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ワンちゃんのアトピーについてのアップデート

[2021/09/14 6:01 am | 獣医学博士 川野浩志]

犬や猫のアトピーの現状や治療について、後編にわたって解説しました。今回は、そのアップデート情報をお知らせします。

これまでわかっているのは、お父さんがアトピーだと50%の確率で子犬はアトピーになり、お母さんがアトピーだとさらにハイリスクとなるということです。そして、多くは3歳までに症状が出てきます。

アレルギーを起こしやすい犬種は、柴犬、フレンチ・ブルドッグ、シー・ズー、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、レトリーバー種、コッカー・スパニエルやスプリンガー・スパニエル、ボクサー、コリー、ダルメシアン、ブルテリア、ジャーマン・シェパード・ドッグなどが報告されています。

アトピーのワンちゃんは、健康なワンちゃんと比べて皮膚の細菌の種類が違うこともわかっています。アトピーのワンちゃんの皮膚には、ブドウ球菌やマラセチア菌が多く、こうした菌が原因で皮膚の炎症が起こるのです。

アトピーの原因として、遺伝や免疫異常、皮膚のバリアが壊れているから、黄色ブドウ球菌が極端に増加しているから、引っ掻くから、活性酸素による酸化ストレス、といったことがあげられます。

では、どうしたらいいのか? ブドウ球菌をできるだけ抗菌剤に頼らず細菌性皮膚炎をコントロールしたり、壊れた皮膚のバリアをバイオフィルムというハイテク戦略で正常化したり、さらには腸内環境を整えて、暴走するアトピーの主犯格「Th2」細胞を抑制する「制御性T細胞(Treg)」を増産するのです。

[獣医学博士 川野浩志]