ペット生活ファーストステップ Vol.12

室内飼いの犬でも忘れずに! 愛犬のノミ・ダニ対策

[2016/04/11 6:00 am | 辻村多佳志]

前回までの狂犬病予防フィラリア対策混合ワクチン接種は、愛犬の命を守るために欠かせない健康管理対策をお伝えしました。今回のノミ・ダニ対策も、犬と人とが快適な共生社会を送るうえで欠かせない健康管理対策になります。その基本をご紹介しましょう。

ダニは人にも寄生します

ダニのことをまったくご存じない人はいないでしょう。たとえば、私たちの顔の皮膚などには、ほとんどの人にいわゆる顔ダニが寄生していますし、布団やカーペット、ハウスダストの中にも多くのダニが生息しています。ダニがいない場所は存在しないと考えておいて間違いありません。

通常はダニがいても大きな問題を引き起こすことはありません。とはいえ、一部のダニはアレルギー疾患の原因になったりしますので、みなさんのご家庭でも掃除や虫干しなどを心がけているはずです。ところが、犬によく寄生するダニの中には、厄介な問題を引き起こす種類がいます。いわゆる「マダニ」類です。日本では50種前後のマダニが確認されています。

マダニは、私たちの家の中で暮らすイエダニとは異なり、森林や草むら、河川敷、水田などに暮らすダニで、動物の血を吸って生きています。動物が近くを通ると、二酸化炭素や体温を感知して動物に飛び移り、噛みついて吸血するのです。もちろん犬だけでなく人にも寄生しますし、イエダニとは異なり、しばしば大きな問題を引き起こします。

どんな奴か見てみようという方は、ネットで「マダニ 画像」などと検索してみてください。ただし、虫がキライな人や、つぶつぶしたものが苦手な人にはオススメしません。私もつぶつぶ系がちょっと苦手なので、犬にビッシリ寄生したマダニの画像などを見ると背筋がゾクゾクして腰が抜けそうになります。しかし、ダニ対策を怠ったために犬がどんなに辛い思いをするのか、ひと目で分かるのは確かです。

ダニは怖い病気を媒介します

犬が大量のダニに寄生されると貧血や皮膚炎を起こすことがあります。さらに怖いのは、パペシア症、ライム病、Q熱など、健康に大きな悪影響を与える病気を引き起こす菌などを媒介することです。犬のダニ対策を怠っていたことで人にも寄生が拡大することがありますし、犬も人も、生命に関わる重大な危険を招きかねません。こんなに怖い症状もあるのです。

うちの犬は室内飼いだから大丈夫、などとたかをくくってはいけません。散歩中に草むらに近寄っただけで寄生されてしまうこともあるのですから、ダニ対策を怠らないようにしましょう。ダニとともに大きな問題を引き起こすノミについても同様です。メスのノミは成熟すると1日約50個もの卵を産み、犬の体ばかりでなく室内全体があっという間にノミの巣窟になってしまいます。こうなると家全体を徹底的に消毒するしか手がなくなりますし、周囲の人や犬にも大きな迷惑をかけます。動物の人とのよりよい共生社会を築くためには、飼い主一人ひとりが責任を持って、ダニやノミなどの対策を行わなくてはなりません。

ダニやノミの早期発見方法と予防方法は?

ダニやノミは小さな生き物なので、漫然と犬を飼っているだけではなかなか見つけられません。散歩の後で、犬の足の裏や耳の周り、肛門やお腹の周りなどにダニがついていないかを観察できればベストですが、週2~3回ブラッシングを行うだけでも発見の確率が高まります。

ダニが寄生し血を吸っているのを発見しても、あわてて取ろうとしてはいけません。ダニは犬の皮膚に噛みついて吸血しますが、この際にダニの口と犬の皮膚を接着剤で固定するような成分を出します。むやみに取ろうとすると口の部分が千切れて犬の体内に残ってしまいますし、ダニを潰してしまうと、ダニの体内にいる菌や寄生虫が犬の体の中に侵入してしまいます。ダニを見つけたら、すぐに獣医さんの診療を受けましょう。

ダニやノミの寄生を予防する方法として、こまめなシャンプーで清潔な身体を保つことは大切です。しかし、これだけでは寄生を防ぐことはできません。獣医さんでダニ・ノミ対策用の薬を処方してもらい、定期的に投薬する方法がもっとも安心です。

ダニ・ノミ対策薬としてポピュラーなのは、背中の皮膚などに液体の薬を滴下するタイプの薬です。ダニやノミの寄生を防ぎ、成虫を殺すばかりでなく、卵や幼虫の駆除にも効果があります。駆虫薬の使用は毎月1回が目安で、小型犬の場合、費用は1回分1500円前後と考えておけば間違いないでしょう。

ただし、こうした薬を与えても、室内などに成虫や卵が残っていては、再び寄生される可能性が高まります。愛犬のベッドやマット類などはつねに清潔を保ち、部屋の掃除を欠かさないようにしましょう。どうせ犬の毛が舞うからと掃除をさぼる飼い主さんもいますが、実際には犬を飼ったら掃除の回数を増やすべきです。

次回は、病気の早期発見や健康管理に役立つ定期健康診断について考えていきましょう。

[辻村多佳志]