食べに来ます。果肉は栄養源として吸収されますが、種子であるコーヒー豆は消化されずに糞と一緒に排出されます。その糞のなかからコーヒー豆を取り出し、キレイに洗浄して乾燥し、焙煎させたのが「コピ・ルアク」です。

「カぺ・アラミド」がつくられるフィリピンでは、複数種のコーヒーの木が栽培されているため、結果的に数種類のコーヒー豆が自然にブレンドされるそうです。そのため、食べるコーヒーの果実の種類によって、味や風味が大きく左右される可能性があります。味が優れたコーヒーのほうが高値で取引されています。

独特の香味とコクは、ジャコウネコの腸内の消化酵素や腸内細菌の発酵の働きによるもので、通常のコーヒーと比べるとカフェイン含有量が50%以下に低下することがわかっています。

乱獲による大量生産で世界に広がる

希少価値が高いコーヒーであるにも関わらず、世界各国で入手できるようになったのは、野生のジャコウネコを乱獲し、檻に閉じ込め、大量生産したことが背景にあります。

2013年9月にBBCで放送されたドキュメンタリーでは、本来は肉食のジャコウネコに無理やりコーヒーの種子を食べさせることで大量生産し、天然ものと偽造して販売している実態が明らかになりました。イギリス国内で大きな反響となり、「コピ・ルアク」を提供していたハロッズは視聴者の抗議から提供を取りやめることとなりました。

日本や台湾、韓国などのアジア諸国は、このコーヒーの世界最大の消費地として知られています。大手数社が高級コーヒー豆として取り扱っています。しかし、希少価値の高さが魅力であり、決してコーヒー豆の品質が優れているわけではないということを知っておく必要があるでしょう。

ほかの動物によるコーヒーも存在する

このほか、「モンキーコーヒー」と呼ばれるものが存在します。「モンキーコーヒー」とは、アカゲザルが一度噛んでから吐き出したものを使ってつくられるコーヒー豆のことです。猿は本能的に熟して甘くなったコーヒーの木の果実を食べる習慣があります。もっともおいしい果実を選びます。猿はそれを数分に渡って噛み続け、噛み切れなかった部分を吐き出して地面に捨てます。その捨てられた種子を使ったのが「モンキーコーヒー」です。台湾やアフリカにも同じようなコーヒーがあり、希少価値があるため極めて高額で取引されています。

また、タイでは象にコーヒー豆を食べさせ、その糞から集めたコーヒー豆を焙煎させてつくる「ブラック・アイボリー(黒い象牙)」というコーヒーがあります。「コピ・ルアク」よりも希少価値が高く、さらに高額で取引されています。

まとめ

どのコーヒーも一度は飲んでみたいと思うものの、製造過程を知ると本来の評価が難しくなりそうです。希少価値が高ければ高いほど、利益を目的とする悪質な業者が動く可能性が高いので、動物たちがその犠牲にならないようにと願います。