「家庭動物管理士3級」編

犬や猫について学ぶことは、ペット関連の仕事に携わる人だけでなく、一般の飼い主さんにもとても大切なことです。その知識や経験は日々の愛犬や愛猫との生活に活かせるだけでなく、いざというときに飼い主さんが力を発揮できることにもなります。愛犬や愛猫にとってそれほど安心なことはありません。犬や猫についての資格取得を目指した学びは、そんな知識や経験を正しい情報として得るために役立ちます。

しかし、インターネット上には数えきれないくらいの資格等が紹介されていて、いったいどれが自分に向いているだろうかと迷ってしまいます。そこで、ペトハピのスタッフが実際に資格取得を目指して、体験してみることにしました。

今回は一般社団法人全国ペット協会が実施している、「家庭動物管理士3級」の資格取得を目指しました。この資格は「家庭動物販売士」から2015年に名称を変更しています。その名のとおり、ペットを販売するプロフェッショナルとして欠かせない知識を学ぶことができる内容とされています。第一種動物取扱業の事業者は、各事業所に動物取扱責任者を1名選任する必要がありますが、その動物取扱責任者の資格要件を満たす資格にもなっています。では、実際に資格取得はどのように行われているのでしょうか。

まずはインターネットで申し込み

この資格を取得するためには、まずはインターネットで申し込みをします。誰もが受験できるわけではなく、受験資格があります。

①飼養動物に関する学校その他の教育機関を卒業した者及び卒業見込みの者
②ペット動物などに関する資格を有している者
③ペット動物販売店等で働いている者又は働くことを希望している者

以上の3つのいずれかに該当していれば良いということなので、ほかのペットに関する資格を何かしら有していれば、一般の飼い主さんであってもチャレンジできる資格なのです。

受験方法は2つあり、受講(2万円)+受験(1万円)と受験のみ(1万円)のどちらかを選択します。受験のみのコースは、ある程度の知識が必要で、動物関係の学校に通っている学生などが多く受験しているようです。今回は受講+受験のコースを選びました。インターネットでの申し込みが完了すると数日で「家庭動物管理士テキスト」が送付されてきます。試験当日に講習会があるので、それまでは送付されたテキストで勉強を進めることになります。受験のみの場合、テキストは送付されません。

テキストは約270ページ

送付されてきたテキストは約270ページで、厚さで言えば1.5㎝あります。内容は動物愛護法など法律に関すること、職業倫理、動物販売に必要な基礎知識、接客マナー、生体に関する基礎知識、動物行動学、衛生管理、犬や猫の病気、健康管理、繁殖、血統書など多岐に渡る内容です。3級ということなので、それぞれ基本的なことを学ぶという内容にとどまり、それほど難しい内容ではありません。幅広く基礎を学ぶという感じです。ただ、すべてを頭に叩き込むにはページ数が多いので時間が必要です。なかなか学ぶ時間が取れない場合には、テキストの太字部分を重点的に覚えるということをオススメします。実際に私はこのテキストを2回、集中して読み込みました。

試験日2週間前に送られてきたDVD

通常は試験当日に講習会を受講することになっていましたが、今回は新型コロナウイルス感染症の予防対策としてそれが中止となりました。その変更と講習会の代わりにDVDが2枚郵送されてきました。DVDは講習会の模様をまとめたもので、「試験当日までテキストや追加資料とあわせて、視聴して学習を進めてください」ということでした。私はテキストを手元に置きながら、DVDを2回視聴しました。重要な部分はかなり強めに反復して講師が述べていましたので「この部分が試験に出るのかなあ」と思いながら、テキストにマーカーで印を付けておきました。講習会であれば1回しか聞くことができませんでしたので、このDVDへの変更は受験者にはプラスに働いたと思います。その後は、テキストの太字の部分とマーカーした部分を繰り返し読み込むようにしました。

大阪会場で受験

通常なら住んでいる関東周辺で受験をするところですが、ちょうど関西で用事があったので、大阪会場で受験することにしました。大阪会場は、JR環状線天満駅近くの天満研修センターで実施されました。会場入り口では検温がありました。その後、受験票と身分証明書を提示して受付を済ませます。そして、会場に入る前に手の消毒をして、指定された席に座ります。新型コロナウイルスの対策のため、マスク着用は必須で、3人掛けの長テーブルに1人ずつ座るように広い間隔がとられていました。

まず、受験の注意事項等の案内があり、全国ペット協会理事の挨拶に続いて、試験問題と解答用紙が配られました。出題形式は3肢択一式(マークシート方式)で、試験時間は60分。問題数は全部で30問でした。内容は学んだ各科目から数問ずつ出されていましたが、テキストには書かれていないような問題も2問程度あったように思います。また、テキストの太字やDVDで「ここが出題されるかも」といわれていた部分以外からも出題がありましたので、試験前の勉強はやはりすべてに目を通すことが大切だと思いました。

試験開始時間から30分を経過した時点で、終了した人は退出することができます。私は関東まで帰宅するので早々に退出して帰路に着きました。

まとめ

この資格の改名前は「家庭動物販売士」という名称であったとおり、繁殖業者やペットショップを営む、または勤務することを前提に作成されたテキスト内容となっています。ペトハピの「太鼓判ブリーダー」で言及しているような飼育環境や譲渡方法等の記述はありません。ですので、ペットオークションやペットショップ等に犬や猫を卸していないブリーダーが資格取得を目指した場合には、かなり違和感を持つと思います。

また、一般の飼い主さんにとっては、職業倫理、動物販売に必要な基礎知識、接客マナー等を除けば、犬や猫の基礎的な知識を学ぶためには役立つのではないかと思います。興味がある方は、資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

難易度

★★★☆☆(普通レベル)