猫との暮らしで知っておきたいこと Vol.50

【猫飼いTIPS】猫のうんちを自宅のトイレに流してもいいですか?

[2021/08/30 6:01 am | 編集部]

コロナ禍で猫を室内飼育する人が増えているようです。猫のうんちは普通ゴミとして処理するのが一般的ですが、ニオイや衛生面を気にしてトイレに流す人も多いようです。実際に、トイレに流せると表示されている猫砂も増えており、それも要因なのかもしれません。

筆者も猫と暮らしていますが、彼らの排泄物は毎日掃除します。うんちはスコップなどですくって専用のうんち袋に入れ、口をキッチリと縛り自治体のゴミ袋に入れて通常ゴミとして、収集日に出しています。

猫のうんちはトイレに流しても問題ないのでしょうか? 排水管トラブルなどにはならないのでしょうか。また、衛生・健康上問題はないのでしょうか。専門家の見解や、自治体や水道局の規制や見解はどうなっているのか。今一度考えてみたいと思います。

猫のうんちはトイレに流しても問題ない?

環境の専門家は、この質問に対して「問題あり」と答えます。猫とトイレを共有すると、自分の健康を危険にさらす可能性があるようです。犬を散歩させるときのように、ゴミ袋に入れて捨てることをオススメしています。そうすれば、一般廃棄物(いわゆる家庭ゴミ)として、各自治体にて適切に処理されることになるからです。

主な理由は、ペットのうんちが人間の健康を害する恐れがあるからです。動物は、人間を含むほかの種との間で病気を広げることがあります。これを人獣共通感染症と呼びます。一般的に危険とされる人獣共通感染症には、「トキソプラズマ症」があります。とりわけ猫はこの病気を保有しており、猫のうんちと人間が接触することで、人間に感染する可能性があります。

トキソプラズマ症は、免疫力の低い人に深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。また、妊娠中の女性にとっても注意が必要で、胎児に感染し、後に悲劇的な結果を招くこともあります。

ですから、猫とトイレを共有することは避け、ペットの排泄物の取り扱いには常に細心の注意を払うことが必要なのです。

水道局の見解

この質問に対する見解は「避けるべき」のようです。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」によると、ペットの糞尿は一般廃棄物に該当するため、一般家庭から出るゴミと同様に各市町村の処理の基準に従い適切に処理する必要があります。

例えば、東京都水道局によると以下のような説明をしています。


下水道法や東京都下水道条例上の規制はないため、ペットの糞尿をトイレに流して公共下水道へ排除する行為に対する法的な規制はありませんが、大量に排除すると排管が詰まるおそれがあることから、当局においても一般廃棄物として処理し、トイレには流さないようお願いをしております。

トイレはゴミ箱ではない

飼い主として、トイレはゴミ箱のひとつではないということを思い出す必要があります。家庭用でも公衆トイレでも、一般的なトイレには、排泄物のほかにはトイレットペーパー以外の紙類は流さないようにという注釈がなされています。例えば、ウェットティッシュはトイレに流す目的で作られていないものが多く、トイレットペーパーのように水につけても崩れずそのまま流れていきます。製品の裏書きにも、“トイレには流さないでください”と明記してありますが、あまり目立たず、あえて確認することもないのではないでしょうか。

実際に、自宅や集合住宅の排水管、さらには道路にある下水管の詰まりによるポンプの停止にもつながる事故も多数発生しています。そうなると、水漏れにはじまり、下水が道路にあふれ出たり、周辺地域の下水道が利用できなくなるなど、住民の生活に多大な影響が生じます。

紙以外の猫砂はどうですか?

猫砂の素材には、紙類のほか、鉱物系や木材、おから、シリカゲルなど多種多様なものがあります。そのなかでも“トイレに流せる”と謳った製品もみられますが、水道局の見解からもトイレに流すのは避けるべきでしょう。

特に注意が必要なのが「ベントナイト」です。この粘土素材は、元の重さの15倍もの量を吸収するという優れた性質を持っています。しかし、これが大きな問題です。ベントナイトをトイレに流すと、排水管の中でも水分を吸収して膨らみ、パイプの詰まりを引き起こす可能性があります。

下水管の詰まりは恐ろしく、厄介です。シンクが詰まったり、トイレの水が流れなくなったりします。また、下水が漏れてしまうこともあります。下水は衛生的でなく、感染症を蔓延させる可能性もあり非常に危険です。

まとめ

猫のうんちは、自治体の指示に従ってゴミとして出しましょう。ただ、一般のゴミと違ってニオイだけでなく衛生面が問題となりますので、専用のゴミ袋を利用したり、2重にしたりするなど、ほかの住人への配慮は欠かせません。

ブリーダーや多頭飼育の家庭などでは、住民や自治会の管理するゴミ集積所に出さずに、個別にゴミ収集業者に依頼している方もいるようです。そういったサービスを利用するのもオススメです。

[編集部]