犬との暮らしで知っておきたいこと Vol.193

愛犬が生魚のようなニオイがする!? その原因と効果的なケア方法

[2024/09/24 6:01 am | 編集部]

愛犬を抱きしめたり舐められたときに、生魚のようなニオイを発していることに気づいたことはありませんか? この魚臭さは一時的なものではなく、健康上の問題を示すサインかもしれません。

肛門腺や泌尿器系のトラブル、歯周病や皮膚疾患など、さまざまな原因が考えられます。今回は、犬が生魚のようなニオイを発する主な原因とその対処法について詳しく解説します。

愛犬の健康と快適な生活を維持するために、ニオイの背後に潜む要因を理解し、適切な対応策を学びましょう。

生魚のようなニオイの正体

愛犬から生魚のようなニオイがする場合、その正体はトリメチルアミンという有機化合物です。トリメチルアミンは魚が腐敗する際に発生する物質で、強い腐敗臭を放ちます。体内でトリメチルアミンが増加すると、アンモニア臭に似たニオイが混ざることがあります。

愛犬からこのようなニオイがする場合、体内や体外での細菌の過剰繁殖、感染症が原因であることが多いです。さまざまな健康問題と関連している可能性があるため、注意が必要です。

肛門腺の問題

犬が生臭さを発するもっとも一般的な原因は、肛門腺のトラブルです。肛門の両側に位置する肛門腺は、犬のコミュニケーションやマーキングに使用される分泌液を生成します。

通常は、排便時に肛門腺から分泌液を少し排出します。これは犬が自分のニオイを残すのに役立ちます。しかし、肛門腺が詰まったり感染したりすると、通常とは異なる腐った生魚のようなニオイを放つことがあります。

肛門腺の異常は、犬が頻繁にお尻を地面にこすりつける動作や、肛門周辺を舐める仕草として現れることが多いです。この症状が続くと、感染を引き起こし、さらに不快な臭いが強まることがあります。

肛門腺のケアとしては、肛門腺絞りが有効です。犬種や個体差がありますが、犬によっては、毎月、あるいは年に1~2回、定期的に肛門腺絞をする必要があります。

それでもニオイが酷く、愛犬が頻繁にお尻をこすりつけるような動作を見せる場合、早めに獣医師の診察を受けることをオススメします。

口腔内の問題

もうひとつの原因として、歯周病や口腔内の問題が考えられます。犬の口腔内には多くの細菌が存在し、これらが食べ物の残りカスと混ざり合って、歯垢や歯石を形成します。

歯垢は12時間かけて歯に蓄積します。その後、歯垢は3日後には歯石に硬化し、細菌の増殖を促します。これが進行すると歯周病となり、強い口のニオイを発することがあります。

歯周病は、単にニオイの問題だけでなく、進行すると歯の喪失や全身の健康に影響を及ぼす恐れもあります。そのため、定期的な歯磨きや、口腔内のチェックは非常に重要です。

歯磨きが苦手な場合は、デンタルガムやデンタルケア用おもちゃを利用することもできます。ただし、口臭が気になる場合は、早めに獣医師に相談し、適切なケアを行うようにしましょう。

泌尿器系の問題

犬の尿路感染症は、特にメス犬でよく見られる症状で、膀胱や腎臓に細菌が繁殖することで、生魚のようなニオイを引き起こします。

尿路感染症の徴候として、多飲、頻尿、尿閉、尿異常(血尿・膿尿・混濁尿)などが含まれます。重症の場合、腎臓への感染が広がり、発熱、嗜眠、食欲不振、嘔吐などの症状が見られることがあります。

一方で、膣炎も同様のニオイの原因となり得ます。膣炎の原因として細菌、外傷、腫瘍、膣の先天的異常などが挙げられますが、もっとも多いのは、細菌性膣炎です。

膣炎は、年齢に関係なく発症する可能性があります。発症した犬は、違和感から陰部をしきりに舐めたり、膿のような分泌物が排出されます。

また、膣炎が慢性化すると、未避妊のメス犬では発情休止期(黄体期)に子宮蓄膿症に進行する可能性があるため、注意が必要です。

犬の子宮蓄膿症は、子宮内に膿が溜まる病気です。症状には、元気や食欲の低下、多飲多尿、腹部の膨満、陰部からの膿や血の分泌などがあります

子宮蓄膿症は、ホルモンの変化で免疫が低下し、細菌感染が起こることで膿が子宮内に溜まる病気です。発熱、嘔吐、嗜眠、腹部の腫れなどが見られ、症状が進行すると腎不全や敗血症などの重篤な状態に至ることもあります。

これらの泌尿器系の問題はいずれも犬の健康に重大な影響を及ぼすため、生魚のようなニオイや異常が見られた場合は、速やかに適切な診断と治療を受けることが重要です。

その他の問題

生臭さは、ほかの健康問題が原因である可能性もあります。例えば、皮膚や耳の疾患、さらには腎臓や肝臓の疾患などが臭いの原因となることがあります。

特に耳の感染症は、耳のなかで細菌や真菌が繁殖することで強いニオイを発することがあります。外耳道真菌症では耳だれが発生し、それがニオイの原因となることがあります。

また、皮膚のトラブルがある場合も、ニオイを発することがあります。膿皮症やマラセチア皮膚炎などの皮膚感染症では、細菌や真菌が繁殖し、強いニオイを発することがあります。これらの感染症は、皮膚の赤みやかゆみ、べたつきなどの症状を伴うことが多いです。

また、内臓の疾患が原因である場合もあります。ニオイだけではなく、ほかの症状(食欲不振、運動量の低下など)も見られる場合は、早期の診断と治療が犬の健康を守るために不可欠です。

まとめ

愛犬が生魚のような腐敗臭を発する場合、その背後には健康に関する様々な原因が潜んでいる可能性があります。

家庭でのケアで緩和できることもありますが、まずは獣医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。健康問題を早期に発見し対処することで、愛犬の健康を守り、快適な生活を支えることができます。

[編集部]