【編集興記】 歯や口は健康長寿の入り口「歯と口の健康週間」に考えたい愛犬・愛猫の口腔ケア

[2023/06/06 6:00 am | 編集部]

毎年6月4日から6月10日までの1週間は「歯と口の健康週間」です。今年の標語は「のばそうよ 健康寿命 歯みがきで」です。

もともとは、日本歯科医師会が「む(6)し(4)」と読む語呂合わせで、1928年(昭和3年)から6月4日を「虫歯予防デー」に制定していました。その後、1958年からは厚生労働省、文部科学省、日本歯科医師会、日本学校歯科医会が実施しています。

目的は、歯と口の健康に関する正しい知識を国民に対して普及啓発するとともに、歯科疾患の予防に関する適切な習慣の定着を図り、併せてその早期発見、早期治療を徹底することにより歯の寿命を延ばし、国民の健康の保持増進に寄与することとされています。

この期間、自治体や学校、歯科医院など全国各地でいろいろな啓発イベント等を実施しています。なかにはカバの歯磨きを公開(東武動物公園)したり、セイウチの歯をチェック(城崎マリンワールド)するといったイベントも行われました。

歯や口は健康の入り口とも言えます。健康な口腔環境の維持は、体全体の健康をも左右します。そのためにも、口腔ケアを行い歯の寿命を伸ばすことは大切です。

それは犬や猫も同様です。昨今はペットの寿命も伸びていて、健康長寿のためには口腔ケアは必須とされるようになりました。

犬や猫は虫歯にはなりにくいとされています。その理由は、尖った歯と歯間が広いという形状、発酵性炭水化物をほとんど含まない食事、唾液の㏗値が高くアミラーゼをほとんど含まれていないからとされています。

ただし、㏗値が高く、唾液のカルシウムやカリウム、ナトリウム濃度が高いことから、歯垢が石灰化して歯石になりやすくなります。その結果、特に犬や猫は歯周病になりやすいのです。

歯周病は歯を失う1番の原因で、人間でもペットでも大きな問題となっている口腔内の細菌感染です。歯周病菌の主犯格は、人間ではジンジバリス菌ですが、犬や猫ではグエラ菌になります。

口腔ケアには、歯磨きのほか、おやつなどいろいろな製品が発売されています。そのなかで、注目されているのが「エスリトール」です。人間の場合はキシリトールが有名ですが、犬や猫は中毒を起こすことが報告されれているため使えません。エスリトールは、キシリトールと同じように、虫歯菌や歯周病菌を攻撃してくれます。

さて、虫歯や歯周病も口腔細菌叢のバランスの乱れ(ディスバイオシス)によって引き起こされる可能性が指摘されていますが、じつはそれだけではありません。歯周病により炎症が発生し、細菌や毒素が歯周病組織から血管に侵入して脳へ移動すると、アルツハイマーになるという研究も報告されています。

また、口腔細菌を多量に継続的に飲み込んでいると腸内細菌叢が乱れ、それによりさまざまな病気になりやすくなるということもわかっています。せっかく「腸活」をしても、口腔細菌が台無しにしてしまうのです。

どうやら「口腔細菌叢の乱れ」→「腸内細菌叢の乱れ」→「病気」という負の連鎖がありそうです。歯周病治療が口腔内だけではなく、腸内細菌叢の改善を介して健康長寿に貢献します。定期的な口腔ケアをしてあげましょう。

[編集部]