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腸内環境を整える3つの方法

[2022/02/15 6:01 am | 獣医学博士 川野浩志]

腸内環境を整えるためには、「よい菌をとる」「菌を育てる」「菌の邪魔をしない」ことです。それらをざっくり説明すると以下のようになります。

「よい菌をとる」
プロバイオティクス(乳酸菌などの有用菌)もしくは発酵食品を摂取する
「菌を育てる」
プレバイオティクス(善玉菌のエサや食物繊維)を摂取する
「菌の邪魔をしない」
化学物質や抗生物質を極力減らし、口腔内細菌を静菌制御する


よい菌を見つけるのは、運命の恋人に出会うくらいマッチングが難しい。まずはあなたの腸に住んでいる菌を育てることに集中しましょう。菌を育てるエサとなる栄養素は、「水溶性食物繊維」「難消化性オリゴ糖」「レジスタントスターチ」の3つです。

水溶性食物繊維は、ネバネバしたりプルプルしたものに多い“ネバプルの法則”があります。例えば、オクラやワカメ、こんにゃくなどで、ちなみに調理する場合は蒸すのがベター。蒸すことで、野菜の水溶性食物繊維を増加させることが最近の研究で明らかになっています。手軽に摂取したい場合は、野菜由来のオリゴ糖であるケストースが効果的であり、悪玉菌を増やさず、ビフィズス菌と酪酸菌をガッツリ増やすことが多くの論文で証明されているのです。

難消化性オリゴ糖の代表選手といえば大豆製品。しかも、固形物であるほどたくさん含まれます。つまり、普通の大豆やきなこ、おからなどにはオリゴ糖が豊富に含まれますが、豆乳にはあまり含まれていないから注意が必要です。さらに、腸内細菌が大豆イソフラボンからつくり出す「エクオール」という成分は、女性ホルモン(エストロゲン)にとてもよく似た働きをするスーパーイソフラボン。エクオールをつくり出してくれる腸内細菌が美魔女菌である「エクオール産生菌」です。

「レジスタントスターチ」とは、消化されずに大腸まで届くデンプン(難消化性デンプン)のことで、穀類やいも類、豆類などの食品に少量含まれています。レジスタントスターチは、大腸を正常に保つためのエネルギー源である酪酸(らくさん)を増加させることから、腸内環境の改善には欠かせないともいえます。レジスタントスターチの含有量を増やすには「冷ますこと」だけです。炊き立てのご飯ではなく、おにぎりにしましょう。

最後に、口腔内細菌にも気をつけましょう。口腔内の歯周病菌や虫歯菌が腸内細菌に影響を与えることは、以前にご説明したとおり。それらを飲み込むことによって腸管内で育成した善玉菌がダメージを受け、悪玉菌が増加します。結果的に、便秘や腎不全など全身疾患へのリスクが高まるというもの。

みなさんも愛犬・愛猫も腸内環境を整え、健康な毎日を送りましょう!

[獣医学博士 川野浩志]