猫を飼っている人なら誰でも知っていることですが、猫は箱が大好きです。猫にとっては、どんなおもちゃも、ダンボールなどの箱にはかないません。
しかし、なぜ猫は箱やランドリーバスケット、バッグやスーツケースなどの閉されたものに惹かれるのでしょうか?
猫が箱など狭い場所を好むワケ
狭い場所を好むのは、猫の本能的な行動です。自然界では、肉食動物から身を隠したり、獲物を密かに狙ったりするのに適した場所なのです。そして、そういった場所は、彼らに安全と安心を与えてくれるのです。
猫は、箱のなかにいるとき、背後や横から忍び寄られることはないと理解しています。自分に近づくものがあれば、つねに視界に入るからです。つまり、このような場所は、自分自身を発見されることなく周囲を観察することができるのです。
獲物でもおもちゃでも、何かおもしろいものが目の前を通ったら、ダッシュで取りに行って、すぐに安全な場所に戻ることができるのです。
また、箱は猫にとって居心地のよい安全な寝床にもなります。1日に20時間も寝ている猫にとって、安心できる睡眠はとても重要なことです。
猫はどれほど箱が好きなのか? そんな疑問を確かめる実験がニューヨーク市立大学ハンターカレッジの動物認知科学者であるガブリエラ・スミス氏を中心に行われました。
猫も目の錯覚に騙される
「カニッツァ錯視」を使った実験でした。いつも猫が暮らす部屋の床にパックマンの形(4分の1が欠けた円)を貼り、カニッツァの四角形を作りました。そのあと猫を部屋に入れました。そして、部屋に入ってから5分以内に猫が3秒以上座ったかどうかを確認し、その様子をビデオに収めました。
So pleased to announce that my paper, “If I Fits I Sits: A Citizen Science Investigation into Illusory Contour Susceptibility in Domestic Cats (Felis silvestris catus) has just been published in AABS! #IfIFitsISits #CatSquare #CitizenScience #CommunityScience pic.twitter.com/AXbDttnOGC
— Gabriella Smith M.A. (@Explanimals) May 4, 2021
Twitterに投稿された動画では、青色のマットの上にカニッツァの正方形とパックマンの形の向きを逆にした(錯視にならない)ものを並べ、猫がどちらの上に座るかを調査したものです。その結果、猫は見事にカニッツァの正方形の上に座ったのです。
まとめ
この実験からは、猫も私たちと同じように、目の錯覚に騙されることがわかりました。しかし、カニッツァの正方形をつくらなくても、床にテープなどで、正方形をつくるだけでその中に入ることは猫好きには知られていました。当時、「猫転送装置」もしくは「猫ホイホイ」とも呼ばれ、多くの猫好きがSNS投稿しました。
猫の箱好きや、だまし絵でも同じ行動をする理由にはまだ謎が多いようです。また、個体差もあるようなので、みなさんもご自宅で試してはいかがでしょうか。