犬の身体にも環境にも配慮したおもちゃを開発するパイオニア
愛犬と遊ぶときに便利なおもちゃ。運動不足やストレスを解消するもの、頭脳の成長を促す効果が期待できるものなど、たくさんの種類がある。皆さんはどのようなおもちゃをお使いだろうか? おもちゃの効果として、下記のようなものが挙げられる。
・飼い主との絆を強くすることに役立つ
・ルールとマナーを教えることができる
・脳を刺激することで健全な成長をサポートする
・心を刺激することで散歩よりも多くのエネルギーを消費する
そんな、犬用のおもちゃ市場において、先進的な取り組みをしているパイオニアがいる。米国West Paw社(ウェスト・ポウ)のCEOでありオーナーのSpencer Williams(以下、スペンサー)だ。
スペンサーは、アメリカのモンタナ州で牧場を経営する家庭に生まれた。豊かな自然の中でいつも動物に囲まれて育ってきたことで、自然と共存し、自然に優しい生き方を当然のように身につけた。
「人間は自然に勝ると唱える人もいますが、私はそうは思いません。私達の行動がどう自然に影響するのか私達は気づかなければいけないと思うのです」。
自然環境に恵まれた故郷のモンタナに会社を設立
スペンサーは、1996年に故郷であるモンタナ州のボーズマンにWest Pawを設立し、大好きな犬たちとの生活を豊かにする商品を開発・販売している。モットーは、“愛犬との時間を素敵にする手伝いをしたい”ということだ。散歩やハイキングであったり、アクティブティであったり、ペットとの関わりの中で愛が育まれるという。彼自身も、最初の家族となったチョコラブラドールと一緒にいる時間が楽しく喜びだった。
スペンサーは飼い主に問いかける。「犬におもちゃは必要ですか?」と。そして、その答えとして「人間と同様に犬の心身の健康のためにも、適度な刺激を得られるおもちゃは必要なのです」と説明する。West Pawのおもちゃは、「遊ぶ」「噛む」「パズル」の遊び方カテゴリに、噛む力を考慮した製品ラインナップになっている。引っ張り合いして思い切り遊びたい犬、優しく噛みながらひとり遊びが好きな犬など、あらゆるニーズに対応ているのが特徴なのだ。
そして、そのおもちゃは、安全で環境に優しいという信条でつくられている。素材には高品質で環境にも優しい「ゾゴフレックス」を使用している。ゾゴフレックスはWest Pawが開発した素材で、プラスチックの一種であるサーモプラスチック・エラストマー(略称:TPE)を原料としている。有害物質を含まず無害であり、100%リサイクル可能で環境にとても優しい素材だ。耐久性・柔軟性に富み、水にも浮くという特徴も持っている。
さらに、製品はモンタナの自社工場のみで生産されている。安心・安全のためには、しっかりとトレーザビリティを機能させなければならず、価格を下げるために中国などで作ることはしていない。そしてその考えと行動により、2013年には「B Corporation(Bコーポレーション)」にも認定された。日本では聞き慣れない制度だが、Bコーポレーションは企業そのものを評価する制度であり、環境、社会に配慮した事業活動を行い、アカウンタビリティや透明性などの厳しい基準を満たした企業に対して与えられる認証だ。
環境やコミュニティにも配慮した会社であること
Bコーポレーションの目的は、“Redefine success in business”で、ビジネスにおける成功を再定義すること=従来の利益の最大化だけを目指すのではなく、従業員、環境やコミュニティなど、すべてのステークホルダーの利益を追求するというものだ。スペンサーは、その意義について「私たちの製品は、材料はリサイクルとアメリカで調達できるものだけを使い、二酸化炭素の排出を最小限にすることで環境や社会の課題を解決している。そして、安全・安心な製品をつくることで、従業員や飼い主、そしてペットも含めたすべてのステークホルダーに利益をもたらしたいと考えている」と語る。
また、リサイクル可能というのは、West Pawの“Join The Roop”という、モノづくりリサイクルの呼びかけにも現れている。ゾゴフレックスは100%リサイクル可能な素材だ。使わないゾゴフレックス製のおもちゃを回収すれば、新しいゾゴフレックス製おもちゃの生産が可能となる。Join The Roopを通じ、たくさん回収ができれはできるほど、彼らが理想としているゴミゼロに近づけることになるのだ。
彼らは、常にペットオーナーたちに呼びかけている。「万が一壊れてしまったり、製品が気に入らない場合は、新しい商品と交換または返金します。耐久性に自信があるからこそできるのですが、捨てないことがゴミゼロへの大事な一歩なのです」。
同席した輸出担当のRita Viel(以下、リタ)は、West Pawのおもちゃ選びについて教えてくれた。愛犬におもちゃを与えるとき、「問題があるなら何が問題なのか」を考える。そして、その問題解決には何が必要なのかを考え、どのおもちゃが適切なのか見極めることが大切なのだ。
「同じ犬種でも噛む力、引っ張り合うタイプか、フェッチ(持ってきて)が好きとかいろいろです。人間の子どもが育つのに種類が違うおもちゃが必要なように、犬にも違う種類のおもちゃが必要だということを認識してもらうように努めています」。
また、犬の年齢にも配慮が必要だという。若いころは活発なので、いろいろなおもちゃで楽しむことができる。しかしシニアになると活動量は減り、噛む力も弱くなるので、柔らかく、転がり過ぎないようなものが望ましいという。パズルなども脳の刺激になるので勧めているという。
しかし、あまり一度に長く使わないことがよいようだ。「どの年齢の犬にも当てはまりますが、特にシニア犬の場合には、しばらく遊んでも内部のおやつが取れなかった場合、出してあげて下さい。脳を刺激をするものではありますが、長時間使うと疲れさせることにもなるのです」。
このように、彼らのつくるおもちゃは、犬や飼い主にとって、安全・安心であることに加え、環境や社会にも貢献するものなのだ。それを理解する世界中の愛犬家に選ばれているWest Pawのおもちゃは、日本では「レンジャース」が総代理店として販売している。彼らもまた、スペンサーやリタと同じ考えを持ったパートナーだ。そんな彼らの共通の考えが下記だ。
“私たちは、単に製品を作り・販売するのではなく、解決方法を提供しているのだ”
これからの彼らの活動、そしてリリースされる製品から目が離せない。
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