犬との暮らしで知っておきたいこと Vol.66

【犬飼いTIPS】犬が吠える声は言葉? 意味はあるの?

[2021/12/17 6:01 am | 編集部]

あなたの愛犬はよく吠えますか? それとも、いつも大人しくて何かあったときにしか吠えませんか? ほとんどの犬は多少なりとも吠えます。

犬の吠え声は言葉ではありません。愛犬が今日の天気や昨日のディナー、気になる異性のことなどを話すことはありませんが、犬の吠え声は重要な情報を伝えます。今回は犬の吠え声についてのお話です。

犬の吠え声は言葉ではない

犬の吠え声は、私たちが誤って自分の指をハンマーで叩いたときの “オゥ!” や素晴らしいプレゼントを開けたときの “ワオ!” に近いものがあります。これらの声は、その人がどう感じているかを伝えるものであり、なぜそう感じているかを伝えるものではありません。

このような声を聞いたほかの人たちは、単に何が起こったのかを見にきます。どうしてハンマーで指を叩いてしまったの? とか、あなたが受け取ったこの素晴らしい贈り物は何ですか? を聞きにくるわけではありません。それは犬も同様なのです。

オオカミは吠えない

例えばチワワのように小さな犬でも、すべての犬はオオカミの子孫です。しかし、オオカミはほとんど吠えません。遠吠えするのです。遠吠えは美しい音であり、音楽に近いものがあります。また、集団で歌うことで人がひとつになるように、集団で吠えることでオオカミの群れがひとつになるのです。犬も遠吠えをすることがありますが、犬の遠吠えのほうが珍しいのです。

犬の吠え声も集団をひとつにしますが、それは美しい音ではありません。怪我をしたときや興奮しているときに出す声のように、もっと切迫した音です。ミーアキャットやリス、カケスなど、多くの小動物がこのようなうるさい声を出します。これは、何かに怯えているときに出す音です。犬の場合は、一頭では対処できない危険から身を守るために、集団で吠えることがあります。

オオカミは大きくて強いので、あまり脅威を感じないため、このような声を出す必要はありません。一方で、犬はオオカミに比べてはるかに小さくて弱いので、しばしば集団を呼び寄せる必要があります。自分だけでは対処する自信がないことを助けてもらうために、集団を呼んでいるのです。

だからといって、吠える犬がつねに怯えているわけではありません。見知らぬ人が来たり、ほかの犬が家に近づいたりしていることを、家族や仲間に知らせるのかもしれません。

なぜ犬は吠えるのですか?

オオカミが吠える理由がわかったところで、飼い犬が吠える理由を詳しくみていきましょう。実際に、飼い犬はさまざまな理由で吠えます。犬は吠えることで、何かが欲しい、または食べ物や水などの特定のニーズが満たされていないことを知らせるのです。彼らは吠えるという手段によってあなたの注意を引き、あなたが自分の要求を満たすように促すのです。

また、犬は感情の状態を知らせるために吠えます。不安を感じている犬が不快感を伝えるために吠えたり、興奮のレベルを示すために吠えることがあります。また、いまいる環境の何かしらに納得できないと文句をいう代わりに吠えるかもしれません。

さらに、吠えることが、別の外的要因(例えば犬の吠え声や車のクラクションなど)によって引き起こされる可能性もあります。また、遺伝学的に「よく吠える=騒がしい犬種がいる」ことが知られています。もちろん、犬が頻繁に吠える理由は遺伝だけではありません。吠えないように訓練されているかどうかなどの環境的・社会的要因も大きな役割を果たします。

犬はどのように吠え声を使ってコミュニケーションを取りますか?

犬が具体的にどのように吠えるのかを探ってみましょう。犬がどのように吠えてコミュニケーションをとっているかについての研究は意外と少ないのです。ただし、犬の吠え声を具体的に調べた研究によると、吠え声を機能別に「社会的な遊び」「遊びの要求」「探索」「世話」「社会的な接触(挨拶)」「孤独」「敵対的行動」などに分類しました。

また、声のトーンを色を測定し、その機能に応じたカテゴリーに分類しました。これにより、カテゴリー間で声色を比較したり、個々の犬の声域を比較したりすることができました。

その結果、ほかの音に比べて吠え声がもっとも多く使われているだけでなく、吠え声の範囲も大きく異なることがわかりました。また、犬種や個体によっても大きな違いがありました。それぞれの犬種の使役目的が異なることが大きな原因だと説明されています。ある犬は、人間と一緒に狩りをすることを目的としているため、狩りの際にはより効率的な声を使ったコミュニケーションが必要となります。一方、愛玩犬はそうではありません。

このように、吠え声の機能やトーンは、犬によって大きく異なります。そして、犬と人間とのコミュニケーションも犬によって異なるのです。犬はそれぞれの人間とのコミュニケーションをより効率的にするために、吠え声のチューニングを学んでいるのかもしれません。

まとめ

あなたの愛犬の吠え声は言葉ではないかもしれませんが、よく聞けば吠え声や吠え方が少しずつ違っていることに気づくはずです。荷物の配達人に向けた吠え声と、友人が訪ねて来たときの吠え声の違いがわかるかもしれません。また、通りすがりの犬に向けた吠え声と、クルマに向けた吠え声は違うかもしれません。

彼らはあなたの言葉をすべて理解していませんが、人間の言葉を理解しようと一生懸命耳を傾けています。あなたがそのお返しに、彼らの声に一生懸命耳を傾けると、あなたも彼らをより理解できるようになり、生活がより豊かなものになるでしょう。

[編集部]