犬との暮らしで知っておきたいこと Vol.93

【犬飼いTIPS】夏は花火や雷が多い季節。怖がる犬をケアするためのヒント

[2022/07/29 6:01 am | 編集部]

必ずしも夏は犬にとって楽しいだけの季節ではないかもしれません。花火や雷といった“騒音”が一年でもっとも多い季節だからです。

愛犬が、花火や雷の音にパニックになったり、隠れたりしませんか? 不安な表情で部屋を歩き回ったり、ハアハアと呼吸が早くなったり、大量のよだれを垂らすこともあるでしょう。それは、騒音恐怖症かもしれません。今回は不安を軽減する方法についてのお話です。

騒音恐怖症とは

すべての年齢の犬に発症する可能性がありますが、1歳を過ぎた犬ほど発症しやすいといいます。生後4カ月までに、通常のさまざまな刺激に十分にさらされていない子犬は、大人になってから過度に恐れるリスクが高くなります。

もともと、犬は音に対して敏感で恐怖心を抱きやすいとされています。この敏感さは、遺伝的要因もあるという研究もありますが、子犬のころの経験が大きいというのが一般的な考え方です。

また、特定の音を怖がるようになる犬もいます。それまである音を怖がらなかった犬でも、その音に関連した不快な出来事によって、怖がるようになることがあるのです。

騒音恐怖症をケアするヒント

花火や雷の不安やストレスを和らげるために、いつくかのヒントがあります。手軽にできるものもあるので、愛犬にあったケアをしてみてください。

サウンドトレーニング

年間を通じてトレーニングすることで、騒音を怖がる犬に対処法を身につけさせることができます。まず、花火や雷の効果音(YouTubeなどで無料で配信されている)を小さな音でしばらく流し、その間に何度かおいしいおやつを与え、犬が落ち着いていたらたくさん褒めてあげます。次に、音を消して、おやつを与えるのをやめます。音が鳴り始めると、犬が期待に満ちた表情でこちらを見るようになるまで、この作業を繰り返します。

さまざまな種類の花火や雷の音を徐々に大きくしていき、犬が音とおやつを関連付け、落ち着いていることが確認できるようになるまでトレーニングします。このトレーニングを行っている際は、犬が音に慣れているか、不安な様子を見せていないかをつねに確認してください。

ホワイトノイズ

犬が花火や雷を怖がる理由は簡単です。予測できない大きな音は、差し迫った脅威として認識され、犬を弱気にさせるからです。

リラックス効果や安眠効果、集中力向上などがあるとされる「ホワイトノイズ」を試してみるのもよいでしょう。ホワイトノイズとは雑音の一種で、さまざまな周波数の音を均一にミックスしたノイズです。テレビの砂嵐のような「サーッ」「シーッ」「ゴーッ」のような音といえばわかりやすいでしょうか。

YouTubeに専門チャンネルがあったり、スマホのアプリもあります。ホワイトノイズを収録した「ホワイトノイズマシン」を使うのもいいでしょう。また、愛犬が好きな音楽を、少し大きめの音で流すのも効果が期待できます。その際には、彼らが安心できる場所(ベッドやソファ、クレートなど)で、厚手の毛布で覆ってあげるようにしましょう。

不安解消ベスト

赤ちゃんを抱っこすると落ち着くように、犬の体幹を優しく圧迫する衣服は、騒音への不安を軽減してくれます。花火が始まる前、雷が予想されるときに、事前に「不安解消ベスト(サンダーシャツ)」などの着圧服を着せておくと、愛犬がその着圧服を心地よく感じるようになります。

伸縮性のある布を愛犬の肩や胸に巻いて自作する(血流や呼吸を妨げない程度に)こともできます。YouTubeでも、手づくりの方法などが公開されているので、参考にするとよいでしょう。

事前に運動させる

花火が始まる前や雷の予報が出た際に、事前に長めの散歩をしたりドッグランで走ったりして、愛犬を疲れさせましょう。疲れている犬は、騒音に反応しにくくなるので、楽しいアクティビティを計画して、愛犬をお休みさせましょう。

退屈させない

花火や雷の最中に、愛犬が集中できるゲームや知育トイを使って遊びましょう。騒音中でも何か別のものに集中できるようにすることで、気を紛らわせます。大好きなおやつなどを与えるのも効果的です。

事前に食事とトイレを済ます

花火は日が沈むと始まるので、それまでに食事やトイレを済ませておくことも大切です。トイレに行きたくても、花火の音が怖くて外に出られないと室内で排泄してしまうかもしれません。

ただでさえストレスの多い時間帯にトイレを我慢させることがないよう、花火が始まる前に夕食を済ませ、消化し、トイレをする時間を十分にとってあげましょう。

スキンシップ

愛犬のそばに座り、優しく撫でながら言葉をかけてあげることで、愛犬の気持ちが落ち着き、恐怖心が薄れるかもしれません。さらに、そうすることで、愛犬はあなたが自分のパートナーであり、怖いときにはいつでもあなたを頼ることができると理解するようになります。

まとめ

私たち以上に、犬は予測できない騒音に対して恐怖心をもちます。ストレスを抱えてしまったり、パニックに陥って予期せぬ行動にでることもあります。

紹介した方法でも改善がみられない場合は、獣医行動学の専門医に相談しましょう。犬を落ち着かせるためのサプリメントや不安神経症の薬を処方してくれるかもしれません。

[編集部]