猫と少女と軽井沢。「かわいい」フジタ大集合!『藤田嗣治 安東コレクションの輝き』

[2022/10/14 6:00 am | 編集部]

世界文化社は、書籍『藤田嗣治 安東コレクションの輝き』を発売しました。藤田嗣治(レオナール・フジタ)の作品だけを展示する個人美術館として、日本のみならず世界で初めて、この10月に開館する軽井沢安東美術館。そのコレクションの魅力を伝える一冊です。

軽井沢のギャラリーで偶然出会った一枚の版画。そこに描かれた猫に対してコレクターの安東泰志氏は、えもいわれぬシンパシーを感じたそうです。この出会いが日本を、そしてエコール・ド・パリを代表する画家・藤田嗣治(1886-1968)の180点におよぶ一大コレクションへとつながっていきました。

出発点は「かわいい」──。当初、猫、少女、そして猫を抱いた少女といった「かわいい」絵に情熱を注いでいた蒐集はさらに加速していきました。その理由を「作品だけでなく、藤田の人生にも興味を持ったことが大きかった」と安東氏は語ります。金融マンとして多くの荒波、修羅場を潜り抜けてきた自らの半生と、時代に翻弄された藤田の激動の人生とが、どこかシンクロしたのでしょう。

藤田は「私には子どもがない。私の画の子どもが私の息子なり娘なり一番愛したい子どもだ」と述べています。藤田はその生涯で多くの子どもの絵を描いていますが、本書で紹介するものは主に藤田が1950年にフランスへ戻ってからの作品たち。どの絵もみずみずしい生命力に溢れ、画家が子どもに向けた深い慈愛に満ちたものばかりです。

猫もまた藤田の代表的な画題です。茶トラに三毛猫、黒猫……藤田が描く猫はどれも愛らしい。かわいい猫に出会い続けたコレクター宅の2階は、猫だらけ、猫まみれとなりました。毛先の一本一本にまで藤田が愛情を込めて描いた猫たち。無類のかわいい、です。

本書は軽井沢安東美術館に収蔵されている作品を網羅したいわば「紙上美術館」。安東コレクションの中核をなす、かわいい「少女」や「猫」たち、また初期のものから晩年の宗教画まで必見の作品ばかりです。

『藤田嗣治 安東コレクションの輝き』
軽井沢安東美術館・編
判型:B5変判 208ページ
定価:3,190円(税込)
ISBN:978-4418222223
URL:https://www.sekaibunka.com/book/exec/cs/22222.html

[編集部]