【猫飼いTIPS】猫の首を掴むとおとなしくなる理由
野良猫のお母さんが、子猫の首後ろを咥えて道を歩いている姿を見たことがある人は多いでしょう。母猫は、住処から迷い出た子猫を連れ戻したり、新しい住処に引っ越したりする際などに子猫の首の後ろを咥えて移動させます。なぜ、母猫はこのような行動をするのでしょうか?
本能的な条件反射
母猫が子猫の首を咥えるのを見ると、「なんだか痛そう」と感じるかもしれません。しかし、じつは猫の首の皮は分厚く、噛まれた程度では痛みを感じないようにできています。子猫が首の後ろを咥えられると、おとなしくなるのは本能的な条件反射で、反動的に動かなくなります。子猫は母猫が離すまでおとなしくしているのです。母猫が子猫を移動している際に子猫が大きな鳴き声を上げてしまうと、ほかの天敵に見つかってしまうので、それを防ぐ目的もあるのではないかという説もあります。
この習性は成猫になっても残っています。だからといって、成長した愛猫の首の後ろを掴んで持ち上げるのはNGです。子猫とは体重が違うので、愛猫にとって息苦しいだけになります。抱き上げるときには、胸とお尻をすくうように持ち上げ、お尻の下に手を持っていって、体重をしっかり支えてあげましょう。
オス猫はこの本能を利用して交尾する
発情期のメス猫はオス猫の前で転げまわったり、オス猫に背を向けてお尻を高く上げたりして、交尾に誘います。猫の交尾では、オス猫がメス猫の背後から首を噛んで動きを制限します。これは「ネックグリップ」といって、よく見られる行動です。オス猫はこうすればメス猫がおとなしくなると本能的に知っています。
「首を噛む=静かになる」と認識しているのでしょう。しかし、この行動にも個体差があります。オス猫であってもまったく噛まないこともあり、動きが制限されないので、メス猫に「近づかないで!」と怒られているオス猫もいます。首を噛まないオス猫はなかなか交尾がうまくできません。
成猫同士でも首を噛むことがある
同性同士の成猫であっても、相手の首を噛むことがあります。これは、首を噛むことで行動を制限し、「自分のほうが強いぞ」とアピールしているマウンティング行動ではないかといわれています。しかし、首を噛まれた猫が「自分のほうが強いぞ」と思っている場合には、権力争いの喧嘩に発展することもあるのです。本気の喧嘩になれば、血を見る争いになることも。特に新しい猫を迎えたときには喧嘩になることも多く、飼い主は様子を見ながら会わせる必要があります。慣れるまでは、注意深く見守るようにしましょう。
子猫同士で首を噛み合うのは遊びの延長
子猫の時期は、母猫や兄弟姉妹、ほかの成猫とじゃれ合いながら、噛んだり噛まれたりする加減を覚えていきます。子猫同士が噛み合うのは、単に遊びの延長なのです。子猫のテンションが上がり、母猫などを激しく噛んだりした際には、「おとなしくしなさい!!」と子猫の首の後ろを噛むこともあります。母猫は「いまのは強過ぎよ」と本能的に教えているのです。ほかの猫でも同様です。子猫同士が噛み合うことより、母猫の指導のほうが重要です。猫は子猫のときに、そうして猫社会のルールを学んでいきます。
まとめ
猫は子猫のときに母猫に首の後ろを咥えられたりすることによって、「首を噛む=静かになる」ということを、本能的に認識していきます。しかし、母猫ではなく、例えば人間に育てられた子猫の場合は、首を咥えられるという経験をしていないので、その認識が弱いのではといわれています。交尾のオス猫の行動に個体差があるのは、そのような部分も影響しているのでは……。母猫がいない子猫には、猫の本能的な部分を閉じ込めてしまわないように、ときどき首の後ろを掴んで、飼い主が母猫の代わりをしてあげるとよいかもしれませんね。
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