猫との暮らしで知っておきたいこと Vol.38

【猫飼いTIPS】猫のおしっこが特別にくさい理由とその対処法

[2021/04/09 6:01 am | 編集部]

猫はキレイ好きといわれていて、つねに自分の体を舐めてグルーミングしているので、シャンプーをしなくてもくさくなることはありません。しかし、猫のおしっこは激臭と思えるほどで、粗相をしてしまった際にはそのニオイがなかなか取れずに悩むことになります。特にオス猫のマーキングの尿スプレーのニオイは強く、鼻を刺す刺激臭です。猫のニオイが気になり、家に人を入れるのを躊躇する飼い主がいるくらいなのです。では、なぜ猫のおしっこはそんなにもくさいのでしょうか。

猫のおしっこが臭い理由は?

猫の祖先は乾燥した砂漠で暮らしてきたため、飲める水がほかの動物に比べると極端に少なく、限られた水分で老廃物を排出する必要がありました。そのため、凝縮されたおしっこをするようになりました。しかし、排出してすぐはそれほどくさくありません。激臭の原因は時間の経過によりおしっこが分解され、ニオイの成分が発生することになるのです。
 一般的に知られているのが「アンモニア」です。刺激臭の代表的な成分です。猫の場合はこの成分に加えて、硫黄を含むアミノ酸の「フェリニン」とタンパク質の「コーキシン」が含まれています。これらは空気に触れると悪臭を放つ物質に変化をします。時間が経つほどおしっこのニオイが強くなるのは、そういう化学変化があったのです。

2006年には、岩手大学農学部農業生命科学科と理化学研究所の共同研究グループが、猫が出す尿のニオイのもとになる化合物生産のメカニズムを解明しました。
 家猫と近縁の動物のおしっこにだけ含まれるフェリニンは生後6カ月以降から増加し、特に未去勢の雄で高い数値を示します。また、ヒト、マウス、イヌ、ウシなどのおしっこからはまったく検出されないコーキシンは、家猫では生後3カ月以降から分泌が始まり、成長とともに増加します。雄は雌の4倍近い量を分泌しますが、去勢後の雄はコーキシンの量が減少することがわかっています。

つまり、この2つの分泌が合わさる生後6カ月ごろから、おしっこのニオイが強くなるというわけです。排泄のおしっこよりもマーキングの尿スプレーのほうがフェリニンやコーキシンの含有量が多く、より強烈なニオイとなります。
 尿スプレーは雄の強さを象徴します。雌にとってはとても魅力的なニオイなのですが、これを部屋のあちこちでされてしまうと消臭するのは至難の業です。

猫のおしっこ臭を軽減するにはどうしたらよいの?

①1カ月に1度はトイレを丸洗いし猫砂も交換する
猫のおしっこ臭を軽減するには、こまめにトイレ掃除をすることです。排泄物が長時間放置されればニオイの原因となり、キレイ好きな猫は汚れていれば別の場所でするようになります。しかし、頻繁に掃除をしていても時間とともに雑菌が増殖していきます。少なくても1カ月に1度はトイレを丸洗いし、新しい猫砂に交換しましょう。

②トイレは柔らかい素材で洗う
猫のトイレはプラスチック素材が多いです。その場合はブラシで洗わず、柔らかい素材のスポンジ等を使うことをオススメします。ブラシで洗うと細かい傷が付き、使用中にその傷の隙間に雑菌が繁殖することがあります。また、洗剤は猫が嫌う柑橘系は避けて、仕上げは漂白剤などで浸け置きし、水で洗い流した後に天日干しするとさらに清潔です。

③トイレの下には足ふきマットを置く
排泄物の飛び散りや猫の足に付いたおしっこを床に付かないようにすることができます。足ふきマットは吸水性に優れているので、その場で吸収できれば部屋を汚さないで済みます。

