ペットブリーダー「信頼できる人」「ダメな人」の差

[2022/01/06 6:01 am | 編集長 国久豊史]

ペットブリーダー「信頼できる人」「ダメな人」の差

2020年、ブリーダートラブルは過去最多を記録

東洋経済オンライン | 2021/12/31

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このコーナーでは、注目ニュースに対する編集部や識者のコメントを紹介します。

昨年11月に国民生活センターが公表したように、ブリーダーからの購入トラブルが増加しているようです。寄せられた相談件数は、コロナ禍の前と後では約1.5倍に増え過去最多を記録したとのこと。また、一般社団法人ペットフード協会によると、新たに飼い主になった人は前年度比で約15%増加しているというデータもあります。

昨今、欧米のようにブリーダーから迎えるケースが増えているように思います。編集部でお付き合いのあるブリーダーさんからも、問い合わせ件数が増えているという話も聞きます。また、SNSのコメントにも「ちゃんとしたブリーダーから購入するのが安心だ」という内容を目にするようになりました。確かにそれは正しい迎え方だと思います。

しかし、日本には“ちゃんとしたブリーダー” の明確な定義がありません。欧米には、公的機関や愛護団体が迎える際のアドバイスをしています。例えば、最古の動物保護団体「英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)」のサイトには、「Buying a puppy(子犬を賢く迎える方法)」というコーナーがあり、健康な子犬を購入する際のブリーダーの見分け方が説明されています。

これまで日本では、ペットショップおよびブリーダーの存在を否定する風潮が強く、ちゃんとした=“健全な”ブリーダーというものが議論されることがありませんでした。その結果、明確な定義がないまま現在に至っているのです。

私たちは、日本にも欧米レベルの健全なブリーダー存在していることを創刊当初から訴え続けています。ペトハピが考える健全なブリーダーの基準は以下のとおりです。ひとつでも欠けている者は健全なブリーダーではないと考えています。

・愛情をかけて少ない犬種・猫種を飼育している
・目が行き届く適正な頭数を維持している
・繁殖する犬種・猫種について高い知識がある
・飼育環境は整頓されて清潔(異臭がない)
・親犬・親猫の健康を考えた繁殖計画を徹底している
・血統を考えた繁殖をしている(ミックスは生み出さない)
・スタンダードを理解し、それに沿った繁殖を目指しているか
・遺伝的疾患に対する検査や定期的な健康診断をしている
・見学時に親犬・親猫を見せることができる
・社会性が身につくまで親犬・親猫・兄弟姉妹と暮らす
・自ら飼い主を厳選し、譲渡時には契約書等を交わす
・世界基準の血統書を発行している
・犬・猫の生涯にわたりアドバイス・サポートする


コロナ禍によって非対面志向が強まり、ネットを介するペットの売買(仲介)が増加傾向にあります。しかし、そこに掲載されているブリーダーはすべてが健全とはいえません。ブリーダーからペットを購入される際は、事前にしっかり確認することが大切です。

サイトで気になった子犬・子猫がいた場合は、問い合わせ時に前述の項目が当てはまるか質問してみましょう。誠意の感じられない回答だったり、ひとつでも欠けている場合は避けたほうがよいです。さらに、見学で「実際に見る・聞く」ことが大切です。そうすることで、そのブリーダーが健全であるかどうか、信頼できるかどうかを判断することができます。

動物愛護管理法は、改正のたびに動物取扱業者による適正飼養が厳格化されています。しかし、いくら規制を強化しても、悪質ブリーダーを淘汰することは難しいのが現状です。それでも法改正を待つより近道はあります。それは、私たちが学び知識を得て行動を変えることです。

私たちの認識や行動が変われば、社会のありようが変わります。社会のありようが変われば、実状に即して法律も変わります。私たちの行動にはそれだけのチカラがあるのです。

[編集長 国久豊史]