猫との暮らしで知っておきたいこと Vol.151

【猫飼いTIPS】猫の鼻腔内腫瘍ってどんな病気なの?

[2023/11/02 6:01 am | 編集部]

猫の鼻の病気「鼻腔内腫瘍」は、病気全体として発生率は低いとされています。しかし、猫の鼻腔内に発生する腫瘍は、ほとんどが悪性腫瘍といわれていて、とても怖い病気なのです。

悪性度が高いため、早期発見・早期治療が必須です。今回は、猫の鼻の病気「鼻腔内腫瘍」についてのお話です。

猫の鼻腔内腫瘍とは

鼻腔内腫瘍とは、鼻のなかにできる腫瘍全般のことです。空気の通り道である鼻腔や鼻の周囲にある骨の空洞の副鼻腔にできる腫瘍です。猫の腫瘍のうち約1~8%と発生率は低いのですが、そのうちの約30~50%はリンパ腫が占めています。そのほか、鼻腔腺がんや扁平上皮がんの発生も多くあります。

いずれも悪性度の高い腫瘍です。若い猫よりもシニア期以降の猫の発症が多いとされていますが、その発症の原因ははっきりとわかっていません。しかし、都市部の排気ガスやタバコの副流煙などが発症のリスクを高めるのではないかともいわれています。

猫の鼻腔内腫瘍の症状

猫に起こりうる症状は、くしゃみや膿性鼻水、鼻血に食欲不振、元気喪失、痩せるなどです。とはいえ、これらの症状は鼻炎や気管支炎などでも起こりうる可能性がある症状なので、見極めはとても困難です。

鼻水やくしゃみが慢性的に起こったり、抗生剤やステロイドの使用をしてもなかなか治らない場合には、できるだけ早めに詳しい検査をすることが大切です。

鼻が盛り上がる、目が飛び出るなどの顔面の変形が見られる場合には、鼻腔内腫瘍の症状がかなり進行している状態であることが考えられます。骨が溶けて痛みを伴っていることが多く、そこまで進行すると検査や治療の選択肢が限られてしまいます。できるだけ早期発見が望まれます。

鼻腔内腫瘍の検査

多くの場合、まずは鼻のレントゲン検査が行われます。横からと上からの撮影を行い、骨の内部の状態を確認します。異常が発見された場合には、CTやMRIなど麻酔下の検査を行うと同時に、より詳しい検査である細胞の検査を行います。

鼻の奥にストロー状の器具を入れて生検したり、腫瘍の一部を切除したり、内視鏡下で生検したりする必要があります。どれを適用するかは、腫瘍がどこに存在するかによって変わってきます。

鼻腔内腫瘍の治療

鼻腔内腫瘍の場合には、点滴や飲み薬などの抗がん剤治療のほか放射線治療も適応となります。放射線治療は体の健康な細胞には副作用が少なく、がん細胞には強力なダメージを直接与えることができます。そのため、鼻腔内腫瘍のような局所的ながんには大きな効果が期待できるとされています。

抗がん剤治療は毎日投薬するタイプと点滴で体内に入れるタイプがあります。どちらも何クールかを連続して行う必要があります。うまく効けば腫瘍が小さくなり、全身状態が改善します。しかし、白血球の減少や嘔吐など猫にとって苦しい副作用が見られることもあります。

猫の鼻腔内腫瘍にどちらの治療が有効なのかは、腫瘍の場所や大きさや細胞の検査結果、猫の状態などで変わります。どちらの治療も費用面での負担はかなり大きいので、治療については獣医師と相談して決める必要があるでしょう。

鼻腔内腫瘍の予防

猫の鼻腔内腫瘍には、今のところ予防法はありません。そのため、何よりも「早期発見・治療」が大切になってきます。猫の状態におかしなところを発見したら、できるだけ早めに獣医師に診察してもらいましょう。

日々、愛猫の健康状態を観察し、定期的に健康診断をすることが何よりの予防法です。その他の病気からも愛猫を守るためには、飼い主のそのようなサポートが必要なのです。

まとめ

猫の鼻腔内に発生する腫瘍はほとんどが悪性腫瘍といわれています。そのため、早期発見・早期治療が必須です。愛猫の健康状態を日々観察し、少しでもおかしい場合には早急に獣医師の診察を受けましょう。

[編集部]