犬との暮らしで知っておきたいこと Vol.115

【犬飼いTIPS】冬は愛犬の凍傷に要注意! この深刻な寒冷障害の予防と治療方法を知ろう

[2023/01/12 6:01 am | 編集部]

凍傷は、極度の寒さにさらされたことで生じる皮膚や皮下組織の傷害です。人間と同じように、犬も受傷する可能性があります。障害の程度は、犬種や体格、健康状態および低温にさらされている時間の長さによって、軽度から重度までさまざまです。今回は、凍傷の予防と治療方法についてのお話です。

凍傷の原因

凍傷は、氷点下以下の気温であれば発症する可能性があります。凍傷を発症する温度は、犬種や犬の特性、気象条件などによって異なります。

小型犬や短毛種の犬の場合、症状が出るのは人間とほぼ同じと考えられています。例えば、気温が-7度では露出した組織が凍傷になるまでに約3時間かかるといわれています。また、風が強いときや体が濡れているときは、氷点下(0度)でも30分以内に凍傷になることがあります。

シベリアンハスキー、アラスカン・マラミュート、サモエドなどの寒冷地原産の犬種は、凍傷のリスクが低く、寒い季節でも外で遊ぶのが大好きです。しかし、どの犬でも極端な条件下では凍傷になる可能性があるので、冬場の外出は慎重にしたほうがいいでしょう。

糖尿病などの疾患を持つ犬は、血行が悪くなり凍傷になりやすくなります。また、子犬は体温調節がうまくできないため、リスクも高くなります。シニア犬は筋肉量が減少しているため、体を温める機能が低下しているので、凍傷や低体温症になりやすくなります。

凍傷の兆候と症状

氷点下以下の環境では、皮下血管叢が収縮を始めます。これは中枢の体温を維持するための保護作用です。しかし、極度の低温に長時間さらされると血行が悪化し、血行不全となります。そして、やがて組織が凍ってしまうのです。

寒さが犬の体に影響し始めると皮下血管叢が収縮し、血流は重要な中枢(内臓)に移ります。そうなると、足(肉球)、耳、鼻、尻尾などは血流が悪くなり、急速に冷えていきます。

イタリアングレーハウンドのように細長い尻尾は、コリーのようにふわふわした被毛に覆われた尻尾しっぽよりもリスクが高くなります。また、ブルテリアよりも被毛で覆われた耳を持つ秋田犬のほうが耳の凍傷のリスクは低くなります。

犬の凍傷の程度によって、いくつかの段階があります。症状も程度によってさまざまです。

軽度から中度の凍傷

皮膚が青白く見え、触ると冷たく感じることがあります。その部分を触ると、身じろぎしたり、痛みを示したりすることがあります。肉球が傷んでいる場合、足が不自由になったり、足を舐めたりすることがあります。患部を温めると赤く腫れ上がることがあります。このとき、触ると痛いのが普通です。中度の凍傷になると、水ぶくれや発疹が出たり、患部から分泌液が出たりすることがあります。

重度の凍傷

時間が経つと、患部が黒色に変色して硬くなります。ニオイがしたり、膿のような分泌物が出たりすることもあります。これは、死滅した組織のなかで感染が進行しているためです。最終的には、その部分がもろくなり、剥離したりします。凍傷は乾性壊疽ともいわれています。

凍傷の治療法

愛犬に凍傷の兆候が見られたら、温かいタオルを気になる部分にそっと当てて傷ついた可能性のある組織をゆっくりと温めてあげましょう。震えているようなら、温かいタオルで包んであげてください。けっして血行をよくしようと患部をこすってはいけません。かえってダメージを与えてしまいます。

患部が広範囲にわたる場合は、鎮痛剤を獣医師に処方してもらうとよいでしょう。人間用の薬はペットにとって有毒なものもありますので、勝手な判断で使用してはいけません。

まとめ

凍傷は治療するよりも、未然に防ぐことが大切です。寒さに弱い犬の場合は、外出する際には防寒着などを着せるようにしましょう。

厚い被毛で覆われた寒さに強い犬種でも、濡れてしまうと凍傷リスクは高まります。どうしても雨の日に出かける場合は、レインコートやブーツなどの防水性のあるものを着用します。どうしても服や靴を着用したがらない場合は、ごく短時間の外出にしましょう。

[編集部]