犬は骨を埋め、猫はうんちを埋めます。うんちを隠すことは猫の自然な本能ですが、それは猫が清潔さにこだわっているからというだけではありません。今回は、猫のうんちのお話です。
猫がうんちを埋めるワケ
猫が自分の排泄物を丁寧に埋めるのは、猫が縄張りを示すためにおしっことうんちを使用してきた長い歴史に由来しています。私たちにとって、猫のうんちはすべて同じニオイに感じるかもしれませんが、猫は自分のおしっこやうんちに含まれるフェロモンと呼ばれる独特の化学的なマーカーによって、ほかの猫の排泄物を区別することができるのです。
野生ではうんちを埋めないことも
野生では、ライオンやトラ、ヒョウにジャガーなどのネコ科(ヒョウ属)の動物のうち、特定の地域における支配的な種は、自分の縄張りであるというサインとして、うんちを埋めないことがよくあります。逆に、小さくて弱い、あるいは従属的な野生の猫は、支配的な猫に挑戦していると思われないようにするために、あえてうんちを埋めるのです。
また、野生の猫は、自分自身や子猫のいる巣を捕食者に感づかれないようにするためにうんちを隠します。ペットの猫も、野生の猫と同じように自己防衛本能を強く持っています。これは、祖先が持っていた生存本能のひとつともいえます。家のなかに捕食者がいなくても、猫は確信を持てないのかもしれません。だからこそ、万が一に備えてうんちを埋めて隠すのです。
愛猫がうんちを埋めないとき
愛猫が念入りにうんちを埋めるのは、あなたを家の支配者(猫)として認識しているという意思表示でもあります。動物学者で倫理学者のデズモンド・モリスは、著書『Catlore』のなかで、「平穏な家では、すべての猫は飼い主をボスと考えているので、通常の状況では猫トイレを使ったり、庭にうんちを埋めたりしている」と書いています。
もし、愛猫がトイレ以外でうんちをして放置したままだとすると、それは自分があなたよりも優位に立っていると考えているからかもしれません。しかし、必ずしもそうとは限りません。このような反抗的にみえる行動は、病気や尿路感染症、胃腸障害の可能性があります。
あるいは単にトイレの正しい使い方の訓練がされていないことが原因である場合もあります。うんちを埋めるという猫の本能は、母親が埋めるのを見ることで強化されるため、子猫のうちからトイレの使い方を教えなければならない場合もあります。
まとめ
愛猫がトイレでうんちをしないという場合は、いろいろな理由があります。もしかしたら、トイレの場所が気に入らないのかもしれません。トイレは食事するエリアから離れているのが望ましいのです。
また、トイレの形状が問題かもしれません。オープンタイプでは落ち着けないのかもしれません。そういった場合は、ドームタイプなど複数用意するといいでしょう。特に多頭飼育の場合は、ひとつではなく、複数個(できれば頭数分+1)用意するといいでしょう。
猫砂が気に入らない場合があります。いろいろなタイプの猫砂が販売されていますので、変えてみながら様子を見ましょう。