猫との暮らしで知っておきたいこと Vol.190

猫が水を嫌う本当の理由と水にまつわる誤解。水好きな猫もいる!?

[2024/09/13 6:01 am | 編集部]

「猫は水が嫌い」というのは広く知られた常識ですが、実際にはどうして猫が水を嫌がるのかを詳しく知っている人は少ないかもしれません。

今回は、猫が水を嫌う理由やその背景についてのお話です。水が好きな猫もいるのでしょうか。また、水に慣れさせる方法についてもご紹介します。

猫が水を嫌がる生物学的な理由

猫が水を嫌う理由には、いくつかの生物学的な要因が影響しています。まず、猫は乾燥した気候に適応して進化してきた動物であり、祖先であるリビアヤマネコは砂漠地帯に生息していたため、水場との接触が少なかったといわれています。

この進化の過程で、猫は水に対する必要性をほかの動物に比べてあまり感じないようになったのです。また、猫の被毛は水を弾く効果が低く、水に濡れると重くなり、冷えやすくなるため、体温調節に影響を及ぼす可能性があります。これらの要因が組み合わさり、猫は水に対して本能的に嫌悪感を持つようになったと考えられます。

猫が水を嫌がる行動学的な理由

猫の水嫌いには、行動学的な理由も存在します。猫は非常に自立心が強く、自分の体を清潔に保つために頻繁に毛繕いを行います。これにより、外部から水で洗浄される必要がほとんどないため、水を避ける習性が発達しました。

また、猫は敏感な動物であり、水に濡れると被毛が変化し、その感触が不快であることも水嫌いの一因です。さらに、猫は水中での不自由な動きや音を嫌う傾向があります。水が滴る音や水面の動きが予測できず、猫にとってストレスとなることが多いため、水を避けるようになります。

水が好きな猫種もいる

意外かもしれませんが、水が好きな猫も存在します。例えば、メインクーンやターキッシュバンなど特定の猫種は、水を好む傾向があります。これらの猫は歴史的に水辺で生活してきた背景があり、水に親しみを持っています。

メインクーンは水遊びが好きな猫種として知られています。この猫はウォーターボウルに前足を入れてかき回したり、前足で水をすくって飲むことがあります。名前の由来は、アメリカのメイン州の「メイン」と、アライグマを意味する「クーン」を組み合わせたものです。

ターキッシュバンは「スイミングキャット」とも呼ばれるように、水に自ら飛び込んで遊ぶこともあります。トルコ最大湖であるヴァン湖畔で水遊びをする猫を、イギリスの愛好家が持ち帰ったことから広まりました。被毛は油分が多く防水性が高いため、皮膚に直接水が触れるのを防ぐという特性もあります。

これらの猫種は、ほかの猫とは異なる遺伝的な背景や性格によって、水への抵抗感が少ないのかもしれません。

猫を水に慣れさせるためのステップ

猫を水に慣れさせたい場合、急に水に入れるのではなく、少しずつ慣れさせるステップが重要です。

まずは、猫がリラックスしているときに濡れた手で軽くなでたり、湿ったタオルを使って被毛に触れるなど、少量の水に慣れるところから始めます。

次に、猫が好むおもちゃを使った水遊びを取り入れるのもよい方法です。大きめの器に水を溜め、おもちゃを浮かべて、猫が興味を持てるように促すのもひとつのステップです。

これは、シャンプーのときも同様です。まずは、洗面器やタライなどにお湯をため、前足を軽くつけたり、体にかけたりして慣らします。音にも敏感なので、シャワーも弱い水量にするとよいでしょう。

重要なのは、無理強いせず、猫自身が水に対して興味を持つようにすることです。徐々に水に慣れることで、猫も水に対して抵抗を持たなくなることが期待できます。

猫と水の付き合い方

室内で水遊びをさせることは稀ですが、水を積極的に飲んでもらい場合もあります。そういったときは、ウォーターファウンテンなどの自動給水器を使用します。

自然な水の流れを楽しむことができ、猫が飲み水に対しても興味を持つことが期待できます。これにより、水に対する恐怖心が軽減し、自然に水に触れることができるようになります。

まとめ

猫が水を嫌う理由は、生物学的な背景や行動学的な要因に基づいていますが、水が好きな猫も存在します。この記事で紹介したステップや遊び方を取り入れることで、愛猫が水に対してリラックスできる環境をつくり出すことができます。

無理に水に慣れさせるのではなく、猫が自発的に水に興味を持つように工夫しながら、彼らの自然な行動を尊重しつつケアしていきましょう。これにより、猫とのよりよい生活が期待できます。

[編集部]