④トイレの底に消臭シーツを敷く
トイレの種類にもよりますが、消臭効果の高いシーツを敷くとニオイを抑えることができます。システムトイレならトレイ(下の段)に敷きます。それ以外の場合は砂を入れる前に、底に敷きます。いずれも定期的な交換が必要です。

⑤消臭剤を効果的に使用する
さまざまな消臭剤が販売されていますが、基本的に安価な消臭剤の効果はそれなりです。インターネットなどでその商品に対する評価やコメントを参考に、最適なものを選びましょう。また、使用方法もさまざまです。しっかりと商品説明を読み、効果的に使用することが消臭のポイントです。

このほかにも、ニオイを抑える飲み物やサプリメントなどを与える、去勢手術をするなど根本的に改善する方法もあります。いずれにしても清潔にすることが何よりもニオイを抑える方法ですので、こまめに掃除をすることを心がけましょう。

猫が粗相をする原因は?

猫のトイレをキレイにしていても、突然に猫が別の場所で排泄をしてしまうことがあります。しかし、猫がトイレを使わない原因が必ずあります。健康を害している可能性もあるので、楽観的に考えてはいけません。考えられることにひとつずつ対応し、消去法できちんと解決するようにしましょう。

病気の可能性は?
猫はその体の構造から泌尿器系の病気には注意が必要です。頻繁にトイレに行っているけど出ていない、トイレ以外の場所で粗相をしてしまうなど普段とは違う行動が見られたら、動物病院へ行き診察を受けましょう。

トイレの場所が気に入らない?
猫はトイレの場所が気に入らない、猫砂が気に入らないなどでもトイレを使わず別の場所で粗相をしてしまうことがあります。トイレの場所や形状、猫砂など個体ごとに好みがあるようです。猫砂の吸収力が気に入らず、布団やクッションにしてしまうこともあります。落ち着ける場所にトイレを移動したり、猫砂を変えてみたりしながら、対応してあげましょう。

マーキング(尿スプレー)?
未去勢の雄によくみられる行動です。多頭飼育の場合は他の雄との縄張り争いでマーキングをあちこちにしてしまうことがあります。去勢手術をすると改善されることもありますが、遺伝的要素や性格的なものもあり、絶対になくなるとはいえません。飼い主のニオイがする場所にマーキングをする猫がいますが、これは飼い主を独占したいという欲求を示しています。雄だけでなく雌でもマーキングをすることがあります。

ストレス解消のためにする?
猫は環境の変化が苦手です。家族構成の変化や模様替えや引っ越しなどの飼育環境の変化などで大きなストレスを感じることがあります。その場合、マーキングをして自分のニオイを付けることで安心を得ようとすることも。 飼い主とのコミュニケーションが不足してもわざとトイレ以外にすることもあります。普段からストレスを見極めて対応してあげましょう。

高齢のため?
人間もそうですが猫も高齢になるとさまざまな機能が衰えます。泌尿器系の衰えでスムーズにおしっこが出なかったり、足腰の衰えでトイレまで行きつけなかったり、痴呆症のためトイレの場所を忘れてしまったりします。トイレの数を増やす、段差の少ないトイレにする、飼い主が定期的にトイレに連れていく、見ていられないときにはペット用のおむつを使用するなど、その猫の状態に合わせた対応をしてあげましょう。


どうしてもおしっこ臭が消えないときは?

猫はおしっこのニオイが残っていると何度も同じ場所におしっこをしてしまうことがあります。おしっこをした場所の材質によっては熱湯をかけたり、スチームクリーナーをかけるとニオイが消えたり、軽減されます。
 しかし、材質が木材の場合は染み込んでしまうので、ニオイをとるのは至難の業です。そのような場合には専門業者にお願いするしかありません。粗相を見つけたときには、染み込む前にできるだけ早くふき取り、何度も同じところでしないように物を置くなどして防ぐとよいでしょう。

ペットを飼っているとあまりニオイを感じませんが、来客時などは気になるもの。年末の大掃除時など、年に1度は専門業者に消臭をしてもらうのもオススメです。

[編集部]