犬との暮らしで知っておきたいこと Vol.78

【犬飼いTIPS】子犬は要注意! 「ケンネルコフ」とは?

[2022/04/15 6:01 am | 編集部]

子犬に多い風邪として知られている「ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)」は、伝染性気管気管支炎のことです。感染力の非常に高い呼吸器疾患で、特定の場所でほかの犬と密接に接触することで感染するとされています。

毎年4月ごろから感染が増え始め、8~10月にかけて感染のピークを迎えています。今回は、ケンネルコフについてのお話です。

感染するとどんな症状が見られるの?

ケンネルコフは感染により気管や気管支に炎症が起こります。3~10日程度の潜伏期間後に発症します。もっとも一般的な症状は、激しい乾いた咳です。そのほか、鼻水やくしゃみ、目やに、発熱など、人の風邪に似た症状を引き起こします。また、吐き気が続く場合もあります。

激しい咳は5日間程度で治まってきますが、そのほかの症状は10~20日間程度続きます。特に、喉の周りを軽く圧迫しただけで、咳が容易に出るのが特徴的です。また、運動や興奮、首輪の圧迫などによっても咳が出やすくなります。

子犬の場合は、ほかの病原体との混合感染によって重症化することがあります。重度の呼吸器症状(痰をともなう咳、粘り気の強い鼻水など)や発熱、元気消失などの全身症状が見られるようになり、肺炎などにより死亡することもあります。

二次的な細菌性肺炎の危険性も高く、すでに慢性気道疾患や気管虚脱が認められている犬の場合には、それらの慢性疾患が急激に悪化する場合もあります。治癒には長期間の治療が必要となります。

ケンネルコフの主な原因は?

ケンネルコフの主な原因は、アデノウイルス2型、パラインフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、ボルデテラ、マイコプラズマなどのウイルスや細菌です。免疫力や体力が十分でない子犬やほかの犬と接触する機会が多い犬などは、感染リスクが高くなります。

ケンネルコフの感染ルートは?

多くの場合はペットショップ等から購入したばかり、ブリーダー・動物愛護団体から迎えたばかりの犬が感染しています。感染した犬と接触したり、フードや水の入れ物など、汚染されたものを共有した場合、感染する可能性が高くなります。

また、咳や鼻水、くしゃみなどの飛沫感染もあり、容易に感染します。そのため、多頭飼育の環境では、ケンネルコフの感染率が非常に高くなります。それ以外にも2週間以内に犬が多く集まる場所に外出した、ペットホテルに滞在した、ドッグショーに参加したなど、そのような経歴がある犬が感染しています。

ケンネルコフの治療法は?

細菌が原因の場合には抗生剤での治療を行います。ウイルスが原因となる場合には、対症療法を行うことになります。対症療法は症状により多少変わりますが、抗生剤、ネブライザー、抗炎症薬、気管支拡張剤、咳止め薬などを用います。そのうえで、1週間程度の室内での安静が必要です。

そのほか、部屋を頻繁に換気したり、ホコリが飛ばないように部屋の清掃を適度に行ったりします。気道を潤すために加湿器を使用するとよいでしょう。

ケンネルコフは回復しても1~2週間はウイルスを排出しています。ほかの犬への感染を防ぐためにむやみに接触をすることは避ける必要があります。

ケンネルコフの予防法は?

ケンネルコフを予防するためには、混合ワクチンの接種が必須です。ケンネルコフの原因となるウイルスのアデノウイルス2型とパラインフルエンザに関しては、混合ワクチン(5種以上)を接種することで予防ができます。細菌に関してはワクチンでの予防はできませんが、混合ワクチンを接種しておくことで、重症化するウイルスと細菌との混合感染を回避できる可能性が高くなります。

しかし、ケンネルコフには多数の病原体が関与している可能性があり、ワクチン接種で予防効果が期待できるのは一部の病原体に対してのみです。そのため、ワクチン接種を受けていてもケンネルコフを発症する可能性はゼロではないので十分な注意が必要です。

まとめ

愛犬にケンネルコフの症状が表れていたら、重症化しないように早めに動物病院を受診しましょう。ケンネルコフに感染する可能性をできる限り減らすためには、ワクチン接種(5種以上)は必須です。

激しい乾いた咳の症状は、犬にとっても大変辛いものです。愛犬にそのような辛い思いをさせないように、必要な期限内にワクチン接種を受けるように心がけましょう。

[編集部]