猫との暮らしで知っておきたいこと Vol.30

【猫飼いTIPS】なぜ猫は十二支に入っていないの?

[2020/12/28 6:01 am | 編集部]

十二支(じゅうにし)は、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の12種で、古くから暦や方角などを表すのに使われてきました。中国から伝わり、12年でひとくくりとし、動物の名前が当てられたのです。日本では年賀状のデザインや、生まれ年を表現するときによく使われています。しかし、私たちの身近でなじみの深い猫が十二支に入っていないのは何とも不思議です。今回はなぜ十二支に猫が入っていないのかというお話です。

そもそも十二支はなぜ動物に?

十二支に動物が当てられたのは、「覚えやすいように身近な動物の名を」という考えからきています。古くから動物たちは人間とともに生活していましたので、その名であれば簡単に覚えられるだろうということです。しかし、十二支の順番は、ある逸話に由来するといわれています。「昔、神様が1月1日(元旦)に動物たちにレースをさせました。その内容は神様のところに来た者のうち、先着12番までに褒美を与えるというもの。その結果によって、十二支の種類と順番が決定された」というものです。

逸話はいくつかあり、そのレースの模様は物語により多少違いがありますが、ネズミが1番なのは、一番乗りを狙っていた牛の隙をついて背中からネズミが素早く降りたからとか、イヌとサルは喧嘩しながら順位を争ったなどいわれています。「犬猿の仲」の由来はそこからきているのでしょう。十二支の順番の決定にもさまざまな逸話があるのです。

なぜ猫は十二支に入っていないの?

では、なぜ猫は私たちとなじみが深いのにも関わらず、十二支に入っていないのでしょうか? そこには遅刻説や煩悩説などいろいろな逸話が残されていますが、「猫はネズミに神様のところへ行くレース日を確認しますが、ネズミはわざと別の日にちを教えました。騙された猫はレースに参加できず、十二支に入れませんでした」という遅刻説が有力です。猫とネズミの不仲はそれが原因となり、いまもなお続いているといわれています。また、煩悩説では、「お釈迦様が亡くなる涅槃(ねはん)の際、薬を運んでいたネズミを見て本能的に襲ってしまいました。多くの動物が悲しみに暮れているのに、そんな不届きものは必要ないとお釈迦様の怒りに振れ、十二支から外されました」と語られています。そのほか、中国で十二支に動物が当てはめられたのは後漢(ごかん)の時代で、そのころの猫は人間の生活に馴染んでいなかったからともいわれています。愛猫家にとっては残念ではありますが、そのような理由から十二支に猫が入っていないのです。

十二支の動物の読み方と意味

じつは十二支のそれぞれの字には、幸せを願うさまざまな意味が込められています。せっかくですから、それぞれの動物について見ていきましょう。

子(ね)
十二支の一番目の動物でネズミを指します。ネズミは繁殖力がとても高く、雄と雌がいればあっという間に繁殖して増えていきます。そのため「子宝の象徴」になることも多く、ネズミ=子孫繁栄の意味が込められています。

丑(うし)
ウシは古くから人間の生活のパートナーでした。重い荷物を運んだり、畑や田んぼを耕したりと生活には欠かせない存在でした。そのため「力強さの象徴」であり、粘り強さ、誠実さを意味しています。

寅(トラ)
トラは勇猛果敢(ゆうもうかかん)な動物です。そのため「勇ましさの象徴」であり、決断力や才覚という意味が込められています。

卯(ウサギ)
ウサギはおとなしく穏やかなイメージがあります。そのため「安全の象徴」としての意味を持っています。また、その跳躍力から飛躍、向上という意味も持ち合わせています。

辰(タツ)
龍・ドラゴンのことを指します。この十二支のなかで唯一架空の生き物ですが、中国では古くから「権力の象徴」とされてきました。日本もその影響を受け、権力としての意味をもちます。

巳(ミ)
ヘビのことを指します。ヘビは脱皮を繰り返しながら成長をしていきます。そのため世界中で「永遠・生命・再生の象徴」とされています。

午(ウマ)
ウマもウシと同様に人間の生活に欠かせないパートナーでした。そのため、「健康・豊作の象徴」とされています。

未(ヒツジ)
ヒツジは動物のなかでも特に群れで生活することを好みます。そのため「家族安泰の象徴」とされています。

申(サル)
サルは知能が高く、神の使いであると信じられてきました。そのため「賢者の象徴」とされています。

酉(トリ)
特にニワトリのことを指します。「取り込む」を意味します。「酉の市」という商売繁盛のお祭りが全国各地であるように「商売繁盛の象徴」とされています。

戌(イヌ)
イヌもウシやウマと同様に、古くから人間のパートナーでした。そのなかでも犬は特に飼い主に忠実に従うことから、「忠義(ちゅうぎ)の象徴」とされています。

亥(イノシシ)
古くからイノシシの肉は万病に効くといわれていて、「無病息災(むびょうそくさい)の象徴」とされています。また、猪突猛進(ちょとつもうしん)という言葉があるように、一途、情熱的との意味ももち合わせています。なお、中国ではイノシシではなくブタを指します。

まとめ

間もなく新しい年を迎えます。2021年は丑(ウシ)年です。「力強さの象徴」であり、粘り強さを兼ね備えています。その力強さと粘り強さで、新型コロナウイルスに負けることなく、素晴らしい1年にするべく頑張っていきましょう。また、十二支には猫は入っていませんが、飼い主のみなさんのそばにはいつも愛猫がいます。「癒しの象徴」である猫とともに、幸せな時間を過ごしていきましょう。

[編集部]