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犬の歯が悪くなる5つのステージと理解すべきバイオフィルム学

[2021/11/02 6:01 am | 獣医師 川野浩志]

いきなり結論から話してしまうと、「犬の歯周病予防にはエリスリトールが最強!」ということです。その理由として、歯が悪くなる5つのステージを理解し、それに対してどうすべきかを考えてみましょう。

歯が悪くなる5つのステージは以下のとおり。

【ステージⅠ(ペリクル形成)】
はじめに歯の表面にペタって張り付くものは、虫歯菌や歯周病菌でなく唾液に含まれてるもの(タンパク質)なんです。これが歯(ハイドロキシアパタイト)に付着してペリクルができる。歯にはつねにペリクルが張り付いていて、歯を刺激から守ってくれます。

【ステージⅡ(初期定着菌群の付着)】
ペリクルはネバネバしているので、口腔内を浮遊している細菌がくっつくことで歯垢(プラーク)ができます。しかし、どの細菌でもペリクルにくっつくわけではなく、まず口腔内の善玉菌(ミーティス菌やオラーリス菌)でがペリクル上にくっつく。つまり、口腔内の常在菌(悪さをしない無害な細菌)がペリクルにペタっとくっついて、細菌が集まるコロニーをつくるわけですね。

【ステージⅢ(後期定着菌群の出現)】
人口(細菌)が増えて村(プラーク)完成するとともに、虫歯菌(ミュータンス菌)や歯周病菌(ジンジバリス菌)などの悪い菌も続々と集まって増えていくのです。

【ステージⅣ(プラークからバイオフィルムへ)】
村(プラーク)は敵が入ってこないようにネバネバ物質(グリコカリックス)を使って、抗生剤や殺菌消毒薬など外からの攻撃から身を守る無敵の秘密基地(バイオフィルム)を完成させます。このステージになると、歯ブラシでは歯が立たず、秘密基地内では虫歯菌が暴走して歯を溶かしていきます。秘密基地の外では、歯周病菌が歯茎を食べて炎症を起こし、血液(鉄)を食べてさらに歯茎の奥を攻めていき陣地を拡大していくのです。

【ステージⅤ(バイオフィルムから歯石の形成へ)】
いろいろな細菌がバイオフィルムのなかで親密に生活し,お互いに助け合って食料をシェアしながら免疫、抗生剤や殺菌消毒剤などからの攻撃に徹底抗戦。バイオフィルムは時間をかけて、やがて歯石なっていきます。


歯垢(プラーク)を食べカスと勘違いしている人が多いですが、歯垢(プラーク)は、歯の表面にペタッとくっついてる細菌のかたまりです。歯ブラシでとりやすいものをデンタルプラーク、とりづらいものをバイオフィルムとざっくり理解していればOK。

ステージⅢより先に進めないようにするためには、バイオフォルムを破壊して、悪い菌が増えないようにすればよい。そこで強烈な武器になるのが、糖アルコールである「エリスリトール」。砂糖の代用甘味料として特定保健用食品などに広く使われています。カロリーゼロで、血糖値を上昇させず、食後のインスリン放出も抑えられるため糖尿病患者でも使うことができます。

エリスリトールは、虫歯予防だけでじゃなくて,歯周病の予防効果もあるのです。これまでの研究によると、歯周病菌(ジンジバリス菌)を撃破してバイオフィルムを破壊できたり、口臭物質(揮発性硫化物)を抑えることがわかっています。また、キシリトールに比べて、口腔内ケアの効果が高いことも知られています。

[獣医師 川野浩志]