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犬と猫の下痢と腸内細菌のカンケイ

[2021/07/20 6:01 am | 獣医学博士 川野浩志]

アレルギー性皮膚疾患だけでなく、犬や猫のお腹の調子が悪いときは、「ディスバイオーシス」が起こっていることが証明されています。ディスバイオーシスとは、腸内細菌が乱れた状態を指します。特に犬の場合、急性でも慢性でも腸管の炎症は腸内細菌叢の組成に明らかに違いが出ることが報告されています。

犬の急性下痢では、健康にとってさまざまなよい働きをしてくれる有機酸である「短鎖脂肪酸」をつくるビフィズス菌などの有益な腸内細菌の数が減少して、ウエルシュ菌など嫌気性菌の増加を伴う強いディスバイオシスが起こっていると報告されています。

さらに、腸内細菌が犬と猫の「炎症性腸疾患(IBD)」の病因に重要な役割を果たすこともわかっており、人間同様に、ディスバイオーシスが確認されています。

ディスバイオーシスを学園ドラマに例えてみましょう。30代の人なら「ROOKIES」や「クローズ」、40代の人なら「ごくせん」や「GTO」、50代の人なら「3年B組金八先生」や「スクール☆ウォーズ」をイメージされるとよいかもしれません。

つまり、リーゼントヘアのツッパリヤンキーが、教室でタバコを吸ったり、暴れたり、廊下をバイクでぶっ飛ばしているような状態になっているのです。この状況を打破するために、ヤンキーを機関銃(抗菌剤)で全滅することは非現実的です。ほかの生徒に銃弾があたってしまうからです。

ではどうするか。もともとのまじめな生徒をより元気にし(プレバイオティクスの投与)、さらにほかの学校からまじめな生徒を大量に転校(プレバイオティクスの投与)させれば、必然的にヤンキーたちの勢力が衰え、床屋でリーゼントをスッキリとした刈り上げにし、タバコをやめてバイクは自転車に変えるなど、おとなしくなるというわけです。ドラマとはちょっと違いますが……。

[獣医学博士 川野浩志]